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【十二の星の華】ヒラニプラ南部戦記(序章)

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【十二の星の華】ヒラニプラ南部戦記(序章)

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第3章 第四師団包囲網(1)

三日月湖地方2,000

 本陣 1,300
  本陣 戦部 援軍第一波兵500、もともとの本陣兵50
  本陣 クレア 援軍第一波兵500、もともとの本陣兵50
  【ノイエ・シュテルン】 クレーメック ロンデハイネ兵(Lv4)200

 谷間の宿場 200
  【ノイエ・シュテルン】 香取翔子(かとり・しょうこ) ゾルバルゲラ兵50(Lv3)、一般兵(Lv1)50
  【ノイエ・シュテルン】 マーゼン ソフソ兵50(Lv3)、一般兵(Lv1)50

 街道〜草原地方 200
  【ノイエ・シュテルン】 ゴットリープ ロンデハイネ(ソフソ・ゾルバルゲラ)兵(Lv2)100
  輜重隊&護衛 大岡永谷(おおおか・とと) 100(パルボン騎兵(Lv5)30、パルボン歩兵(Lv4)50、一般兵20)

 北の森 出城 100
  【龍雷連隊】 松平岩造(まつだいら・がんぞう) 浪人勢(Lv2-5)100

 三日月湖周辺 100
  【騎狼部隊】 一条アリーセ(いちじょう・ありーせ)(調査) シャンバラ騎狼兵(Lv2)50
  【騎狼部隊】 林田樹(はやしだ・いつき)(復興支援) シャンバラ騎狼兵(Lv2)50
  *【黄金の鷲】 エル 自警団(Lv1-2)50


 治安を担当すべく、街道にノイエ・シュテルンの部隊を展開したクレーメック・ジーベック(くれーめっく・じーべっく)。彼は更に、自らの目で見てきた黒羊郷の様子と共に、今、第四師団のすべきことを司令官ロンデハイネに報告している。
「敵の軍隊、とくに黒羊教徒は強敵であり、我々、第四師団の総力を結集せねば勝利はおぼつかないでしょう。そのためには、南部諸国を武力で平定するか、外交で味方に付けるかし、後顧の憂いをなくす必要がありましょう」
 南部諸国のことは、湖賊がその諸侯らを保護し黒羊郷から戻ってきたことで、これも重要な議題の一つとなっていた。
 ノイエ・シュテルンからは、青 野武(せい・やぶ)皇甫 伽羅(こうほ・きゃら)といった策略や外交に長ける者らが、湖賊のもとへ、この南部勢力との問題にあたるため派遣されることにもなる。

 1月下旬には、街道整備、兵の訓練などが本格的に開始された。2月が過ぎると、東の谷の戦況が伝わってきて、一時は伏兵に遭い後陣壊滅の報もあり本営ははらはらしたが、後、鋼鉄の獅子や天霊院、金住らによって兵が収拾され、致命的な損傷はないと聞くと、ひとまず安堵する。軍を立て直し、引き続き東の谷で黒羊軍との戦いを続行していくと。
 本営では、援助を送ることが検討されていたが、その折、今度は水路より、黒羊水軍と共に、東河の水蛇として怖れられるブトレバ水軍が南下中との報が入る。その数、2千。

 更に、南より、第四師団の本拠旧オークスバレーにしのび寄る影……



3-01 パラ実ヒラニプラ南西分校

 ひゃっはぁぁぁ!! ついに、パラ実と教導団の戦いが実現……じゃなく、顕在化した。
 パラ実四天王として1千のあれくれどもを率い、旧南西分校を取り囲む。
「旧南西分校はかつてのオーク攻めの際にお世話になったことがある場所だから……」
 この男。国頭 武尊(くにがみ・たける)
「そうっすかぁ、さすが武尊さんだ。ばりばり活躍してるっすね。しかし、ってぇことはここは見逃すんで?」
「いや。だから、攻略自体は難しくないだろう」国頭は冷静に言い放った。「ってことだ。内部についてはよく知ってるからな」
「ひゃっはぁぁ!」「さすが武尊さんだ!」「じゃあ?」
「あぁ。……行くぜ、ものども。特攻ーーー!!」
 ひゃっはぁぁぁ!!



