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リアクション
第3章 嵐の前のやらしさ
キリン隊の菅野葉月は担当の“ゴッド・アイ”に向かう途中、売店に寄った。
「腹が減っては戦が出来ぬ、と言いますからねえ」
甘党の菅野は、生八つ橋を食べようと思ったのだ。
ところが……
「え? 売り切れですか?」
と、天井まで届きそうなほど大量の生八つ橋を積んで歩いていく人影を発見した。こそこそしているけど目立っていて、実に怪しい。
菅野はのぞき部の不審人物の可能性も考え、呼び止めた。
「待ってください。君、そんなに大量に買い込んでどうするんですか。まさかのぞき部のアジトに運ぶ食糧ではないでしょうね」
「え? のぞき部ですか?」
振り向いたのは、リュースだった。
「オレはそんなの関係ありませんけど」
「でも、その大量の生八つ橋は……えええ? ま、まさか……」
リュースはいつの間にか食べはじめている。
「これ全部自分で食べるんですか?」
「そうですよ。それより、あなたはキリン隊ですか?」
「いえ、こう見えてもパンダ隊ですが」
「そうなんですか。パンダですか。それなら……理沙ちゃんのお仲間ですね」
「理沙ちゃん? ああ、隊長のことですか」
「隊長になったんですか! すごいなあ。あなた、こんなところで油売ってないで隊長のためにも頑張ってください」
「は、はい……」
リュースは顔を赤らめて走り去っていった。
菅野がいない間に、ゴッド・アイにはのぞきを企む1人の男が姿を現わしていた。
トライブ・ロックスターだ。
「どきな!」
「どきませんよ」
トライブの前に立ちはだかったのは、パートナーの千石朱鷺だった。
「トライブ。のぞき部の連中に感銘を受けたとかなんとか言ってましたけど、自分でのぞくことないでしょう。モテないからって焦ってるのかしら。ちょっと熱くなりすぎですよ」
「うるせえ! どかないなら、喧嘩上等! 倒してでものぞいてやるぜ!」
そして女子風呂をのぞくべく屋根の上を走り出す。
「それなら仕方ありませんね……」
朱鷺は爆炎波で、ドッッボオオオオン!!!!
トライブをぶっ飛ばした。
「うわああああ」
トライブは夜空を見ながら、女子風呂の遙か上を飛ばされていく。
ぴゅーーーーーーーーーーーーーー。
「少しやりすぎたかしら。いえ、そんなことないですよね」
「やりすぎだぜ、朱鷺の奴。あんなに本気でやることねえだろうが! ちくしょう。イタタタタ。こんな作戦立てるんじゃなかったぜえ……」
朱鷺に飛ばされて、レースのパンティーに近づく作戦だった。
そして、女子風呂ではパートナーのベルナデット・アンティーククール(べるなでっと・あんてぃーくくーる)が女子を大勢引き連れてやってきていた。
トライブがのぞくはずのこの時間帯に合わせて女子をたくさん集めてきたのだ。ここまでも計画通りだ。
しかし、肝心のトライブは森の前の森で木に引っかかっていた。しかも腹に刺さってる枝もある。ダメージが大きくて体は動かず、かといって位置も悪いため女子風呂は全く見えない。
「くっそう……」
『トライブ・ロックスター、戦死?』
女子風呂は一気に人が増えていた。
「わあ。す、す、す、すてき。だ、だなあ。……あ、あ、あ、ありがとう!」
どもり女は、露天風呂エリアに誘ってくれたベルナテッドに握手する。
「と、と、友達……で、ですよね」
「う、うむ。わらわはベルナテッド。よろしくじゃ」
「か、か、かみのけ……き、きれい」
「そうじゃろう。わらわのパートナーのトライブは頭を洗うのが上手いのじゃ」
どもり女はベルナテッドの髪の毛をずっと触っていた。
「き、きれい……」
どもり女と一緒に入ってきた女は、特に大きいわけでもないのにやたらと体が重いのか、歩くたびに敷きつめられたタイルが割れている。
「いい湯ね〜」
リュースのパートナーグロリア・リヒト(ぐろりあ・りひと)は、露天エリアで湯に浸かっていた。
「シーナ、泳いじゃダメよ」
シーナ・アマング(しーな・あまんぐ)はグロリアの注意が聞こえなかったのか、まだ泳いでいる。ひよひよひよ……
レイ・パグリアルーロ(れい・ぱぐりあるーろ)はグロリアの体をまじまじと見つめて、
「グロリア、スタイルがいいわね。私なんてお尻が大きくて。シェイプアップしようかしら」
レイは体をタオルで隠して、湯船の外をあっちへこっちへと歩き始める。
と、ツルン。
ジゼルが放置した石鹸で足を滑らせ、転んだ。
すると今度は、重い女がレイに足をとられて……転んだ。
バッシャーン!
