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【十二の星の華】ヒラニプラ南部戦記(序章)

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【十二の星の華】ヒラニプラ南部戦記(序章)

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第2章 雪の谷の戦い

李梅琳隊1,000*三個中隊から成る独立大隊である。

 先鋒 300(中隊)
  先鋒 李梅琳(り・めいりん) 梅琳歩兵(Lv1)300、一般兵士(いっぱんの・へいし)(Lv5)1、一般騎士(いっぱんの・きし)(Lv5)1
  斥候隊 金住健勝(かなずみ・けんしょう)

 中軍 【鋼鉄の獅子】300(中隊)
  中軍前方 ルカルカ パルボン騎兵20(Lv5)、梅琳歩兵(Lv1)80
  中軍中央 レオンハルトイリーナ橘カオル(たちばな・かおる) パルボン歩兵(Lv4)100
  中軍後方 レーゼマン レーゼセイバーズ(Lv3)100

 後陣 400(中隊)
  輜重隊&救護班 ロザリンド 100(輜重隊に騎馬含む)
  後陣 天霊院華嵐(てんりょういん・からん) 梅琳歩兵(Lv1)200、獣人兵(Lv2)50、ニャオリ兵(Lv3)50


 東の谷へ、戦を前提とした(第四師団的には)大規模な隊が派遣されたのは、前章冒頭にて触れた通りである。また、これも前章で語られた復興組その後については、エル・ウィンドら黄金の鷲が本営からの話を持ちかけられた一方で、個人で復興支援にあたってきたロザリンドが、東の谷へ向かう隊の救護班長に抜擢されている。このことには、霧島が司令官ロンデハイネに宛てた手紙の中で、ロザリンドの協力なくてはなし得なかったことだと、山鬼戦から人質救出に至るまでの彼女の影ながらの功績を綴っていたことが大きく関わっている。また、同じく霧島の手紙にその名があった天霊院も、それまでの地味な実務の仕事から、後陣を預かる大抜擢をされたことになる。このことからはまた、ロンデハイネが、自らを責めていた霧島のことを評価しており彼の意見を重要視したことも窺える。
 こうして、『南部戦記』初期における最初の大きな戦いと言われる、東の谷の戦いへの軍が編成されたことになる。
 構成についての若干の補足をしておくと、レーゼセイバーズ以外に、中軍に配置されているもとパルボン私兵については、獅子小隊に助力してきたクライスが前回において指揮した隊であり、彼が南へ去る際に、希望者は獅子小隊へと組み込めないか、かけ合っていたのだった。もともとが私兵であるので、彼らは主(クライス=パルボン)の言に従い、そのまま獅子小隊に混ざった(レーゼセイバーズ以上に、扱いにくい部隊ではあったが……)。
 後陣のニャオリ兵は、旧オークスバレーから呼び寄せられ、中軍(鋼鉄の獅子)橘カオル(にゃんこ小隊長)の預かる分を後陣に配置したものである。獣人兵については、三日月湖動乱以降に、教導団側に帰順してきた一族があったので、パートナーに獣人を持つ天霊院のところへ配置した。



