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第1章 調理at士道科棟家庭科室
「お花見にはやっぱりおいしい料理がないとね、今回は『おせち料理』を作るよ!」
「透乃ちゃんがしっかりとした料理ですので、私はおやつということで大福を……」
霧雨 透乃(きりさめ・とうの)とともに家庭科室へとやって来た、緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)。
何やら皆さん、いろいろと思うところがあるようで。
「季節がちょっとおかしいかも知れないけど、正月を新春とも言うし、年度の始まりは4月なんだからいいんじゃないかな?」
「透乃ちゃんから普通の大福では面白みがないと苦情がきました。ということで『ロシアン大福』を作ります」
葦原明倫館の生徒につっこまれ、見解を述べる透乃。
陽子は、作ろうとしているモノについての仕組みと面白さを説明する。
「おせち料理といってもいろいろあるけど、『田作り』、『黒豆』、『数の子の祝い肴』3種ははずせないね。
他の物……『口取り』、『酢の物』、『焼き物』、『煮物』なんかは作る量を考えると、せいぜい1つにつき2〜3種類くらいかな。
あとは『笹巻き寿司』も欠かせないね」
指折り挙げる料理名に、生徒達が材料を揃えてくれた。
透乃は礼を言い、調理器具へと手を伸ばす。
「そんなに不味くはないと思いますが……」
陽子が取り出したのは、持参したあんに加えて『チョコレート』と『妖精スイーツ』。
さらに。
「いわゆるハズレですね。辛いものが苦手な私は絶対に食べたくありません」
『わさび』や『からし』、『唐辛子』などの辛いものを、机上へつぎつぎと並べていく。
頬をかきかき、生徒達とは逆に笑ってみせた。
「私達の料理、みんな喜んでくれるかな〜?」
「外側は全て同じようにしたので、私も中身はわかりません」
皆の笑顔を思い浮かべると、透乃の口元も自然と緩む
陽子も量産された大福を眺めてみて、ほくそ笑んだ。
「さて……葦原明倫館にはこれらの料理に合いそうな容器もあるはずだよね、雰囲気もだしたいからね」
できあがった料理は、生徒達が出してきてくれた容器を借りてつめこみ。
おせち料理と大福の入った、見事なお重が完成した。
「ふう、お花見はいいのですけれど……準備がめんどうなんですのよね」
(……場所取りよりは楽なのでこっちに来ましたけれど……紗月とアヤメは、わたくしがお料理できないって思ってたみたいでしたわね)
調理道具を準備する小冊子 十二星華プロファイル(しょうさっし・じゅうにせいかぷろふぁいる)は、独りためいきをもらす。
パートナー達の驚いた顔を思い浮かべると、何やら腹立たしくなってきた。
「たしかに、あまりにこった物は作れませんけど、それなりの物なら作れるんですのよ?
まったく……あの2人をギャフンと言わせてやりますわ……!」
本日のお品書きは『煮物』、『焼き魚』、『厚焼き卵』、『お味噌汁』の予定。
「飲み物はやっぱり緑茶ですわね」
ふふふふ……待っていなさい……わたくしの料理の腕、しっかり見せつけてやりますわ!」
十二星華プロファイルは、気合いを入れて調理を始めるのだった。
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