重い女は泳いでいたシーナの上に落ち、その異常なまでの重さでシーナは溺れてしまった。
「シーナ、大丈夫?」
「ガボガボガボ……」
グロリアはシーナを湯船の外に寝かせるが、あまりにも丸見えで、のぞき部が気になる。
「グロリアさん。安心してくつろいでください。パンダ隊がいますから」
話しかけてきたのは、新しくパンダ隊に入った桐生ひなだ。
「パンダ隊ねえ。大丈夫なのかしら」
「パンダ隊がいる限り、のぞきは絶対にさせません!」
すると、シーナが目を覚ます。
「のぞき? 私たちをですか? 何でのぞくんですか?」
ひながしゃがんで話しかける。
「あら。シーナさんこんばんは。何でのぞくのか? そうねえ。なんでかしら……って、ああ! あれは!」
指差した先にいるのは……
あの悪名高き、秋葉つかさだ!
のぞき部の女子部長にして、パラ実送り候補。前回の戦いでは、見事パンダ隊を騙してのぞき作戦をあと一歩のところまで持っていったというスーパー要注意人物である。
つかさはパートナーのヴァレリーを引き連れ、堂々と歩いているが、風呂桶の中に何を持っているのか怪しいものだ。
「グロリアさん。任せてください……!」
ひなは気合いを入れると、ナリュキとともに、つかさたちの前に立ちはだかった。
「パンダ隊です! つかささん。悪いけど、身体検査させてもらいます!」
「……どうぞ。私の体、ご自由になさってください」
つかさは風呂桶もタオルも差し出し、超ド級の巨乳が露わになった。
「何もないようですね……って、ちょっと待った! これはなんですか!」
ひなは、つかさの胸の谷間に挟まっている何か緑色のものに気がつき、取ろうとする。
「あら、何かありまして?」
「む……胸が大きすぎて、と、取れない……」
「あーん。いやあん。パンダ隊ってのぞき部よりもいやらしい団体でしたの〜?」
「えいっ!」
すぽん。
谷間からようやく出てきたのは、キュウリだった。
しかし、ただのキュウリではない。バカッと開くと……中からノミが出てきた。
「ノミ……! これで壁に穴をあけたりするつもりだったんですね!」
「あら。バレてしまいましたね」
ドンッ!
ナリュキはつかさを突き飛ばした。
「お仕置きじゃ! お尻をぺんぺんするんじゃ!」
ぺんぺんぺんぺんぺーん。
「いやあん。やめてくださらなーい?」
「だめじゃ。だめじゃ。のぞき部は徹底的にぺんぺんするんにゃ!」
ぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺん。
ひなはナリュキのお仕置きを手伝った。
くねくねと暴れるつかさの体を押さえると、ナリュキはますます……ぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺん……
カメラマンのアレクスは、つかさを撮影せず、ノミキュウリに興味を持ってちょんちょんして遊んでいた。
のぞき部壊滅を願うアニア・バーンスタイン(あにあ・ばーんすたいん)は、ケータイメールで誰かに連絡する。
「これで他ののぞき部もあきらめてくれればいいもんね!」
そのニュースはすぐさまDOGから配信された。
『ワンワンニュース! 秋葉つかさ、逮捕。キュウリにノミを仕込んでいた。 byDOG』
アニアは満足して湯に浸かった。
しかし、ワンワンニュースには、キリン隊とパンダ隊も懐疑的になっていた。
「森の前の森が危ないとか、嘘の情報だったもんね」
森の前の森から、広瀬ファイリアが女子風呂に戻ってきた。
「ファイはもう騙されないもん。しっかり見張りますですよ!」
大事なところを隠しながら周囲を警戒するファイリアを横目で見ながら、柊 まなか(ひいらぎ・まなか)は泳いでいた。
「ファイちゃん。そんなに隠さなくっても大丈夫だよー。こっちは女の子しかいないんだし。つかさちゃんもお仕置きされてるし〜」
たしかに、まだぺんぺんされていた。ぺんぺんぺんぺん……
ファイリアのパートナー、ウィノナも少し安心したのか、お仕置きした後のことを考え始めていた。
