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リアクション
第5章 エロ蟻地獄
その頃、ゴッド・アイでは菅野が1人、夜空を見上げて立っていた。
男子の制服を着ているその後ろ姿を、客室から見ている者がいた。
――のぞき部幹部、鈴木周だ。
前回の更衣室戦争でまんまと誘惑お色気作戦に引っかかったバカな、否、哀れな男である。
「あいつ、キリン隊の新人か。ちくしょう。男の純情を弄ばれた借りを、今ここで返してやるぜぇー!」
周は走り出して……ドンッ!
「あばよ! ゆっくり風呂でも浸かってな!」
無防備な菅野の背中を押してゴッド・アイから落とす。
「わ、ば、ばか! 僕は、僕は、男ではありませんよ〜〜〜〜〜〜〜〜。ミーナ! ミーナ! ゴッド・アイに気をつけてーーーーーーーッ!!!!!」
どっぽーん。ぶくぶくぶく。
菅野は男子風呂に落とされてしまった。
解説男は、もっこりをツンツンしようとしてるキス魔男を制止しながら、カメラに一言。
「こんなときに男子の制服を着てりゃあ、こういうことになる。甘い甘い」
菅野はなんとか溺れずに湯船から顔を出す。
「ぶくぶくぶく……ぷはあーーー。ア! ア! ア! キヤアアアアアアアアアアア!!!!!」
キス魔男のビッグマグナムを目の前に見て、卒倒した。
どっぽーん。ぶくぶく……
『菅野葉月、戦死』
ミーナは、菅野の最後の呼びかけをしっかり聞いていた。
「ちょっと! パンダ隊! 広瀬ファイリア!!! いい加減、目を覚まして! のぞき部だよ!!!」
ファイリアは未だにつかさとナリュキに弄ばれていた。
「あーん。どうにかなっちゃいそ……え? のぞき部? あわわわーっ!? そこどいてくださいですーっ!」
湯船の中をあっちへこっちへ走り出して埒があかない。
湯船の縁に腰掛けて月なんか見ていたセシリアは突然の騒ぎに驚きを隠せない。
「な、な、なんじゃなんじゃ。何があったんじゃ? わあ。とにかく逃げるしかあるまい」
走り出すが、足がもつれてすっころぶ。
「あれ〜」
屋根では、周がホフク前進してゴッド・アイにほぼ到達し、下から頭のツンツンヘアーが見えている。今にも神になろうとしていた。
「ありゃ。何か見えるぞ」
セシリアが転んだ体勢のままツンツンヘアーにぶちかます。
「間違いでもなんでもいいや。とりあえず、ほれ。ファイアーボール!」
ボッフォ〜〜〜〜!!!
ファイアーボールはツンツンをかすめて飛んでいった。
「アチチ! アチ!」
周は髪の毛を焦がされたが、そのくらいで怯むようではのぞき部幹部の名が廃る。
引っ込む気配のない周に、セシリアはビビる。
「むう。さすがにのぞかれるのは困る。やはり……逃げるの一手じゃ!」
また走り出すが……どっぼーん。
すぐにコケて、湯船に落ちた。
「みんなは壁際に逃げて! 私たちが戦うから!」
立ち上がったのは、キリン隊副隊長橘恭司のパートナー、クレアとフィアナだ。
2人は“恭司特製防水ハリセン”を手に、周を迎え撃てる場所に駆ける――
と、そこに現れたのは佐々良 縁(ささら・よすが)。
「わぁ。私も戦うよぉ〜」
と突然出てきた。おかげでクレアは縁に足をとられて、
「きゃあ!」
どったーん。もろにコケた。
「大丈夫ですかぁ」
縁は慌てて駆け寄り、今度はフィアナに激突。
「きゃあ!」
どったーん。フィアナもコケた。
「ごめんなさいぃ〜」
実は、縁はのぞき部の新入部員だった。
わざとパンダ隊の2人を“除去”したのだ。
「それでは鈴木さん。あとはどうぞぉ。私は隠れますけど、楽しんでくださいねぇ〜」
と、屋内エリアに行こうとしたら……
目の前には、同じくのぞき部新入部員の風森望が立っていた。
「佐々良様。どこへ?」
「あ。のぞき部の風森さん。よろしくねぇ。早く逃げないと、私たちがのぞかれちゃうよぉ〜」
と先に進もうとするが、望は通してくれない。
「のぞき部なら、のぞかれてもいいという覚悟がないとダメよ」
「あ、あの。あんまり大声でのぞき部と言わないでほしいんだけどぉ」
と、そのとき!
「佐々良様、危ない!」
ひゅるるるるるる〜。
パンダ隊の仕業か、風呂桶が縁に向かってまっすぐ飛んできて――
間一髪!
