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水晶の街

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水晶の街

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     10

 巨人が破壊されると共に、襲いかかってきていた水晶は完全にその動きを止めた。
 救助隊の面々は捜査活動を再開し街の隅々まで調べて回ったが、他に要救助者を発見する事は出来なかった。
 街で唯一水晶化していなかった聖堂はほぼ完全に崩れ落ちていたが、奇妙な事に一ヶ所だけ、全くの無傷で姿を保っていた。

 それは『黒いヴァルキリー』が描かれた壁画であった。

 壁画を前に救助隊は強い畏怖を覚えた。
 ただの画から、人の身では到達できぬ圧倒的な力を感じ取ったのだ。
 救助隊は、この壁画こそが、街が鏖殺寺院から受けた災厄の発端である事を確信した。
 だが、それ以上は何もわからなかった。
 壁画から感じる強大な力が、聖か、邪かさえも。

     ×     ×     ×

 救助隊の報告から、六学園による連合調査団が結成される事になった。
『黒いヴァルキリー』の壁画を調べる為である。

 だが、この連合調査団は帰ってこなかった。

 街は、聖堂を除いて、完全に元の姿に戻っていたのである。
 呪いは過負荷から一時的に休止していただけだったのだ。

 この事を受けてシャンバラ教導団は街の爆破を決行した。
 しかし、無駄だった。
 壁画には傷一つ付かず、街は数日で元の形を取り戻した。
 結果として水晶の街は封印地区に指定され、立ち入りが禁止される事になった。

 壁画の研究だけは、限定された幾つかの施設で現在も行われていた。
 しかし描かれた『黒いヴァルキリー』がいったい何を意味するのか。

 今は、誰にもわかっていない。

【完】

担当マスターより

▼担当マスター

旨井某

▼マスターコメント

 初めまして。旨井某です。

 この度は、リアクション公開が遅れてしまい、大変申し訳ありませんでした。
 以後、このような事が起こらない心掛けますので、よろしければこれからもお付き合い下さい。