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卜部先生の課外授業~シャンバラの休日~

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終章 「おつかれさまでした!!」

「え〜、それでは僭越ながら、幹事である私宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)が、乾杯の音頭を取らせて頂きます」
旅の成功を祝う打ち上げのセッティングを準備万端調え、一行の到着をてぐすね引いて待ちわびていた祥子は、グラスを手に立ち上がると、高らかに宣言した。
「みなさーん、お疲れさまでしたー!カンパーイ!」

「「「「「「カンパーイ!」」」」」」

この打ち上げの会場は、その味と値段のバランスの良さから、空京でも一、ニを争う人気を誇る鍋専門店。
しかも、いったいどこから予算がついたのか、今回はなんとふぐ鍋である。

「お疲れ様、セイニィ。お酒、ダイジョブだったよね」
セイニィにひれ酒を勧めつつ、隣に座る祥子。
「それで、どうだったの、今回の旅は?」
「え、あぁ、うん。どうって言われても困るけど――」
ボツボツと、口を開くセイニィ。酒の力もあったのか、セイニィはいつもに比べ遥かに素直に、旅であったことを語った。

「ふーん、そんなコトがあったんだ……。それにしてもさ……、セイニィはセイニィで魅力的だと思うけど、そんなに胸が気になるの?ボーイッシュでスポーティなとこは十分魅力的だと思うけどね」
「べ、別に!そんなコト、気にしてるわけないじゃない!」
「あ……、そう。気になるなら、効果的なバストアップの方法、教えてあげようかと思ったんだけど……」
「え!?」
「まぁでも、興味ないんなら、いいか」
「いや!興味はない!!興味はないけど……どうしてもって言うんなら、聞いてあげてもいいけど……」
相変わらずのツンデレっぷりにくすくす笑いながら、祥子が話し始める。
「矯正下着ももあるけど、それより何より『恋人に揉んでもらう』のが一番効果的よ。その結果がほらここに♪」
と自分の胸を指差す祥子。
「も、揉んでもらうって……」
顔を真っ赤にして、祥子の大きな胸を見つめるセイニィ。
「そうよー。好きな人から求められると、無意識のうちに身体が反応して、成長しようとするんだから」
「だ、ダメ!それはダメ!絶対にダメ!」
「えー、なんでー?」
「なんでもいいの!もうこの話はおしまい!!お手洗い行ってくる!」
それだけいうと、セイニィは席を立って、外に出ていってしまった。
「揉んでもらうと大きくなるだなんて、頼めないじゃない……」
誰もいない廊下で、セイニィはポツリとつぶやいた。



一時間後――。

無事美那を守りきり、見事にシャンバラ一周を成し遂げた一行は、その達成感と開放感から、ものすごい勢いで飲み、食い、ハメを外して騒ぎまくった。
料理はテーブルに並んだ端から消えて行き、廊下にはビールのビンがずらりと列をなし、宴会場はあっと言う間に阿鼻叫喚のちまたと化した。

「いいですか!オンナの魅力が花開くのは25を過ぎてからですよ!」
「え、先生この間、自分は永遠の2×歳だって……」
「そこのアナタ、ちょっと表に出なさい」

「私、胸触られたりして、もうおヨメに行けません!父様にも触られたこと無いのに〜!」
「美那ちゃん、それは普通触らないんじゃないかな……」

「美那ちゃ〜ん、一回だけ、一回だけでいいからスク水着てよぉ!」
「まだ諦めてなかったのかこのヘンタイ!」

「そうだ!このスク水は『ちっぱいの』セイニィにこそ相応しい!」
「オマエも黙れ!」

「みなち〜ん、あんなコト言ってホントは、オッパイおっきくする方法あるんでしょ〜、ねぇ〜、教えてよぉ〜」
「だ〜か〜ら、自分を求めてくれる人に揉んでもらえば、自然と身体が反応して大きくなるんだって!」
「うわ〜〜ん、リア充が、リア充が、リアハラしてくる〜!」

「オンナの魅力は大きさじゃなくて、形です!」
「もういいから胸から離れろ!」

「セイニィちゃ〜ん、今度はもっと上手にするからぁ、また一緒にお風呂入ろおよぉ♪」
「知らない!何のコトか、全然ワカンない!……知らないったら知らないの!!」

「セイニィ!俺が悪かった!オマエがそんなに胸のサイズを気にしているなんて、知らなかったんだ!!許してくれ!!」
「ウルサい!みんなオマエが、ワルいんだぁ!!」



「それでは最後に、美那さんに一言お願いします!」

やや憔悴気味の祥子がそう宣言すると、一同から割れんばかりの拍手が巻き起こった。
「え!わ、私ですか!む、ムリです、できません、そんなの……」
「ダイジョブダイジョブ!」
「美那ちゃんの話聞かなきゃ、アタシたち帰れな〜い」
「え、で、でも……」
「いいから早くしなさいよ!じれったいわね!」
セイニィに無理やり立たされる美那。

