First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last
リアクション
第4章「不死との戦い」
「ちょろちょろと逃げ回りやがって……いい加減大人しくせぇや!」
ラウディを追って走り出した者達。その先頭に立つ七枷 陣(ななかせ・じん)が先を走るラウディの背中に向かって叫ぶ。
「フフフ……まだ始まったばかりだろう? せいぜい楽しませてくれないと、面白くないね」
「スカした事抜かしやがって……!」
何人かが相手の態度に熱くなり、全力で追いかける。そんな彼らを止める為にサイモン・アームストロング(さいもん・あーむすとろんぐ)と比島 真紀(ひしま・まき)が必死に追いすがった。
「皆落ち着け! 頭に血が上ったまま突っ込むと相手の思うツボだぞ!」
「サイモンの言う通りです。冷静に事に当たらねば敵の術中に嵌る。彼を打ち倒せばこの戦いが終わるのなら、落ち着いて皆で連携を取って動くべきでしょう」
「……確かにそうだね。ごめん、熱くなり過ぎたみたいだ」
二人の言葉に冷静さを取り戻したリアトリス・ウィリアムズ(りあとりす・うぃりあむず)が速度を緩める。他の者達も同様に、散漫になっていた周囲への警戒を強くしていた。
そうして少し走った先、正面に見える建物の上でラウディが待ち構えていた。罠や伏兵を警戒していた志方 綾乃(しかた・あやの)がその近くにいるもう一つの影を見つける。
「彼の隣に誰かいますね……仲間でしょうか?」
彼らのいる建物へと慎重に近づく。やがてそこにいる人物の姿がはっきりとし出した頃、何人かは見知った存在である事に驚いていた。
「あの男……先の洞窟で三道 六黒(みどう・むくろ)に戦いを挑んでいた者か」
ヴァル・ゴライオン(う゛ぁる・ごらいおん)が自らの記憶を辿る。その男、白津 竜造(しらつ・りゅうぞう)はヴァル達を見下ろし、不敵な笑みを浮かべた。
「ほぅ……どんな奴らが来るかと思っていたら、何人かは見た事あるツラじゃねぇか」
「見た事がある、ね。つまりこいつらもシャンバラの奴らか」
ラウディが竜造のつぶやきを聞いて合点がいったという顔をする。
対峙する男達。いつ火蓋が切られてもおかしくない中、月詠 司(つくよみ・つかさ)が妖刀金鋼夜遮に宿っている祖先の意思を感じ取った。
「おや、この感じは……。世音君、あのネクロマンサーの彼と話してみたいんですね。分かりました、後はお任せしますよ……」
愛刀を抜くと同時に司の雰囲気が変わる。彼の意識は司から祖先である世音へと受け渡されていた。張り詰めた空気を身に纏いながら、その瞳がラウディを捉える。
「さて……小童。こんな片田舎で亡者の群れを率いて何をする? その理由、その正体。一太刀交える前に聞いておきたい所だな」
「フン。知った所で意味の無い事だと思うけどね。……まぁいいさ。ボクはラウディ。お前達シャンバラの奴らからすれば、『敵』と言えば分かるかな」
「敵ねぇ……。カナンの現状は司からある程度聞いているが、つまりお前の所属は正規軍って事か。素体の調達と言っていたが、放っておくと厄介な事になるのは間違い無いな」
張り詰めた空気がラウディの方へと向けられる。それでも何とか戦いを回避する術は無いものかと、今度は鷹野 栗(たかの・まろん)が説得を試みた。
「ラウディさん。私は死霊術師の方が死者を操る事を否定はしません。術師の下で第二の生を過ごすのも、また一つの在り方だと思っていますから。でも……あなたは新たな死を呼ぶ為に死の力を使おうとしている。この地で果てた村人達の魂……せめて安らかに眠る事が出来るように、あなたの力を使う事は出来ないのですか?」
