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第21章 愛が足りない

 さあ泣いても笑っても最終日。
 鈴木 周(SFM0002133)はルミーナ・レバレッジを指名したのだが、ルミーナは二日酔いでダウン中。ルーシー・トランブル(るーしー・とらんぶる)が代理で出る。

 想定外ではあったが、周はナンパが生き甲斐である。無論ルーシーも守備範囲。
「そこのお姉さん!! 俺と愛し合わないかっ!?」
「これはまた随分と面白いことを言うお客さんの担当になりましたねぇ」
 ルーシーは愛を知らずに育った女である。表情こそいつもの穏和なものだったが、内心は揺れていた。周の言う愛とは何だ。何なのだ。

 平静を装いつつも注文を取るルーシー。果実ジュースが2杯。

 周は積極的に話しかけてくる。ルーシーは環菜と蒼空学園の勝利を考えて、話を聞きながらも売り上げを伸ばそうとする。
 やがて話していて喉が渇いたのか、ジュースのおかわりが注文された。
 しかし注文はそこまでだった。それほど所持金はなかったのだ。時間が来て、周は残念そうに帰って行った。

 あのとき、周の誘いに応じるべきだったのか、それはルーシーにはわからない。


ルーシーの売り上げ:600G


第22章 魔女の決闘

 初日に乗り込み損ねた蔵持 千治(くらもち・せんじ)オグシェリ・ディッセイ(おぐしぇり・でぃっせい)は、この3日目を待っていた。
 アーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)を相手に、オグシェリが飲み比べを挑もうというのだ。

 アーデルハイトは初日のことがあるので0.1秒ほど逡巡したが(アーデルハイトにとっては大変に長い思考時間である)、自分より322歳も若い小娘を叩き伏せておくのもたまにはよかろうと思い、勝負を受けることにした。

「ふふ、5000年の魔女と言えどお酒の方はどうかしら? 勝負は日本酒でつけるわよ」
 二人の魔女はなにやら奇怪な古代の言語で会話を始めた。

アーデルハイト
「よかろう、ここからの緋文字は『魔女同士の会話』じゃ。別名『メタ発言』とも言うぞえ。内容は魔女と、俗に言う『背後の人』にしかわからん。
 まずはおまえに伝えておくかのう。このシナリオが発表された時点で、私たちNPCにはそれぞれ『酒の強さ』が設定されておったのじゃよ。3から7までのランクがあり、私は最高位の7ランクに設定されておる」

オグシェリ
「そのぐらいは想定しておりましたわ。そうでなければ倒しても誉れになりませんもの。でも私たちLCやMCまでは決めていないのでしょう? どうするおつもりかしら?」

アーデルハイト
「“ユーザー用掲示板>シナリオ「リリーハウスにいらっしゃい☆」>あいさつスレッド”の最新の書き込みが、お主のパートナーの名前になっておる。この書き込みの賽の目で勝負をつけることにしようぞえ。
 私のランクである7以下なら私の勝ち。8以上ならばおまえの勝ちじゃ 」

オグシェリ
「いくぶん私が不利ですのね。ま、そのぐらいは認めましょう」

アーデルハイト
「では、掲示板を見てみるとするかのう」