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恋なんて知らない!

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恋なんて知らない!

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 「一撃で、沈めてやる」


 激しい剣撃の応酬をする武藏とカリバーンの背後で、密かに近づく人影があった。
 于禁 文則(うきん・ぶんそく)。セネシャルとして活動をする女性。
 『ボクはそんなくだらない事には関わらないよ。やるなら君一人で』と言うパートナーのフィーア・四条(ふぃーあ・しじょう)を殴打で気絶させてまでここまで来たのには理由があった。


「くっだらねえ私怨に他の奴巻き込みやがって……。俺はそう言うみみっちいことが大っ嫌いなんだよ……!」

「大体、他人のクソきめぇ恋だの愛だのってのに関わろうとする神経が分からないね」

「……、まぁ。知ってみたいとは、思うんだけど、さぁ……」

「……うがああああああああああ!!!っつかそんなこと悪名しかねぇ俺にはどうでもいい!!兎に角!!兎に角ぶっ飛ばす!!それで終いだ!」


 少し乱れたサイドテールに束ねる金色の髪をいそいそと直しながら、文則は足の動きを早める。
 自分の背後を取られている武藏は、戦闘に夢中で全く気付いていないようだ。


「これで、イッちまえよ、ボンクラ侍」


 手に握るのは、芭蕉扇。
 一般で売られる扇より一回り大きく、特殊な原料によって製造された、戦闘用の扇。
 それを砕かんばかりの力を込め、一撃を決めようと腕を振り絞――


「!!!」


 ったのだが。


「うぉっと、あの人やられちゃ、オレのやってることに理由付けられなくなっちゃうじゃん」


 彼女もまた、背後を取られていたのだ。
 文則がそれに気付いたのは、霧丘 陽(きりおか・よう)のパートナーフィリス・ボネット(ふぃりす・ぼねっと)が持ち前の魔銃で文則の扇を撃った時だった。


「んだ、テメェ……」

「いやいや、『んだ、テメェ』って凄まれましても……」

「オレ、リア充たちが憎ましくてさぁ。どうにかしたいって思ってたところなんだよね。そこで、アイツらが派手にやってくれてるから、オレも混ざってるの」

「……」

「だからさぁ、その人を今沈められたら、オレに注目がいっちゃうじゃん。わかる?手を引いてよ。オレは今すぐにでもリア充共を捻りに行きたいんだから」

「いい度胸してるな、お前……」

「いやぁ、それほどでも」

「……イライラしてんのは、俺も一緒でなぁ。……なら先にお前をぶっ飛ばすだけだ」

「あらあら、やっと見つけましたわよ」


 普段は子供たちが笑顔で遊ぶ、和やかな雰囲気溢れる公園で怏々とした者同士が戦闘を始めようとした、その時。
 セシル・フォークナー(せしる・ふぉーくなー)が姿を現した。


「……コスプレ?」

「コスプレじゃありませんわ!!!この服はエリートしか着用の許されない水平服ですの!!防護性も高いんですのよ!!貴方も人の事言えない格好じゃないですか!!」

「あ、そう……」


 マスター忍者である彼女の格好を見て、フィリスが言った言葉は、思わず出してしまったものだろう。


「……ごほん。私、あのゴミ侍さんを成仏させてやりに来ましたの。そこで争うのは勝手ですが、どいてくださります?」

「……いやいや。それは駄目だから。オレもホワイトデーなんてぶっ潰したい派の一人なんで」

「あら、そう。それなら貴方も世間のゴミということですわね」

「いきなりゴミ扱い!?」

「過去の事でネガキャン暴走してる英霊もうざったいんですが、それと同じ位火事場泥棒的というか、漁父の利を狙おうとしている貴方みたいな方も、私は大っ嫌いですの」

「……言ってくれるね」

「お褒めの言葉は不要ですわ。今から貴方、寝ちゃいますし」

「……俺のいねぇところで話を進めてんじゃねぇよ。てめぇら二人、私の邪魔すんならぶっ飛ばすだけだ」

「あらあら、貴方もまた恋の素晴らしさを知らなさそうな方ですわね……ぷぷっ」

「今、笑ったな……?俺を笑ったなああああああああ!?」

「やれやれ、仕方ないから二人とも相手にしてやるよ」

「……かかって来なさいな♪」


 一度一つの爆発が起きると、誘発して起きるのが、人の沙汰。