「死を呼ぶ為に力を使う事に何を憚る必要がある? それに、こいつらは既に魂の消えた抜け殻だ。安らかな眠りだなんて、所詮は生者の自己満足なんだよ」
ラウディの周囲に漂うアンデッド。彼らの魂は既にナラカへと旅立ったのだろう。静かな声でヴァルが問う。
「確かに、今はただの『モノ』であるかもしれない。だが、かつては紛れも無く『人』だったのだ。少年よ、人は誰しもいずれは朽ち果て、その想いを次代へと引き継いで行く。彼らが積み重ねてきたその生……その重みを理解した上で亡骸を使役しているのであろうな?」
「フフ……重みだって? そんな物、塵一つほどの価値も無い。そうだろう? 貧困の末に路頭で倒れた者達の生を誰が顧みると言うんだい? こいつらも同じさ。女神の加護を失い、村と共に滅んだ者達――その事実があるだけさ」
「ふざけんな! 舞台から降りた人を引っ張り上げる真似しやがって……何様のつもりや! 刹貴、コイツに遠慮は要らん! 思いっきりやれ!」
陣が怒りに吠える。そして彼に憑依している奈落人、七誌乃 刹貴(ななしの・さつき)へと身体の主導権を渡すと、その怒りの炎は猛る紅から静かに燃える蒼へと雰囲気を変えた。
「……全く、せっかく暴れられるのならもっと生身の奴が相手なら嬉しいんだけどな。死人相手じゃナラカにいた時と変わらないじゃないか。愉しめないんだよ――俺がさ」
殺し合いを求める空気。その空気に、ラウディよりもむしろ竜造の方が興味を抱く。
「へっ、あの野郎となら楽しい殺し合いが出来そうだ。……だが、まだ足りねぇな」
求める物は強き心を持つ『正義』との相手。そんなイェガー・ローエンフランム(いぇがー・ろーえんふらんむ)の言葉を思い出す。今の時点でも結構な怒りの炎が巻き起こっているが、暴風となるには僅かに足りない。
その為には更なる『悪』を。そう思う竜造の前にフェイミィ・オルトリンデ(ふぇいみぃ・おるとりんで)と天津 麻羅(あまつ・まら)が立ちはだかった。
「お前ら、オレの同胞達に好き勝手しやがって……覚悟は出来てるんだろうな?」
「イザナギとイザナミが産みし生命を愚弄するとは良い度胸じゃのう! 八百万の神が一柱、天目一箇神の鉄槌を受けてみるが良い!」
一際強く吹き荒れる熱風。自らが悪として振舞うには絶好の相手が現れた事を喜び、竜造が笑みを浮かべた。
「イザナギとイザナミの子、か。……ククク、つまりこの亡者どもはカグツチって訳だ」
「何じゃと?」
カグツチとは、日本神話に登場するイザナギとイザナミの間に生まれた神である。イザナミは炎の神であるカグツチを生んだ際に陰部を火傷した為に黄泉の国の住人となってしまう。
「だったら――こうするのが正しいって事だよなぁ!?」
ゆっくりと長ドスを抜いた竜造が近くのアンデッドの身体を突き、そしてバラバラに切り刻んだ。それはあたかも、イザナミの死を嘆き悲しむイザナギが我が子であるカグツチへと行った所業のように――
「き……貴様ぁぁぁぁぁ!!」
炎が爆ぜた。臨界点を超えた怒りと共に麻羅が、フェイミィが竜造へと襲い掛かる。その瞬間、二人の前方目掛けて煙幕が張り巡らされた。
(死体の有効活用とは、エコだねぇ。さて、おじさんもお手伝いするとしますか)
松岡 徹雄(まつおか・てつお)が心の中でつぶやきながら、煙幕で周囲の視界を奪った隙にアンデッドの一体に仕掛けを施す。それを終えると、煙幕を利用した奇襲を警戒している二人へと攻撃を開始した。
「ちっ、お前ら! 二人でサポートし合って動け!」
フェイミィが配下のオルトリンデ少女遊撃隊に指示を出す。彼女達とフェイミィは互いの死角をカバーしながら煙幕の中を駆け抜けて行った。
