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はじめてのおつかい(ペット編)

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はじめてのおつかい(ペット編)

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    ★    ★    ★
 
「では、ここで途中経過を発表したいと思います」

 1.ルタール         2.藤乃         3.コト      4.カタリーナ
 5.村雨丸          6.影虎         7.槲       8.ニャルラトホテプ
 9.ナイアルラトホテップ  10.小雪        11.オルカ    12.バフバフ
13.ふぎむに        14.小ババ様      15.マカロン   16.納羽
17.レイストリオ      18.ロウファ      19.ゆーちゃん  20.ロビー
21.レオン         22.ゴーレムたち    23.む〜にゃ   24.甚八
25.ローゼンクライネ    26.ミーシャ      27.タイタン   28.セイツェマン
29.ヒカリ         30.パンとティー    31.ネコ軍団   32.シヴァとゼノン
33.ティーカップパンダ軍団 34.小剛        35.ヨシテル   36.アルビナス
37.オルガ         38.フラウラス     39.ビスマルク  40.門次郎
41.テオル         42.黒竜白竜      43.蛇のトリオ  44.ガブリエル
45.スラの助さん      46.カルディア     47.ミヤルス   48.フォルテシモ
49.風雅          50.シュナイダー12世 51.ゲキとフレキ 52.ゆるゆるパイレーツ
53.右介と左介
 
 
残り20ターン
 
 
「さあ、レース開始からすでに一五分以上経過していますが、ここに来て大きな変化が起きたようです。直接中継車を呼んでみましょう。大谷さんー」
 
    ★    ★    ★
 
「はーい、こちらトップグループです。これまで、罠に見むきもしなかったルタールさんですが、ここに来てついにライゼ・エンブさんが沿道に広げていた餌に引っかかってしまいました。どうやら、月詠司さんの食べ物よりも美味しく見えたようです」
 
    ★    ★    ★
 
「あちゃー、ここに来てファンぶったか……」
 快進撃もここまでかと、本郷涼介は頭をかかえた。
 二位につけていた神代明日香のコトちゃんが一気に間を詰める。その後には、追いあげてきた悠久ノカナタの村雨丸がついている。ここにきて、かなりの順位の入れ替えがあったようだ。
「いけー、マカロンちゃん凄い〜。そのままいっちゃえー!」
 モニタを見て、秋月葵が叫んだ。
 矢野佑一が上から怨念石を落として脅かすという罠をものともせずに、マカロンが雄々しく突き進んでいく。
 だが、同じ罠で、マリア・ハッツフェルトのカタリーナは、パニックになって周囲をバタバタと飛び回り、森の中の木にぶつかって墜落していた。
「やはり、あちこちで罠に引っかかるペットたちが続出しているようです。特に、現在、月詠司さんの所は大繁盛のようですね」
「よし、学習したな。もう餌には引っかかるんじゃないぞ」
 カラシのダメージから抜け出して走りだしたニャルラトホテプを見て、エッツェル・アザトースが拳を握りしめた。
 だが、入れ替わるようにして、マティエ・エニュールのミーシャと、あろうことか小ババ様が餌に引っかかる。
「あう、ミーシャ、無理はしないでくださいね」
 思わず、マティエ・エニュールがモニタにむかって祈った。
 
    ★    ★    ★
 
「みゃう……」
 よほどまずかったのか、ミーシャが口からボロボロとカリカリをこぼしながら呻いた。
「こ、こばこばこば……」
「だめですよ小ババ様、氷砂糖なんか食べてちゃ。レースですよ、レース。ああ、手を出せないのがもどかしい」
 着陸させたワイバーンの上で、音井博季が身悶えている。
「ああ、小ババ様。こ、この程度の妨害で、私のアーデルハイト様と小ババ様への愛は! LOVEは! 屈しません! はい、そこで美味しいというポーズ! いただきましたあ!!」
 罠にかかった小ババ様もかわいいと、風森 望(かぜもり・のぞみ)がビデオを撮りまくる。
 その横を、ルカルカ・ルーのゴーレムたちがドスドスと追い抜いていった。だが、まだオルガを落っことしたことには気づいてはいない。肝心のオルガは、ほとんどビリに近い位置をとことこと一人で歩いていた。
 だが、本当のビリ争いは、熾烈な様相を呈し始めていた。
 