彼女が立ち上がると、途端に場が『しん――』と静まり返った。
「あの、みなさん、今回は本当にありがとうございました。長いようで短かったこの旅の間、色んな事があって、つらい事もあったけど、それ以上に、いっぱい嬉しい事がありました。本当は色々話したい事があったんですけど、色々有り過ぎて、何から話したらいいか全然わからないので、一言だけ言います。」
話している内にだんだん感極ってきたのか、涙ぐんでいる美那。
黙って話を聞いている生徒たちにも、もらい泣きしている者が何人もいる。
「見ず知らずの私にこんなに良くしてくださって、シャンバラは優しい人でいっぱいなんだってわかったことが、一番嬉しかったです……」

「ありがとうございました!」

言い終えて、ガバッと頭を下げる美那。
会場から、自然と温かい拍手が巻き起こる。美那が頭を上げた後も、拍手はいつまでも鳴り続けていた。



「だいぶ、楽しそうな旅だったんだな。俺も行けばよかったかな」
蒼空学園の校長室で、山葉 涼司(やまは・りょうじ)は、五月葉 終夏の持ってきた写真を面白そうに眺めていた。
「そうだよ!次は山葉君も、一緒に行こう!」
妙に力を込める終夏。
「あーあ、誰か校長代わってくんねーかなー」
「またそんなコト言って。辞める気なんか、ないんでしょ」
「……バレた!」
大きく伸びをして、椅子にもたれかかる涼司。
『いつだって辞めてやるぜ、環菜を殺したヤツをぶっ殺したらな』
ずっと天井を見上げたままの涼司。その心の内を、終夏が窺い知ることは出来なかった。

終夏が退室するのを確認して、涼司は隣の応接間に入っていった。
「お待たせして済みません。少し、話が弾んでしまいまして」
「いえ、大丈夫です」
「それにしても、随分と楽しんでこられたようですね。色々と報告を受けてますよ?」
「おかげさまで。期待していた以上の物を、学ぶ事ができました」
「そうですか、それは良かった。それで、この後はどうなさるんです?」
「とりあえず、帰るのは、しばらく止めておきます」
「それがいいですね。俺も、そうお勧めしようと思っていた所です。で、どちらに行かれます?」
「そうですね……。旅の間にそれを決めようと思ってたんですけど、何処も素敵な所ばかりで……。そうだ!もう一度、旅してみたら、決まるかしら!」
「勘弁して下さい……」
『このお嬢様には、当分振り回されそうだ』という絶望的な予感に、涼司は思わず額を押えた。

担当マスターより

▼担当マスター

神明寺一総

▼マスターコメント

皆さん、こん〇〇わ。神明寺です。
今回は、『一度オリジナルのNPCと設定を離れてみよう』という趣旨のもと、運営さんから頂いたシナリオソースを元にお話を書いてみたのですが、いかかだったでしょうか。
『セイニィ』という人気キャラクターと、美那というまっさらなキャラクターを描くという重圧に、始めは戸惑いっぱなしでしたが、なんとかやり遂げる事ができました。
よろしければ、掲示板の感想スレなどで感想をお聞かせください。
めちゃくちゃ喜びます。

しかし、今回はやられました〜。
誰ですかっ!『温泉』なんていう孔明の罠を仕掛けた人わっっ!!(笑)
それでなくても『巨乳』だの『貧乳』だの『ちっぱい』だのという破廉恥な(笑)単語の飛び交うリアクションばかりだとゆーのに!
アナタ!温泉ですよ、おんせん!
女湯が、男のロマンで、サービスシーンなんですよ!!
こんなもん一体私にどうしろとゆーんですか、“作ったヤツ出てこい!”ってカンジですよ、もー!!
……ウソです。はまもさきMSゴメンナサイ。これ以上無い位素敵な舞台を提供して下さって、正直感謝してもし切れない位です。
この場を借りてお礼申し上げます。
ありがとうございました♪

……さて、何か色々ぶっ壊れ気味ですが。
この後、美那は一体どうなってしまうんでしょう。
図らずも、最初に彼女を描いたMSになってしまった今、
“今後彼女が他のMS様の手を経て、いかに大人の階段を登って行くのか”
大変気になる所であります(これが蒼フロの醍醐味♪)。
というわけで、もし私と同じように彼女の今後が気になる方は、是非『カナン再生記』に奮ってご参加ください!(とさりげなく宣伝♪)

あ、でも、オリキャラの方の展開も考えてますんで、そちらの方も気が向いたら是非よろしくお願いします。

では、またお会いできる日を楽しみに。
皆様、よいお年をお迎え下さい♪

平成庚寅 冬師走

神明寺 一総