「どんな役立て方をするかと思ったら……貴重な素体を簡単に散らさないで欲しいね」
煙幕の隙に麻羅達から距離を取った竜造にラウディが冷ややかな目を向ける。
「その分あいつらを殺って補充すりゃいいだろうが。――おい、てめぇも呆けてねぇでいい加減正気に戻りやがれ」
先ほど切り刻んだアンデッドのそばではアユナ・レッケス(あゆな・れっけす)が佇んでいた。自身が『トモちゃん』と思い込んでいたアンデッドをバラバラにされ、不思議そうな顔で竜造を見ている。
「何で……? 何でトモちゃんを殺したんですか?」
「そいつがてめぇの捜してる奴かよ。いいからとっとと魔鎧になりやがれ」
「トモちゃんじゃ無い……? そう……そうですか……ならいいや……」
ふらっと歩み寄ったアユナの姿が消え、純白の外套となって現れる。竜造はそれを羽織ると、晴れた煙幕の所にいるフェイミィと麻羅。そして刹貴の意識が宿る陣へと視線を向けた。
「さぁ始めようじゃねぇか……愉しい殺し合いをなぁ!」
「さぁ始めようか。楽しいゲームをね!」
ラウディが四体のレイスを召喚し、自身を護るように周囲に展開する。最初に動き出したのはルカルカ・ルー(るかるか・るー)だった。
「ダリル!」
「……任せろ」
ルカルカが前へと飛び出し、レイスの一体に即天去私を叩き込む。敵の意識がそちらに集中した隙を見計らい、ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)が周囲の仲間に護国の聖域で闇への耐性を付与した。
「気を付けろ。あの数のアンデッド、一人で使役出来るとは思えん。伏兵か、或いは何らかの仕掛けがあるはずだ」
それぞれがラウディへと、そしてレイスへと向かう。天寺 御守(あまでら・みもり)は同じ霊体として、レイスに説教をするべく接近していた。
「あなた方っ! 何故ラウディ殿を止めようとなさらないのです。このような死者を冒涜する真似をして、心が痛まないのですかっ!?」
レイスの攻撃を避けながらも語り続ける御守。そんな彼女を援護するように、世音の人格を宿した司と月夜夢 篝里(つくよみ・かがり)が走り寄ってきた。
「自我無き亡霊にいくら語りかけても無駄だろう、御守。あの小僧に仕置きする為にも、亡霊には大人しくしていて貰おう。……行くぞ、篝里」
「いつでも行けるわよ、世音ちゃん。二人の連携なんていつ以来かしらね」
「さぁな……だが、あの頃の感覚、忘れてはいないだろう?」
「それは勿論♪ 背中、預けたわよ」
二人の息の合ったコンビネーション攻撃がレイスへと襲い掛かる。世音自身がまだ司の身体に馴染んでいないとはいえ、それでも二人掛かりでならレイスの攻撃を押さえ込むには十分だった。
「その隙、貰ったわ。ユーベルキャリバーで……斬る」
更に二人の攻撃の間を縫い、リネン・エルフト(りねん・えるふと)が大太刀状の光条兵器を振るう。光の筋が駆け抜け、その攻撃を喰らったレイスが霧散して行った。
「見事な太刀筋だ。魔剣ユーベルキャリバー……そのような名の太刀を使う義賊がいると司が言っていたな」
世音が感心したようにリネンを見る。駆け抜けたリネンは表情に乏しい普段とは違い、珍しく感情を露わにしていた。無論、その感情とはラウディに対する憤り、そして怒りである。
「死霊術師ラウディ……あなたの好きには……させない……!」
今度は曙光銃エルドリッジを抜き、反対のレイスへと発砲する。それに続くようにミンティ・ウインドリィ(みんてぃ・ういんどりぃ)と如月 玲奈(きさらぎ・れいな)が攻撃を放った。
「栗の事だからまたあの死霊術師の子を説得しようとするだろうし……出来るだけキミ達は邪魔しないで欲しいんだよね!」
