First Previous |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
Next Last
リアクション
第四章 死闘3
「蒼の審問官 正識(あおのしんもんかん・せしる)に……戦いを挑む人。彼らを援護するため……他の敵を排除する。第四龍騎士団の迎撃に向おう」
「了解しました。わたくしが千人隊長を探し出し、誘導します。あなたは、思う存分戦ってください」
テンサ・トランブル(てんさ・とらんぶる)はマホロバ人の千石 皐月(せんごく・さつき)と共に鬼鎧雷炎と共に出陣していた。
前回の戦い方を自分なりに分析し、戦いに挑んでいた。
「雷炎に飛行能力も持たせたし……足手まといにはならないはずだ……何!?」
突然激しい衝撃を受けて、鬼鎧が震える。
皐月が小さな悲鳴を上げた。
「龍騎士団の千人隊長……じゃない。正識本人か!?」
龍の背にまたがる人影が見える。
逆光でよく分からなかったが、次第にその姿が顕になった。
白い袴の上に白燕尾服をまとい、片手には十文字の槍を構えていた。
風に強く髪がなびいている。
龍が吠えた。
「前線にまで単騎ででてくるなんて、あの白装束……死ぬ気で戦う気か?」
天御柱学院蘇芳 秋人(すおう・あきと)と強化人間蘇芳 蕾(すおう・つぼみ)が、イコントリスタンで立ちはだかった。
眼前の七龍騎士を相手に武者震いする。
「秋人様……落ち着いてください……まだ、私たちの目的は……義姉様を探しだせていません。ここで、生命を落とすわけには……参りません」
蕾の冷静な声が聞こえる。
秋人は顎を引き、トリスタンの大形ビームキャノンを構えた。
「そうだったな。戦場では生きる気力のあるものが生き延びるんだ。ハナから生を諦めているような奴に負けてたまるか!」
トリスタンから放たれる攻撃を巧みに避けながら近づく正識。
七龍騎士の槍が振り下ろされた。
「……!!」
トリスタンは衝撃ではね飛ばされ、落下しながらも、蕾は緊急信号を発する。
信号に気がついたセルマ・アリス(せるま・ありす)とリンゼイ・アリス(りんぜい・ありす)が、イコンジョバンニで援護に向かった。
セルマがジョバンニの装甲越しに叫ぶ。
「どうしてそこまでして戦うのか、俺には理解出来ない。それを憂国というなら、残念ながら俺は同情しかねる!」
ビームサーベルを両手に突撃するジョバンニ。
「自分の思想を押し付けても、マホロバの人々が望むわけないだろ!」
「瑞穂藩兵も撤退し、そちらも損耗戦ではないですか。お互いにいいことありません。お帰り願いたいところです」
リンゼイ学生らしく勉学に励みたかった。
セルマを一人にすることもできず、彼女にも守りたいものがあった。
戦がなければ今頃は……と思う。
この時、ごうと風が舞い上がり機体や龍の身体が大きく揺れた。
必死に体制を整えようとする中、イコン六天魔王が現れる。
先程の竜巻は六天魔王が起こしたものだ。
「マホロバの上空を好き勝手やらせるものか! 制空権は俺たちが押さえる!」
桜葉 忍(さくらば・しのぶ)が叫ぶ。
織田 信長(おだ・のぶなが)は不敵に笑っていた。
「ここに正識がいるならことさら都合が良い。マホロバ艦隊が直に砲撃を開始する。六天魔王のヴリトラ砲と共に消え去れ!」
信長の言うとおり、上空にマホロバ軍艦が現れた。
志方 綾乃(しかた・あやの)のツェルベルスを先頭に、ローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)のHMS・レゾリューションなどの護衛機の姿も見える。
篠宮 悠(しのみや・ゆう)からの伝令を天御柱学院綾小路 風花(あやのこうじ・ふうか)の乗るイコンゲイ・ボルグ アサルトが受信していた。
メインパイロットの御剣 紫音(みつるぎ・しおん)に報告する。
「紫音、このまま艦隊と連携小隊と連携して、七龍騎士を追い詰めますぇ」
「わかった。風花はこの連携のデータを取りこんで、機体にフィードバックしろ。データ修正はその場で行ってくれ」
「了解しました。皆さん、敵機の位置及び味方機の位置をデータ転送しますぇ」
ゲイ・ボルグ アサルトから発信されたデータが、味方機へ伝送されていく。
「……こちら雷炎。後ろに回り込み、援護射撃を行う。味方機は気をつけたし……」
テンサは鬼鎧に心置きなくやっていいと呼びかけた。
皐月も同調する。
「寿命が来たらその時に行けばいいはず。噴花で未来を決められている感じする。ただ今は、マホロバの人を守るため、雷炎の助けを借りて、敵を倒すだけ……雷炎も元はマホロバの鬼なのだから」
雷炎は滑腔砲を打ち込んだ。
体制を持ち直した秋人も、蕾に最適な狙撃位置を探させる。
「トリスタン機、いきます」
秋人は蕾のコールと共に一斉射撃をはじめた。
軍艦ワタツミからも援護射撃が行われる。
「イコンなど、鬼鎧など……軍艦など!」
正識はたくみに龍を操りながら、天空を駆けている。
「そんなもので私を止めらるものか」
「蒼の審問官、いつまでも避けきれると思うな!」
紫音のゲイ・ボルグ アサルトがデータを送信し続ける。
正識の行く手を遮るように、鬼鎧やイコンが次々と飛び出した。
直撃すれすれのところをかわすものの、ゲイ・ボルグ アサルトの巨大鎌が龍の翼を傷つける。
「……何!?」
旋回しなが急降下する正識。
忍が声を上げた。
「まずい! このまま落下したら、マホロバの街並に直撃するぞ。阻止しなければ……!」
六天魔王は七龍騎士に照準をあてる。
「悪く思うなよ。これも身から出た錆だ」
信長がブリトラ砲のチャージ完了を確認した。
「この一撃でさよならだ!」
六天魔王による砲撃はまっすぐ吸い込まれるように正識の元へ飛んでゆく。
しかし、当たったのは七龍騎士にではなかった。
「正識様……!」
千人隊長の一人が正識をかばう。
「あなたさまは……まだ……帝国バンザイ!」
龍騎士は眩い光と共に爆発した。
正識はそのままマホロバ城下へ降下していった。
「外したのか!?」
信長が唇をかむ。
「正識が……地上に降りるぞ! をあの男を城下に野放しにしたら危険だ!」
紫音はすぐさま、軍艦ワタツミに向けてコールサインを送っていた。
First Previous |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
Next Last