2-01 雪の谷へ

 一月に入って、時折、三日月湖にも雪がちらつくようになっていた。
 李梅琳、レオンハルト・ルーヴェンドルフ(れおんはると・るーべんどるふ)らは湖賊の協力を得て、東河を下り、川沿いから東の谷に入るポイントを探す。湖賊によると、東河が南東へ蛇行する付近に、なだらかな岸辺があり、そこになら船を着けることもできるし、緩い勾配の丘がしばらく続いているという。教導団は、そこに最初の陣を張って、先鋒から順々に谷へと進軍していく、という方針をとることにした。
 三日月湖が遠ざかり、両岸が切り立つ崖になってくる。東の谷への入口に差しかかったのだ。
 やがて、辺りは雪に包まれ始めた。
 しんしんと降る雪。
 船上では……
「カオ君いらっしゃいませかなっ、ようこそ獅子へ、なんだよっ♪」
 パーン。弾ける、手作りクラッカー。
 いきなり、これから戦いという雰囲気ではないところから始まったが。こんなところで入隊歓迎というのも風流?なものだろう。
 ルイン・ティルナノーグ(るいん・てぃるなのーぐ)トゥルペ・ロット(とぅるぺ・ろっと)シェルティ・セルベリア(しぇるてぃ・せるべりあ)らがはしゃいでいる。
 その真ん中にいるのは、
「わぁー。あ、ありがとう。照るなぁ。こんな歓迎されたの始めてかも。って、ほんとにオレなんか歓迎されていいのかな?」
 橘 カオル(たちばな・かおる)
「もちろんであります!」「わんわんっ。わん♪(尻尾振り」
 とことんほのぼのしてる……これもまたよし。
 一方、
「ほのぼのはシェルティたちに任せ……と」
 鋼鉄の獅子・副官のイリーナ・セルベリア(いりーな・せるべりあ)だ。
「今まで後方だった李少尉が何故、いきなり前線に来たのだろう?」
 梅琳は、船室に控えている。付近の梅琳兵に、それとなく聞いてみるが、
「……フラグ……」「……フラグ……」「……フラグ……」
「?」
 いまひとつ要領を得なかった。
「フラグ? もしかして?」
 そのとき、船に高く掲げられた梅琳旗が、ばさばさっと大きな音を立てて、落ちてきた。
「あ、危ない……!」
「くっ。戦いの前に、将旗が折れるとはふ、不吉な!」
 レーゼマンがメガネの位置を直しつつ、言う。
「隊長の体調も全快したし、戦闘力全開で行こ……って、ありゃ皆どうしたの??」
 ルカルカも来た。(駄洒落(無意識)が、更に仲間の心に打撃を……。)
「どうした?」
 船室から、レオンハルトが上がってくる。「このくらいのこと……」レオンハルトは崩れ落ちた旗を片手で掲げてみせた。
「おおっ」兵らも旗を支え、意気を取り戻す。
「前方、船を着ける岸辺が見えてきました」
 いよいよ、黒羊軍との戦いも近いか。
 シャンバラの獅子の牙は、そう容易く折らせはしまいよ。レオンハルトは不敵に微笑んだ。

 船の後部では尚、
「トゥルぺ、咲くであります!」
 春らしく(このシナリオではまだ周りは雪です)、開花して兵らの周りを回るトゥルペ。
「トゥルぺ、咲くであります!」
「は、ははは」なごむ兵。
 友好を深めつつある。
「わんわんわん」
 そんなトゥルペのリュックに入って、同じく兵らの間を回っているシェルティ。皆から、頭をなでてもらっている。
「そう言えばいっ君まだ合流してないんだよー」いっ君こと一ノ瀬月実(いちのせ・つぐみ)の心配をするルイン。「どうしてるのかなっ? 何してるのかなっ」
 その真相が語られるのは、だいぶ後の章になる。
「わんわんわん(あれ、カオルさんとシェルティってもしかしたら同じ立場? 互いにイリーナの犬だし)」
「わんわん(註:カオル/訳:だ、だったら。も、もしかして……!)」
 だっ。イリーナのもとへ駆け出すカオル。
「わんわん(おっぱいダァァァイブ)!!」
 ぽふっ(おっぱいダイブ成功)。
「カオル。よしよし、よく来たな。入隊歓迎だ。お手」
「わん」



