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はじめてのおつかい(ペット編)

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はじめてのおつかい(ペット編)

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残り13ターン
 
 
「さあ、トップグループはもうゴール目前です。現在、僅差でトップは藤乃さんで変わりませんが、二位と三位はまた入れ替わりました。カタリーナさんと村雨丸さん、激しいデッドヒートです」
 
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「うっ、寄生虫が罠にかからなかったのはしかたないとしても、一度にわらわらとゴーレムがかかるとは……」
 鬼崎朔は、自分が仕掛けた罠の中でのたうっているルカルカ・ルーのゴーレムたちを見て苦笑していた。
 餌の機晶石に、こうも簡単にかかってくれたのはいいが、しびれ粉はあまりゴーレムに有効とは思えなかった。転がるゴーレムたちによって、しびれ粉を仕込んだ煙玉が次々と破裂されていく。これでは、無駄に罠を潰されたに近いのかもしれない。
 
    ★    ★    ★
 
「何か向こうに煙が見えますぅ」
「こちらへ流れてきますわ」
 すぐ近くにいたメイベル・ポーターたちが煙に気づいたが、ちょっと遅かった。
「ううっ、なんだかしびれるんだもん……」
「て、敵は……」
 完全なとばっちりを受けて、メイベル・ポーターたちはその場にぱったりと倒れた。彼女たちにとっては不幸な事故だったかもしれないが、レースをしているペットたちにとっては、同じ不幸な事故で叩き潰されなかったのは幸いだったろう。
 
    ★    ★    ★
 
「ほら、もうビスマルクは脱出しましたよ……って、ああっ、今度はうちのヒカリがあ」
 ジーナ・ユキノシタをなぐさめていた七尾蒼也は、自分のペットであるデビルゆるスターのヒカリが、ナナ・ノルデンの作った給水所で皿からミカンジュースを飲んでいる姿を見て、頭をかかえて苦笑した。
 その姿には、さすがにジーナ・ユキノシタもつられて笑ってしまう。
「同じですね」
「えっ、ああ。同じだな。すぐにレースに復帰してみせるぜ」
 ジーナ・ユキノシタに微笑みかけられて、七尾蒼也は、そう答えた。
 
    ★    ★    ★
 
 集団となって駆け進んでいた立川ミケのネコ軍団とヘラ・オリュンポスの狐のカルディアが、ぬかるんだ道の泥を跳ね上げながら第七十六区画に飛び込んでいった。
 地面には、レーヴェ・アストレイの仕掛けた氷の魔法陣がある。
「ふぎゃあ!」
 べたべたと、猫たちと狐が魔法陣に貼りついた。
「きゃあ、お祓い。じゃない、お湯、お湯!」
 悲鳴をあげながら、立川るるがその先のナナ・ノルデンの給水所にお湯を取りに走った。
 そんな騒ぎをよそに、ミシェル・シェーンバーグのむ〜にゃがしてやったり顔で悠々と罠を避けて通っていった。
 この辺りは、まさに罠の密集地帯だ。
 先頭グループからはかなり遅れてしまったリアトリス・ウィリアムズのロウファが、マナ・ウィンスレットの氷屋に立ち寄って氷水にぷるんと身体をふるわせたかと思うと、長机の脚におしっこをかけてこの氷は自分の物宣言をした。
 
    ★    ★    ★
 
 未だアルコールがたちこめる第六十二区画に飛び込んだ毒島大佐のヨシテルは、そのまま猛進して日本酒の釜をひっくり返してしまった。日本酒を被った身体に火が燃え移るのを、あわててグルグルと走り回って消そうとする。
 その間に、朝霧垂のティーカップパンダたちは真っ赤な顔をして、いい気分で肩を組みながら再び走り始めていた。いつの間にか遅れていた一匹も合流している。
 
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 マティエ・エニュールのミーシャは、サザエが反撃してこないのでつまらなくなってすねてしまってから、とぼとぼとレースに復帰していった。
 
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 影野陽太の罠の再設置が間にあわないうちに、キャプテン・ワトソンのオルカとラルク・クローディスのタイタンが悠々と第五十八区画を突破していく。
 
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 ビスマルクが離脱したノルニル『運命の書』の出店の横を、ギルベルト・ハイドリヒのガブリエルが低く唸りながら通りすぎていった。また今度も、毒の餌だと判断したらしい。
 
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 潰されても潰されても奇跡の復活を遂げた黒竜と白竜は、形を取り戻してレースに復帰していた。
 すぐ後ろからは、すべる氷に苦労しながらもなんとか渡り終えたゲキとフレキがそれを追いかけてきていた。
 
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 最下位は、マイペースで進んでいるスラの助さんである。