望は縁を突き飛ばし、湯船にぶちこんで事なきを得た。
そしてその風呂桶は、アルラミナ・オーガスティア(あるらみな・おーがすてぃあ)がキャッチした。
「取った! 今度は……それ! ポチ、取っておいで!」
ひゅるるるるるる〜
アルラミナは、初島 伽耶(ういしま・かや)と風呂桶をフリスビーにして遊んでいたのだった。
「ワンワン! って誰がポチ! と言いつつ取っちゃった……ワン!」
なんというマイペースな2人なのだろうか、みんながゴッド・アイから見られないように壁際に逃げているというのに、空いたのをいいことに遊び始めたのだ。
「広いっていいよね〜」
「ねえ〜!」
湯船に落ちた縁は、後ろから羽交い締めにされた。
「話は聞いてたです。逮捕しますです」
ファイリアは用意していたロープでグルグルグル。
『佐々良縁、戦死』
望は屋内エリアへの出入口の鍵を破壊し、女子が逃げられないようにしてから……消えた。
そして、湯船に逃げて体を密着させる女子たちは、秋葉つかさにしたら飛んで火に入る夏の虫。
「こうなったら、計画変更でございますよ。周様のために、皆様の戦意を欲情に変えてしまいましょう」
「そのためには、まずはつかさがもっといやらしくならんとのぉ〜」
ナリュキはつかさに絡みついた。
「あっ!」
どこだかはわからないが思わぬ所を刺激されたつかさは、ついに体の力が抜け、ノミキュウリがしゅっぽんと水中に飛び出した。
ひなは慌ててノミキュウリを掴んで壁に穴をあけようとするが、
「あ……あれ。あれれ」
ノミキュウリが何故だかぬるぬるしてて全然手に取れない。
そして、集まってきた女子たちは、ことごとくつかさとナリュキの餌食となっていく……
「あっ。だれ。変なところ触らないでっ」
「ジゼル。石鹸入れたらダメでしょう。なんかぬるぬるして……いやあああん」
「あら。こんなになってらっしゃるの。いやらしいお方……」
「え。ちょ。ちょっと。だめえええええ」
「なに。なにしてるにゃ? な。なにを……にゃーん!」
「こ、これはどういうことじゃ。か、かんべんしてくれ〜」
大混乱の中、ひなはノミキュウリをなんとか掴むが、もうのぼせて何がなんだかわからなくなっていた。
「えっと。穴……穴……穴がなんでしたっけ。あ、そうそう。入れるんですわ。この辺りかしら」
「あわわわわ! だ、だめですぅ! しごとちゅうです。な、なにも……かんがえられなく……なるですぅー! ああーーー」
このときカメラマンのアレクスは全然関係ないところを撮影していたため、ノミキュウリがどこのどんな穴に入ったのか、それは永遠の謎である。
ただ、とにかく、『広瀬ファイリア、戦死』
「こ、これは……?」
休憩所で配信される映像を見ていたエメは、画面を見て真っ白になっていた。
「アル君! これは、どういうことですか?」
「捕まえたにゃう!」
アレクスはネズミをくわえてカメラの前に立ち、記念撮影していた。
「ネズミはいいから中継してくださいっ! ていうか、これを撮ってるのはもしかして……」
シーラだった。
「へへぇ。アルちゃんが可愛くって。エメさんごめんねー」
と、そのとき。
ゴツン。ゴツン。
アレクスとシーラの頭に風呂桶が飛んできて当たった。
投げたのはエメ……ではない。柊まなかだ。
「きゃあああああ!」
まなかはもみくちゃになりながらも、のぞき部を倒そうと必死で投げていた。コントロールはメチャクチャだったが、とにかく投げまくっていた。
ゴッド・アイから周のツンツンヘアーが見えたからだ。
屋根の上では、周がホフク前進を続けていた。
そして、そのニヤケ顔をゴッド・アイからのぞかせる。
「み、見えたッ!!!」
と思ったのは、バスタオル姿で待ち構えていたミーナだ。
ボタボタ垂れてくる鼻血で、ミーナには周の居場所がバレバレだったのだ。
「変態のぞき部鈴木周! ワタシの葉月に何したのよッ! 許さないんだから!!!」
と戦闘の姿勢を取ろうとする。が……
「おいおい、いいのか? そのまま俺を攻撃してマジでいいのかよ?」
「え? なに?」
「ミーナちゃーん。いや、俺はいいんだぜ、別に。攻撃の瞬間そのタオルがめくれちまって何か大事なもんを見せてもらえるわけだしよぉー」
「はっ! やばい」
確かにもうバスタオルがズリ落ちていて、胸が見えそうになっていた。
「いやーん」
慌てて赤ら顔になって、また気がつく。
「な……なんて姑息な男なの! もうぜーーーーーったい許さないんだからッ!!!」
ついにミーナはぶちギレた。
そして、風呂場で一番やってはいけない攻撃をしてしまった。雷術だ……!!!
バリバリバリーーーーーーーーッ!!!!!
周に達する前に、ミーナ自身が感電した。
『ミーナ・コーミア、戦死』
そして、もみくちゃになってる湯船の全女子が感電した。
「あぎゃえぎごごげじふぉじぇをりそじじりげげげりえをふぁざざをだあはぎぎいんぱーんぱーんぱーーーーー」
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