2-02 ジャレイラの登場

 さて、船を下りた教導団はそこに陣営を張ると、早速、進軍を開始した。
「さあ、皆。急ぐわよ! 敵はすでに東の谷を進んでいるという報告が入っているわ」
 先鋒は、李 梅琳(り・めいりん)自身が率いる。
「こちら側へ至る谷は渡らせないわよ」トミーガンをかまえてみせる、梅琳。「ジャレイラ・シェルタン。私が撃ち倒してあげるわ」
「メイリン様。今回も私がメイリン様をフォロー致します」
 勿論、エレーネ・クーペリア(えれーね・くーぺりあ)も、しっかり付き従う。
「では、レオンハルト? 続く中軍は、頼むわよ」
「李少尉。我ら鋼鉄の獅子にお任せを」
「あっ、……」梅琳に、声をかけようか、迷うカオル。け、けど……今は軍の一兵だしな。それに、ここはもう戦場……
「む? カオル。どうした?」
 レオンがカオルのことを呼んだので、
「……!」
 梅琳がちらっとこちらを向いてくれた。
「あ、えーと」
「カオル。しっかりな!」
「あ、ああ! えへへ……」
「と、李少尉は言ってるんじゃないか?」カオルの肩をぽんと叩くイリーナだった。



 細い谷あいの道を行く、教導団部隊。
 やがて先鋒が谷間へ消えていくと、やがて後続するレオンハルト・ルーヴェンドルフ(れおんはると・るーべんどるふ)ら鋼鉄の獅子が進軍を開始した。
「ルカルカは我ら鋼鉄の獅子の先陣に、レーゼマンは後方、イリーナは中央の兵とパイプを繋いで置け」
 レオンハルトは、それぞれに指示を与える。
 ここは東の谷の脇にあたるほんの一区画であり、まずは本ルートに到達せねばならない。調べによると、そこに先鋒がたどり着くまでにも、半日はかかるだろうか。
 最初に張った陣営はあくまで仮の陣営で、本ルートに着けばそこに陣営を設ける。
 後軍の出発には、今しばらくかかる。
 後軍を預かる天霊院 華嵐(てんりょういん・からん)は陣舎にて待機。その間にも、地理や書類全般に目を通している。
 オルキス・アダマース(おるきす・あだまーす)は、捕虜になってしまったことの失点を取り戻そうと、その手伝いをしたり、お茶をくんだりと一生懸命だ。天霊院 豹華(てんりょういん・ひょうか)は、進軍する部隊の方に定期的に出て行き、連絡を取り持っている。
 ここには、隊の補給物資を抱える輜重隊も待機している。



 船上から、固い表情のまま、ずっと無口にいた金住 健勝(かなずみ・けんしょう)。そこには、前回三日月湖の戦いにおける失敗の反省と、今回の彼の決意も秘められていたわけだが。
 だが、すぐ後ろに付いてきているレジーナ・アラトリウス(れじーな・あらとりうす)の方を見ると、申し訳なさそうな表情になる。
「健勝さん。……。
 だから前にいつも一緒ですから、って言いましたよね?
 いつまでも引きずってると格好悪いですよ」
「そ、そうでありましたね」
 前回、三日月湖の戦いでは、敵、殺し屋ケルメロス・コッタッティアを本営にまで誘導してしまうミスを犯した金住。その懲罰人事ということで……梅琳率いる先鋒の、更に斥候隊として、全隊のいちばん先を進んでいるのだった。
 すでに、彼は東の谷の本ルートに入り(無事、道が通っていたことを梅琳本隊に届け)、そのまま、谷へと向かった。
 そして彼はそこでとうとう、敵と対面する。
 谷の向こう側に、揺れるのは、黒羊旗。
「す、すでに待ちかまえていたでありますか……!」
 レジーナは……
「ええ。渡ってきている様子はありませんね? すぐに報告を……はっ」
「レジーナ? どうしたであります……?」
「あ、ああ、……」
 レジーナの視線の先、敵将旗の下にいるその人に、レジーナの視線は囚われた。
 レジーナは、同族であることを感じ取ったのだが、しかし、すぐその格の違いに、瞬時に怯え、動きがとまってしまうほどであった。その女の手に燃える剣は……
「(あれは光条兵器? ということは私と同じ……いえ、違う。私なんかじゃ比べ物にならない……!)」
 ふるふる、震えるレジーナ。「(注:決して胸の大きさじゃありませんよ)」
 ジャレイラ・シェルタン(じゃれいら・しぇるたん)
 しるしの女と呼ばれ、黒羊郷の新しき神に選ばれた女性だ。



