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リアクション
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それは「波」に近かった。今までピクシーが行なってきた数匹で一斉に、ちくちくと陰湿に、というう実力的不利を補う戦法をかなぐり捨て、何も考えずに10匹単位で突撃しだした。今までの戦法より単純だが、彼等は全ての片付け作業を中断しなければならなくなってしまった。
「何処にこんな量が隠れてやがったんだ!」
「ッ、キリが無いってコレ!」
桐ヶ谷 煉とセレンフィリティ・シャーレットが悪態をつき合う。武器を振れば当たるような状況だが、振り続けなければ量に圧倒されてしまう。そんな中、白星 切札が《銃剣銃》を振り回しながらも考える。
「例の本は全部でざっと六百ページ前後と聞きました……一つの魔方陣で一匹として、今までに約ニ百匹程倒してたとしても残りは四百匹以上。この状況との辻褄は合いますね」
「冷静に言ってる場合か?ってか、後四百以上もいるのかよ!?」
切札の計算に煉が溜息を―――つこうにも余裕が無かった。息つく暇もない、を地で行かねばこの状況を突破は出来ない。
「でも何で唐突に、こんな」
《氷術》で本をピクシーから守りつつも、火村 加夜が疑問符を浮かべた。原因が先程の笛のような音、ということは判る。このタイミングで仕掛けてきたということは。
「魔本もどきのタネがバレたからか、犯人が目的を達成したか……恐らく後者」
説明したフォークナー禁書は、こんな状況下においても気怠そうだ。
「さっきの笛で逃げやすいように命令を変えてきたのね、『私達を足止めしろ』って命令に……おっと」
少しでも油断するとコレだ、とでも言わんばかりにピクシー達がフォークナー禁書を取り囲む。
「はあっ!」
セレアナ・ミアキスの助け。《幻槍モノケロス》の一撃はピクシー達を蹴散らした。
「ありがと……気を抜けないね、これは」
「で、肝心の所、犯人の居場所は!?」
槍でピクシーを叩き落としながら、セレアナが催促する。
「荒らされた部屋は、囮……なら」
フォークナー禁書の意見に加夜が気付く。
「逆に荒れていない部屋に探しものがあるって、こと?」
「ちょっと待って、今のココでピクシーに荒らされていない場所なんて―――」
司書はその言葉を言ってから、はっと気付いた。雅羅に説明した自分の言葉。
(開いたら危ない本や重要な本は開かずの書庫にある……そちらはゴーレムが守ってるから無事だけど)
「あった……」
その声に、一同は振り返って司書を見た。
「開かずの書庫……あそこは、ピクシーが『荒らせなかった』!」
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