    ★    ★    ★
 
「こちら、最終組だよ。静かなデッドヒートが続いてるんだもん」
 レテリア・エクスシアイがマイクを握りしめて言った。
 ちゃんと破片がくっついていなかったらしく、鎧の一部を手で押さえながら走っていく武者人形の風雅に、ついに右介と左介が追いついたのだ。
「今よ、追い抜くのよー!」
 ルルール・ルルルルルが叫ぶ。
 はたして、どちらが先行するのであろうか。
 
 
残り19ターン
 
 
「先頭グループでまた順位の変動があったようです。大谷さーん」
 
    ★    ★    ★
 
「はーい。思わぬ伏兵の戦部小次郎さんの景虎さんが一気にトップに躍り出ました。ところが、自称遭難中のエレナ・フェンリルさんに追いかけられて逃げ回っています。どうやら、食料と見なされたみたいなんですが、なんとか葉月エリィさんのサイコキネシスでエレナ・フェンリルさんは取り押さえられたようです。景虎さん、束の間の勝利でした。二位は染谷こうきさんのレオンさんが躍り出ましたが、なんとこちらも凍りついた地面ですべってしまい身動きがとれなくなっています。狼さんなので顔色は分かりませんが、多分真っ青になっているみたいです。仮面のお兄さんの高笑いだけが、不気味に響き渡っています。そして、その間に、リアトリス・ウィリアムズさんのロウファさんと、神和瀬織さんの藤乃さんと、やっと餌を振り切った本郷涼介さんのルタールさんが一気に追いついて三位は混戦状態です」
「やったあ。今度こそトップ維持だよー、ルタール」
 伴走するクレア・ワイズマンが、ルタールに声援を送った。
 
    ★    ★    ★
 
「カタリーナ、楽しそうだね……。ていうか、危機感ないよ……。一応マリア、人質になってるんだよ」
 パートナーのペットの様子を見にきたセルシア・フォートゥナ(せるしあ・ふぉーとぅな)は、矢野佑一の落とす怨念石にまだ興味がありそうに旋回するカタリーナを見て、ふっと溜め息をついた。ミルディア・ディスティンのゆーちゃんや、朝霧垂のティーカップパンダ軍団は、そんな物など意にも介せずに進んでいる。
 
    ★    ★    ★
 
 さすがに罠があるということに慣れてきたのか、ライゼ・エンブの餌に引っかかったのはエリシア・ボックのゴーレムのフォルテシモだけであった。
「さあ、緑茶をどうぞなんだもん」
 そうライゼ・エンブに言われて、御主人のエリシア・ボックに持っていこうかどうか迷ったらしい。少し困った様子でじたばたとしている。
 その間に、ジーナ・ユキノシタのゴーレムのビスマルクと、酒杜陽一の犬の甚八と、鷹野栗の狼のミヤルスと、ヘラ・オリュンポスの狐のカルディア、さらに、小腹を満たしたらしい復活の小ババ様がライゼ・エンブの罠から遠ざかっていく。
「フレー! フレー! 小ババ様! ファイト! ファイト! 小ババ様!」
 ここぞとばかりに、風森望が上質の布を振って音井博季と共に小ババ様にエールを送った。
 その少し後方では、キャプテン・ワトソンのオルカから別のペットに飛び移ろうとしたナイアルラトホテップが、無残にも道に落ちて後れをとっていた。逆に、身体が軽くなったオルカが順位を上げる。
 
    ★    ★    ★
 
「はい、こちら最下位グループだよ。また、右介さんと左介さんが息切れして最下位に落ちています」
 レテリア・エクスシアイのレポートは、だんだんと単調になってきたようだ。