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たっゆんカプリチオ

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たっゆんカプリチオ
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リアクション

 
    ★    ★    ★
 
「なんだか騒がしいですね」
 通路の角にある喫茶コーナーの椅子に座って、九条 風天(くじょう・ふうてん)が言いました。
 イルミンスール魔法学校の図書館に行ってみようということでここまでやってきたのですが、当然のごとく迷ってしまいました。しかたないので九条風天はここに残って、パートナーの白絹セレナが購買に地図を買いにいったのですが……。
「それにしても、白姉遅いですねえ」
 さすがに待ちくたびれた九条風天は、キョロキョロと周囲を見回しました。周りでは、数人の学生が、のんびりとお茶をしています。
 視線の合ったレイディス・アルフェイン(れいでぃす・あるふぇいん)が、軽く会釈をしてきました。つられて、九条風天も会釈を返します。
 しかたないので自分ももう少しのんびりすることにした九条風天でしたが、幸いなことにじきに白絹セレナが戻ってきました。
「すまなかった、待たせてしまったようだな。実は、いろいろあって、マップが買えなかったのだよ。おわびに、飲み物を買ってきたので、一息ついてはくれまいか」
 そう言って、白絹セレナが手に持っていた紙コップを、丸テーブルの上におきました。
「ありがとう」
 なんの疑問もなく、九条風天がそれを飲み干します。
「ぐっ……、なんですか、これは。苦い……」(V)
 九条風天が顔を顰めました。
「最新の健康ジュースなのだよ。ノニジュースなみにまずいが、効果はバッチリらしいであるぞ。ちゃんと飲んだな。よしよし、頑張ったな、後でぎゅっとしてやろう」(V)
 意味ありげに、白絹セレナがウインクをして見せます。
「なんじゃ、こりゃああああぁぁぁぁ!!」
 突然、すぐ隣のテーブルから叫び声があがりました。レイディス・アルフェインです。
 彼が飲んでいたらしい紙コップがその手から落ちて、中身がテーブルの上に零れて広がります。レイディス・アルフェイン本人は、完全にショックでフリーズしています。そして、彼の胸はすばらしいたっゆんたっゆんになっていました。
「ふふふふふ。ほーんとに効果覿面だわ。なーんて、すばらしいたっゆんなの」
 レイディス・アルフェインに飲み物を持ってきたらしいターラ・ラプティス(たーら・らぷてぃす)が、面白そうに高笑いをあげました。
「わあい、凄いんだもん」
 隣にいる朝野 未沙(あさの・みさ)も歓声をあげます。
「でしょ、でしょ。さすがレイディスよね」
 ターラ・ラプティスが同意します。
「どうなってるのだろー。本物っぽいのかなあ」
 好奇心で目を輝かせながら、朝野未沙がむんずとレイディス・アルフェインの胸をつかみました。
「ひゃっ、ふはぁ、ははははははは。こ、これ、やめ、やめりょ……」
 その衝撃に、レイディス・アルフェインが我に返ります。
「まあ、生意気に本物っぽいわね」
 ターラ・ラプティスが、軽く目を細めてレイディス・アルフェインの胸を睨みました。
「うーん、本物とそっくりだけど、やっぱりくらべてみないとだめだよね」
 そう言って、朝野未沙は右手をレイディス・アルフェインの胸に残したまま、左手でターラ・ラプティスの胸をつかみました。揉みくらべです。
「あ、こら、未沙ったら」
 動じることもなく、ターラ・ラプティスが言いました。胸を揉まれたからといっても、所詮は女の子同士です。
「おまえらー!!」
 怒ったレイディス・アルフェインが、逆襲とばかりに思わず二人の胸に手をのばしました。
「わーい」
「きゃっ、何するのよ、変態!」
 真逆の反応を二人の女の子が示します。その瞬間、再び我に返ったレイディス・アルフェインが、自分がしたことに気づいて完全にフリーズしました。
「いったい何が起こっているんです? うわっ、なななな、白姉、なんですか、この手は! この胸は!!」
 隣のテーブルの騒ぎを呆れながら眺めていた九条風天でしたが、いきなり白絹セレナに背後から胸をつかまれて声をあげました。なんということでしょう、自分の胸もみごとなたっゆんになっています。
「よいではないか、よいではないか」
 たっゆんを堪能しながら白絹セレナがお約束の台詞を言います。どうやら、一度言ってみたかったようです。
「やってくれますね。それ以上すると、白姉でも許しませんよ!」(V)
 九条風天は腰の野分を鞘ごと腰から抜いて、棍棒代わりに後ろを叩きました。
「甘い」
 ひょいと避けた白絹セレナが、手に力を込めます。
「ふにゅひゃはぁ」
 意味不明の言葉を発しつつ、九条風天が暴れました。
「ほれほれ、あんまり暴れるとたっゆんがはだけてしまうぞ」
 楽しそうに白絹セレナは言いました。
 もう、公衆の面前で大変なことになっています。
 もちろん、この後全員が風紀委員にふんじばられて、お仕置き部屋へと連行されるのですが、女の子たちはそんなことは微塵も思わず、この世の春を楽しむのでした。