2-03 ジャレイラ・シェルタン

 場面は一旦、黒羊郷に、時間は復活祭の後日へと飛ぶ。
 あの、復活祭の後の、面会の場で、ジャレイラの手に現れたまがまがしい黒色の光条剣……。
 琳 鳳明(りん・ほうめい)は、あのときはどうすることもできないまま、立ち尽くすばかりだった。
 その場に警戒が敷かれたが、ジャレイラは無表情に、その黒い光を収めると、彼女はそのまま信徒らとの面会を続けた。
 琳は、ジャレイラと相まみえたそのときに感じた、ジャレイラという女性が内面に抱える"何か"に対して、同情のような底知れぬ興味のような、または自分を重ねてしまうような……とにかく彼女に魅かれている自分自身を自覚し、その後も、何となく、黒羊郷の地を離れられないでいた。
 あのときに感じた、神となった女性、でも、私たちと同じように、たとえば、学園生活を楽しんだり……そういう年頃の女の子である、とも思えたこと。
 異端信仰の神としてでない、ジャレイラという個人を知りたい……理解したい、そう思う心も生じていたのだ。思い切って、ジャレイラの傍に仕えてみるということも考えてみたが、新しい神を慕う信徒は多く、その傍に……と願う者は数知れず、いるわけだった。
 そんな中、いよいよ、教導団討伐の大規模な軍が組織され、再び、ジャレイラはその前に立った。黒い炎の剣を、高く掲げて……
「我が黒い炎フランベルジュ。全てを切り刻み、焼き尽くすのだ。
 そして我が黒い軍よ、教導団を殺し尽くせ!」
 そのときのジャレイラには、邪悪なものすら感じられた。どちらなのだろう、いや、その本当の姿は見せていないのかも知れない、ジャレイラ。その手に持つ剣のごとく憎しみの炎なのか、神として民の前にあったとき彼女を覆っていたようなつめたい氷のような……それとも、奥にあるものは、ただの暗闇かも知れなかった。
 そうして日々過ぎる中で琳は……
「おぬし、そこのおぬしだ。
 おぬし他国から来た者だな」
「えっ……」琳は不意を突かれた。まさか、私のことがばれた?「あ、ああの、私……え、あれ?」
 声のしているそこには、誰の姿もない。
「どうだ、わしと契約せぬか? 悪いようにはせぬぞ」
 声の主が、実体化する。
 大人びた雰囲気と妙に偉そうな態度、更に目つきの悪い……ほんの子どもの姿があった。
「……ふむ。これはまた幼い映し身だな。おぬし……ふむ、鳳明というのか。おぬしの趣味か?」
 黒羊郷の騒々しさに、眠りから醒めた……ヒラニプラ南部の地祇であった。
 地祇は、髪を一房つまむと、
「……。血を随分吸ったようだな」少しだけ険しい面持ちになり、呟いた。戦の準備に物々しい街の様子に、「この地も変わったものだな。まぁ千年も経てば当然か。にしても、新しい神とは……」
「う〜んヒラニプラ南部地方だから……よし、名前は南部 ヒラニィ(なんぶ・ひらにぃ)ちゃん! 判りやすくかつ可愛い名前でしょっ」
「う、うむ……それはいいが。……
 しかし、不思議だな。
 わしにも、その神とされている娘の記憶が、わずかにだが刻まれている。
 わしの司どる辺鄙な土地にまで、何故なのじゃ?
 わしも、眠っておった間にわしの上で起こったことの記憶は、夢と同じにあいまいで、はっきりとは思い出せぬが……浅い夢の部分に、な」



