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リアクション
18:00pm 特設会場
試食会は立食式で行われる事になった。
「伝説のメニュー」だけでなく、各校学食の自慢のメニューも並べられ、ちょっとした食の祭典という趣である。
膨大な料理を並べるテーブルに、客のための食器。
主賓であるドラゴンには特別に席が設えられ、彼のための特大のティーカップまで用意された。
沈む陽に追われるように、会場には続々と参加者も到着していた。
待ち合い状態の一角では、軽いお茶とお菓子も振る舞われている。
その中に、何故かお茶を片手にくつろいでいる山葉涼司の姿をみつけ、美夜は自分の目を疑った。
一旦空に視線を移し、改めてもう一度見る。
今度は、涼司の視線とぶつかった。
「ああ、例の新聞部の部長か。今日はずいぶん、世話になったな」
ニヤッと笑った表情に、嫌な凄みがある。
美夜は軽くびびって、曖昧な笑みを浮かべた。
「これで新聞部も安泰だろう。上手くやったじゃないか」
「はい?」
美夜は驚いて聞き返した。
「もしかして、編成会議で温情をいただけるとか」
「ないな」
「でしょうね」
涼司はにやにやと面白そうに笑っている。
「でもお前ら、この騒ぎを現場で独占取材してるんだろう。これで売れる記事が書けないくらいなら……」
「……新聞部を名乗る資格、ありませんよねえ」
美夜もつられて同じような笑顔で、そう答えた。
「ところで、独占取材の一貫ですけど……山葉氏はこちらで何を?」
「見ての通り、来賓と歓談中だ」
「はあ」
「俺ができる事は、もうこのくらいだからな。後は我が校の優秀な学生とその協力者を信頼して、見物を決め込むさ」
「……いえ、もうひとつだけお役目が残っておりますよ」
いつの間に来たのか、傍らからエーリヒが声をかけた。
「御主賓がお着きです。皆様にお知らせ頂きたいと、本部からのご要請です」
「……ああ」
涼司は満足げに笑って、お茶を飲み干した。
「パーティの始まりだな」
すっかり陽の落ちた北の空は、それでもまだ仄かに明るさを残している。
主賓がやってくるであろうその方向に目をやり、涼司はマイクを手に取った。
「……ご来賓各位に、ご挨拶申し上げる。校長の山葉涼司だ」
会場から歓声が上がる。
事情のわかっている者、訳もわからず巻き込まれた者、遠方から集まった協力者に、便乗するお祭り好き。
皆、一様にパーティーの始まりを待ちわびている。
短い挨拶の間に、北の空に「それ」が現れた。
「……主賓が到着したようだ。この蒼空学園の朋友であるドラゴン、フード・ファイター。皆で歓迎してくれ!」
皆、一斉に空を見上げる。佳奈子とシシーの飛空挺を先頭に、加夜とエレノアの姿。
そして、ドラゴンがやって来た。
淡く紫がかった星空を背に、大きな翼を悠然と羽ばたかせて。
「ドラゴンさん、お連れしましたー!」
佳奈子の声の後、その場にいた全員が頭の中に、ドラゴンの声が響き渡った。
『ごはんにきたよー』
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