「ねえ、ファイ。のぞき部を捕まえたらね、ロープでしばってどこかに縛りつけておこうって思うんだけど、どうかな?」
「わあ、ステキ。ファイは、とっても賛成しますですー」
そして、ウィノナはロープを用意するため、出て行った。
「じゃあ、ちょっと行ってくるね」
「ここはファイに任せてですー」
相変わらず安心しきっているまなかは、大きな声で男子風呂に声をかけている。
「シダー。そっちはどおー?」
「ああ、いい湯だな。いまのところ、のぞき部も活動してないみたいだしな」
パートナーのシダ・ステルス(しだ・すてるす)は、月夜の景色を堪能しながら湯に浸かっていた。
まなかは安心して、湯に浸かった。
「みんな胸大きいなあ。どうしたら大きくなるのかな。誰かに秘訣を聞きたいなー」
とのんびりしたもので、実に平和そのもの。
つかさの尻を叩く音だけが辺りに響いていた。
ぺんぺん……ぺん……ぺぺ……ぺ……ぺん……
しかし、どうも音がおかしい。今までリズミカルにペンペン鳴っていたのに、どうしたのだろうか。
実は、ナリュキはぺんぺんしながら、つかさの股間に手をまさぐらせていた。
「いやあああん」
「こらこら。悶えてる場合じゃないにゃ」
ナリュキはつかさの耳元で呟く。
「つかさ。そんなに締め付けたら2本目のノミキュウリが出てこんじゃろう。これがないと壁に穴をあけられないにゃ!」
つかさ、ナリュキ、ひな、ヴァレリーはみんなグルだったのだ。
ノミキュウリを1本没収してパンダ隊を油断させ、つかさが隠し持つもう一本のノミキュウリを使って壁に穴をあけ、男子の手伝いをする――そういう計画だった。ノミキュウリの隠し場所はあえて言及しないが。
「はあ。あ。あ。だめ。動かさないでくださ……い……あああっ」
「まったく感度が良すぎるのも困ったもんじゃ……でもこれを取らなきゃ……」
「ああああ。いけません。取らない……で……」
「そんなことを言ってもじゃ……上下に動かしてみたら取れるかにゃ?」
「あっ。はっ。ん。んんん! んんん。はあああうっ」
ナリュキにキュウリを取る気があるのかどうか、それも怪しくなってきた。
水中で悶えてるつかさに、ゆらゆらと泳いでいた柊まなかがぶつかった。
つかさの巨乳はたっぷんたっぷん揺れている。
「わあ。大きな胸! つかさちゃん。どうしたらそんなに大きくなるの?」
「あっ。あん……」
「ねえ。つかさちゃんってば」
「も、揉むことですわ……ああん! はあっ……」
そこへ、ずっとつかさを警戒して見張っていたファイリアがやってきた。
「なんか隠してるような気がしますです。ほんとのことを言うです!」
「本当のことですわ。こ、こうして、あっ。も、揉むのです……」
とファイリアの大きな胸を揉み始めた。
「あわわわわ。な、なにをするですかー。あ。やん……だめですよ……」
ファイリアは、あっという間につかさのエロモードに取り込まれた。
「ひ、ひえー」
まなかは自分の胸をちょっと揉んでみたが、その凄まじいエロさにはついていけなかった。
ノミキュウリを水中でこっそり受け取って穴をあける係は、ひなだった。そして、その穴に爆弾をつめて爆発させる係は、ヴァレリーだった。
「俺様の出番は……」
「まだでしょうか……?」
2人は呆れて溜め息をついた。はあ〜
アニアはこの状況を見て、再び誰かにメールを送る。
『パンダ隊の広瀬ファイリアがのぞき部に取り込まれた。パンダ隊は至急女子風呂に駆けつけるべし』
しかし、そのニュースはもうDOGから配信されなかった。
男子風呂では、ずっと湯に浸かっていた神城 乾(かみしろ・けん)がのぼせたのか、くたーっと倒れていた。その手からポトリと落ちるモバイルPC。
それを見て、解説男は分析した。
「やはりな。乾(けん)→乾(いぬい)→犬→DOG。つまり、情報をかき回して楽しんでいたのは……神城乾。なかなかいい趣味してると思うぜ」
乾は血が足りなすぎて何も聞こえなかった。
のぞき部でもキリン隊でもないけど、『神城乾、戦死』
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