First |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last
リアクション
いつものように、僕が校長室に行くと、
小ラズィーヤさんがいた。
「桜井 静香(さくらい・しずか)! 大変なことになった! とにかく来てくれ!」
小ラズィーヤさんは、
未来の世界で、僕とラズィーヤ・ヴァイシャリー(らずぃーや・う゛ぁいしゃりー)さんの間に生まれた娘。
以前、宦官になって悪政を働く未来の撲を止めるために、
一緒に未来の世界で冒険したことがあるんだけど……。
「神奈川県川崎市……新百合ヶ丘の財政が破綻してしまったそうですわ」
「えっ、でも、僕の家の借金は……」
ラズィーヤさんの言うことに、僕は驚いた。
僕の家は、自己破産すると地域の財政が破綻するくらいの借金がある。
お父さんもお母さんもいい人だから、
いろんな人の保証人になってしまっているんだ。
でも、僕と契約するときに、
百合園の校長をするという条件で、
ラズィーヤさんが借金を立て替えてくれていた。
だけど、誰かが過去の世界に介入したせいで、
僕とラズィーヤさんが契約できなくなってしまったらしい。
小ラズィーヤさんのタイムトラベル装置で、
僕たちは、小学生卒業間近の僕と、ラズィーヤさんが契約できるように、
過去に行って、事件を解決することにした。
ラズィーヤさんは、何かの間違いで過去の僕と契約しないように留守番。
とっても残念そうだったけど、しかたないよね。
★☆★
その時、僕はまだ、
佐藤花子(さとう・はなこ)さんが、
僕の代わりに、ラズィーヤさんと契約しようと企んでいたことも。
宦官の男の娘集団、
十嬢侍(じゅうじょうじ)のリーダーの
アルバ・フレスカさんが、
巨大なハサミを構えて、
僕の「
男の娘の大切なもの」を狙っていたことも、
気づいてはいなかったんだ……。
★☆★
そして、タイムトラベル装置の光に包まれて、
小ラズィーヤさんが、聞き覚えのある言葉を叫んだ。
「行くぞ、桜井静香!
私たちの未来は変えられるのだ! イッツ・ポシブル!」
「小ラズィーヤさん、その言葉、どこで覚えたの!?」
黒いトレンチコートに眼鏡の女性を思い出して、
僕は、嫌な汗が出てくるのを感じた。
First |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last