 黒羊郷付近に潜伏し、ジャレイラを追ってきた者たちがいる。
 その一人は……復活祭の後に、新しい神となったジャレイラの命を狙おうとした男。
 ルース・メルヴィン(るーす・めるう゛ぃん)
 巡礼と一緒に、黒羊郷に入っていたのだった。
 彼は前回、教導団の敵として明らかになったこの女の暗殺に失敗しすぐさま追われる身となり、命からがら黒羊郷へ至る谷の近くまで逃げてきたのだった。
 そこで、他の助けになろうと谷を追ってきていた、、ウォーレン・アルベルタ(うぉーれん・あるべるた)、この地で彼と出会った獣人の清 時尭(せい・ときあき)によって、救い出された。
 ルースは逃げて来られたのが不思議なくらい、瀕死の状態であった。
 突き立つ幾本の矢。
 ウォーレンはまず、何よりもルースの治療を優先とするため、清の案内を得て、近くの安全な山へと退避した。
「ル、ルース……大丈夫か?」
 ウォーレンは獣医の心得を活かし、傷を手当てしていった。
 ルースが意識を失っているうちに矢尻を抜き、すぐに傷を縫い合わせ化膿止めを塗っていく。
 ルースは意識が戻ると、ウォーレンにしきれないほどの感謝を述べ、そして、復活祭でのことを全て、話した。
 深刻な顔になる、ウォーレン、ルース。
「……まぁ、みかんでもどうです?」
 清が、ルースに、主ウォーレンにも、みかんを手渡した。
 半月ほどが経ち、ウォーレンの傷も回復してきた頃、付近の獣人の村で、黒羊郷の新しき神となったジャレイラ・シェルタン自ら軍を率い、この谷を通っていく、と話が聞かれ始めた。
「ジャレイラ・シェルタン……!」
 ルースは、少しきつい表情を。あのときの光景が、甦ったのだろう。復活祭。ジャレイラの言葉。その後の対面。光条兵器……。
 ルースは、立ち上がる。
「ルース……! 無理はしない方がいいぜ。って言っても、決意は固そうだな。
 俺も行くぜ☆」
「ええ、ウォーレン。皆に迷惑はかけたくありません。でも……」
 この前、オレが仕留めていればこの戦争が起こらなかったかも知れない。思い上がりだとしても……これはオレがケリを付けるべきです。そうルースは思い詰めた。
「ルース……。わかったぜ」
 ウォーレンは、ルースを包帯でぐるぐる巻いた。
「え、え? ウォーレン、そこの傷は治りましたよ? ちょっと巻きすぎじゃ……ぐく」
「ああ。これでいいんだぜ、ルースは一度黒羊郷に入ってるし、誰だか判んないようにっ」
「おっと、えぇ、そうですね。じゃぁぼろぼろになったフードもかぶって、顔には火傷の跡の特殊メイクでも施していきましょうか。名前も、ルークに変えてと」
 やがて、東の谷を通るジャレイラの軍に、続々、付近の獣人や魔物の集落から義勇兵が加わる、という話が聞かれ始めた。
「ちょうどいいんじゃないか」
「そのようですね」
 二人は黒羊軍に入ることはできないかものか、思案していたのだが、義勇兵の末端に付いていくことなら、自然とできそうだ。
「キヨもいることだし☆」
 はたして軍が谷間を通ると、「この怪我をさせた教導団に、何か一つでも復讐したいんです」といい、黒羊軍への忠誠と従軍を認められた。艶やかな漆黒毛の、二メートル近い狼姿になった清がいることで、近辺の民として他の者たちに溶け込むこともできた。
 彼らは更に彼らの策を秘め、軍の後方に付き従い、第四師団駐屯地を突くべく進軍していく。

 三人は、東の谷向こうには李梅琳と共に鋼鉄の獅子が軍を進めてきており、……これから彼らが窮地に陥ろうとしていようことは無論、今は知らないでいる。