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五機精の目覚め ――紅榴――

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五機精の目覚め ――紅榴――

リアクション


断章


「それで、特に何もせずに帰って来たというわけですか」
 理知的な二十代半ばくらいの男が、戻ってきた影――芹沢 鴨に向かって呟く。
「邪魔が入ったもんでな。まあ、それなりに楽しめたからよし、だ」
「そうですか。ただ、あまり目立つような事は慎んで下さいよ」
 鴨に背を向け、もう一人の人物の方へ向かって歩いていく。

「生きてるのか、『それ?』」
 その二人を遠目に、鴨が口を開いた。
「ああ、ちゃんと……生きているよ」
 三人目の人物が静かに告げる。
「この子のために、『アイン』の力が必要だ」
 横たわる人影を、じっと見つめていた。
「それにしても、大した生命力ですよ。この姿で、よく我々についてこれたものです。さすがはあなたの『娘』、といったところでしょうか」
 理知的な男も、ただその影に視線を送っていた。

「……計画に、想定外の事態が起こっている。『彼』の身に危険が迫っていたのは知っていたが……」
「傀儡師、ですか? それとも……」
「おい、伊東。あれについて何か知ってんのか?」
 鴨に伊東と呼ばれた男が答える。
「いえ、特には。ただ、それでも分かる事はありますよ」

 静かに眠る女性の姿を見据え、三人目が呟いた。

「この子たちを守るために、急ぐ必要がありそうだよ」
 その人物は、部屋の外へ向かって歩き始めた。

「予定よりは早いが、直接私が会いにいくとしよう。あの二人は自分から何かしようって子じゃないからね」
 その顔は陰になっていてどのような感情があるのか、他の二人には分からない。

 その人物に付き従い、伊東と呼ばれた男、鴨の二人も静かに部屋を出た。


To be continued……


担当マスターより

▼担当マスター

識上 蒼

▼マスターコメント

 ご参加頂きありがとうございます、識上です。
 以前の「遺跡編」以上にシリアス増し増しな結果となりました。それだけではなく、物語の方も私の想定外の方向に進んでおります。
 今回はゲーム性と物語性の両立の難しさを知った執筆でした。ゲーム機のやってる処理を人間がやろうとするのは無謀だったかもしれません。シーカー学長並の頭脳が欲しいです。
 
 まず謝罪を。
 シナリオガイドにて「蒼空大学」となっていましが、正しくは「空京大学」です。申し訳ありませんでした。
 
 続いて、今回のアクションで気になった点が一つ。
 手段におけるダブルアクションは少なかったのですが、MC、LCの別行動というのが目立ちました。
 ストーリーの中で分断されることはございますが、アクション時点で断定してしまうとダブルアクションとして処理されてしまうのでご注意ください。
 加えて、私はレベル等のパラメーターも全て判定基準に入れております。特にバトルの際はかなり影響するという事を念頭に入れてくださればと思います。PCの特性に合わせたアクションをかければ、採用率は上がるでしょう。

 今回は、遺跡パートのアクションの大半が「最深部」へ向かうでした。そのため一部振り分け処理を行っております、ご了承下さい。
 その中でのアクション被りも多く、全体を通すと非常にもったいないな、という印象を受けました。
 ともあれ、物語としては終わり方が若干グレーなものの、救われた部分が多いのではないかという気がします。謎も少しずつではありますが、明らかになってきています。その分、また別の何かが出てきてしまっていますが……

 このシリーズは一回完結形式をとっておりますが、今回の結果は次回のストーリーに影響を与えています。実は、今回の結末によって次回の舞台が変わるように設定しておりました。

次回、「五機精の目覚め ――翠蒼の双児――」は五月中の公開を予定しております。おそらく、今回よりもさらに難易度が上がると予測されます。
 日程が決まりましたら、ブログ「条理を識りし蒼」と、NPCのエミカ・サウスウィンドの自由設定欄の二ヵ所で告知を行います。

 それではまた次回皆様にお会いできるよう祈りつつ、失礼致します。