 南西分校に押し寄せるパラ実勢に、次々兵を繰り出す、南西分校長(大佐)。
「えぇい。長年、対オークの兵力としてこの地を守ってきた教導団・南西分校だ。
 我等、蛮族との戦いには長けておるわ!」
 教導団兵が、パラ実の不良どもを押さえつける。
「おっと。待ったぁ! こいつがどうなってもいいのか」
「なっ?! そいつをどこから……」
「へっ。ここのこたぁ知り尽くしているからなぁーオーク戦のときにみっちり調べ上げてあるんだよ」
「く、国頭……貴様ぁ!」
「オレたちを、ただの蛮族と侮った君たちの負けだ。教導団南西分校」
「ひゃっはぁぁ!」「さすが武尊さんだ!」「南西ぶんこー、てめぇらは結局オークどまりなんだぁよ!」
「舐めんじゃねーぞ。この野郎!!」
 猫井 又吉(ねこい・またきち)も木刀を突きつける。パラ実どもが、兵を縛り上げる。分校長も、囚われとなった。
「久しぶりだな、大佐。悪いな、今こそ、パラ実決起の時だからな。
 なに命は奪いはしない。だが、武器や物資は、全て頂くぜ。もちろん、こいつもな」
「あっ。や、やめろ。それだけは。き、貴様らぁぁ……我々第四師団があれからどれだけ苦労してそれを……」
「ナパーム弾か。対教導の奥の手にとっておこう。しまっておけぇ!」
「うわぁぁぁん」
 こうして、国頭は旧南西分校を落とした。
 パラ実ヒラニプラ南西分校誕生。
「国頭。だが、貴様何故……」
「知りたいか」
「こくこく(久々の出番だからな。(俺(大佐)については、オークシリーズを見てな。))」
「冥土の土産に教えてやろう。(どうせ君は、本シリーズでの出番はこれで終わりだろーから。)」
 国頭は語る。
 教導遠征軍の統治体制は現地住民との軋轢を生み、遠からず崩壊するとオレは見ている。(実際、学生って立場を忘れ、上から目線で一方的過ぎるんだよ!)
 そこで、教導の連中が近隣諸国と殴り合っている最中に後ろから襲いかかって撃破し、この次は三日月湖を制圧。
 パラ実の新たな拠点を作るって寸法よ。
「ひゃっはぁぁ!」「さすが武尊さんだ!」「おれたちの、新たなる伝説のはじめりなんだぁよ!」
「だが国頭……。貴様の後ろにいるそのバカの寄せ集めみたいな軍勢で、教導団の誇るノイエ・シュテルン、鋼鉄の獅子、騎狼部隊、龍雷連隊といった歴戦の精鋭軍団に勝てると本気で思っているのかな?」
 ひゃっはぁぁ! バカの寄せ集めだと? どかどか!!
「ふん。奴等が教導の精鋭だと? 本気で言ってるのか。笑わせるんじゃねぇよ! それに、オレたちだけじゃねぇ」
 程なく、南西分校校長となった国頭のもとへ、二勢力からの使者が訪れた。黒羊軍と、南部勢力(親黒羊側)だ。
 ……にやり、予想通り。
 パラ実南西分校と同盟を結び、第四師団の本拠・旧オークスバレーを三方から襲撃することを持ちかけてきたのだ。
「く、国頭……。だが、だがな、たとえ黒羊軍ら我々を快く思わない連中と結託してもだ、バカの寄せ集めのような貴様らが、国獲り合戦になる本シリーズを生き残れると思うのか? 奴らに使われて、攻め滅ぼされるのがオチよ」
 ひゃっはぁぁ! バカの寄せ集めだと? どかどか!
「う、ぐぐ、く、国頭……」
「そろそろネンネしてもらおうか。じゅうぶん、喋っただろ。
 オレたちを甘く見るんじゃねぇぜ。三日月湖には、すでに先行投資をしてある。そこまで辿り着けば、オレたちパラ実はヒラニプラ南部戦記に名を残す一大勢力となるだろう。そして、南部全土を制覇だ。そのために、まずは……」
 国頭は、かくして、先鋒の将・又吉に兵500を持たせ、旧オークスバレー・第四師団本拠地襲撃を開始した。
「又吉。今こそ君の出番だ」
「任せナ!
 力こそパワーだぜ!!」
 ひゃっはぁぁ!!

 そしてまた同時に、北西方面より黒羊側撲殺寺院占領軍、東より親黒羊派南部勢力からの派遣軍が大挙して、旧オークスバレーに攻め寄せることとなったのだ。

 師団本拠地を奪取し、補給遮断を行えば、現地調達しか補給手段がなくなり、住民と揉める筈。
 その時が、第四師団最後の時だ。



3-02 シャンバランをきっと僕らは忘れない

「……俺……この戦いが終わったら恋愛シナで告白……がくっ」(シャンバラン)
 旧オークスバレーは陥落した。



 だが、無論、シャンバランがどれだけ旧オークスバレー死守のために奮闘したかは、民の間で後々に語り継がれてゆくこととなる。
 我々は、シャンバランを忘れはしないだろう。



 去る12月上旬の鴉・鯰襲撃以降、
「あれ以来一向に動きがないが……鴉と鯰怪人が不意をついてくるかもしれないしな!」
 旧オークスバレーに残った(残された?)神代 正義(かみしろ・まさよし)こと、シャンバラン。
 そのことをよく、ゾルバルゲラにも話しておいた。
「おぅ。そーだな。よく俺の方に話しかけてくれた」
 だが……それがいけなかった。
「ちっ」
 旧オークスバレーに残る二指揮官のもう一人、ソフソがこっそりへそを曲げてしまった。「旧オークスバレーの守将たるは私だ」。実際のところ、血気に富みやたら攻撃に出たがるゾルバルゲラに対し、慎重に守るべしを唱えていたのがソフソだった。この二人でバランスが保たれていた。
 1月下旬、旧オークスバレーは三方向からの襲撃を受けることになった。
 まず、北西の方角より、黒い軍勢。――鴉でも鯰でもない、今度は、黒羊軍自らの襲撃だ。
 そして、南からはパラ実勢が大挙して押しかけた。これは、本国方面との連絡が遮断されたことも意味した。
 更に、東方からも……。
 これに対し、いつもなら慎重に守るべしを主張するソフソが独りで部屋に閉じこもってしまい、止める者のないゾルバルゲラはシャンバランを突き飛ばして兵を率い外へ出、姿を現した黒羊兵にあたっていたところ、反対から新たな敵が来たとの方を受け、そちらに兵を回したところ、南からパラ実が攻めてきたと聞き、そちらにも兵を回したところ、すべての箇所で兵が手薄になり、あっさり負けてしまった。
 シャンバランはそのことを報告にソフソ部屋を叩いたが、ソフソは出てこなかった。
「く、駄目だ……!」
「シャンバラン殿!」
 劣勢は圧倒的。シャンバランは、本拠を捨て、撤退を勧めた。
 そしてシャンバランは、兵各々に必要最低限の物資を持たせると、残る物資は焼き払ってしまうことにした。「あいつらの手に渡すくらいなら!!」
「だが、ヒーローとして、民を捨てるわけにはいかない!」
 シャンバランは残る兵と共に、自らも旧オークスバレーを片っ端から避難勧告をして回った。
「ねぇシャンバラぁぁン。どこに避難したらいいの?」
 不安そうな子どもたち。
「く、だよな。三方向から攻められて、砦は全て落ちている……温泉だ。プリモ温泉へGo!
 むうっ。敵め、来たか」
 シャンバランはすぐに変身ポーズを決め、お面を被る。敵からの注目を集める。「さあ、今のうちだ!」敵はすべて、このシャンバランが引き受ける。
「瞬着! パラミタ刑事シャンバラン! さぁ来いよ! 武器なんか捨ててかかってこいよ!」



 そんな、旧オークスバレーにあって、一つ、敵の手に落ちないところ。
 宇喜多 直家(うきた・なおいえ)
 プリモ・リボルテックのパートナーとして甦った戦国大名の英霊である。
 生前は、悪名も付き纏いつつも策謀をもって知られた大名であったが、英霊として甦ったばかりの彼は、ロリコン属性、味方が残る山鬼の家に火を着けるなどの失敗も目立った。そんな宇喜多だったが、ジャック・佐野らと兵を率い三日月湖援軍に向かうプリモのもとを離れさせられ、プリモ不在中の温泉を任せられると、徐々に手腕を発揮し、これを旧オークスバレー〜草原地方に至る間の関所と呼ばれるまでに仕立てあげた。そしてここで、山鬼の家から解放し連れてきた女たちを女中として育てその女たちを調教(略)
 とにかく、そういうわけで、宇喜多の守るプリモ温泉が、すでに草原地方に至る街道までを占拠した敵中において唯一残る最後の砦。それは敵陣中に浮かぶ孤島の状態であった。

 今、プリモ温泉(プリモ温泉関)は、旧オークスバレーの難民キャンプ状態。
 宇喜多は、そんな中でも、温泉を開放し、民の慰撫に努めた。
「宇喜多殿! 敵が、敵がまた城攻めを……宇喜多殿!? 温泉に浸っている場合ではありませぬぞ!」
「はぁー。極楽極楽。……これが最後の湯かのぉ」