「亡霊も死霊も……大人しく眠ってなさい!」
ミンティの氷術が動きを止め、玲奈のライトブリンガーがレイスを貫く。瞬く間に護衛のレイスは半減し、ラウディへの道が開けようとしていた。
近くにいたアンデッドがラウディの使役によりこちらへと襲い掛かってくるが、御剣 紫音(みつるぎ・しおん)達が武器を構え、それを迎え撃つ。
「アルス! 風花! あいつは俺達で止めるぞ!」
「分かったのじゃ。村人よ、貴公の身の上には同情するが……あやつに天誅を下す為、今は退けさせてもらうぞ!」
「紫音の邪魔はさせませんぇ。これでゆっくり眠りなはれ」
紫音が相手の行動を予測し、二丁拳銃で足を止める。更に紫音と強い繋がりを持つ綾小路 風花(あやのこうじ・ふうか)が援護射撃を行い、アンデッドの体勢が崩れた所にアルス・ノトリア(あるす・のとりあ)がバニッシュを放った。
「さすがに浄化とはいかぬか。主様、ここはわらわ達に任せてあやつを討つのじゃ」
「あぁ、こっちは任せた。……ラウディ、お前に恨みがある訳じゃないが……やり方が気に食わない。だから……お前をぶっ飛ばしてでも止めてみせる! アストレイア!」
「うむ、参ろうか、主……。我、魔鎧となりて我が主を護らん」
アストレイア・ロストチャイルド(あすとれいあ・ろすとちゃいるど)が白銀のロングコートへと姿を変え、紫音の身を包む。紫音はラウディへと対峙する為、敵陣へと駆け出して行った。
「中々やるみたいだね。でも、不死の者を相手にどこまで保つかな……?」
ラウディが自身の前に、そして村中に大量のアンデッドを投入する。そうしているうちに村のどこかでアンデッドの一体が支配から外れる感覚があった。
「おや、これほど早く倒す奴がいるとはね。じゃあ……もう一度踊ってもらおうか……」
胸元のペンダントに手をやり、呪文を詠唱する。
ペンダントが蒼く光ったかと思うと、アルス達によって動きを止められていたアンデッドが再び立ち上がった。
遠くでは一旦治まりかけていた戦闘音が再び湧き起こっている。
「ん……? あの蒼い光……何かあると見るべきか」
状況を打破する切っ掛けを掴もうとラウディの動きに注視していた榊 孝明(さかき・たかあき)が今の行動を目ざとく捉える。そして、周囲の者達がレイス達を抑えているその間を狙い、妖精の弓でペンダントを狙い撃った。
「――! チッ……!」
狙い澄ました一撃がラウディに襲い掛かる。直前で回避行動を取られるものの、その動きすら孝明は見逃しはしなかった。
「やはりペンダントを庇っているな……。僅かに感じる邪気といい、あれが絡繰りの正体か」
「そっか、あのペンダントをどうにかすれば村の人達を解放出来るかも知れないんだね! だったら……!」
続けてカレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)の光術が一直線に飛んで行く。再びそれを回避したラウディは、相手の狙いに気付き、忌々しげに二人を見た。
「こいつに気付いたか……。レイスよ! あいつ等を狙え!」
残る二体のレイスが孝明とカレンへと襲い掛かる。その二人を護るように益田 椿(ますだ・つばき)、セシリア・ライト(せしりあ・らいと)、フィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)、ステラ・クリフトン(すてら・くりふとん)の四人が武器を構えた。
「戦って死ぬならともかく、飢えや疫病で死んだってだけでも十分過ぎるのに……そんな死人を操るなんて、気に入らないね。こんな茶番を終わらせる為にも、孝明の邪魔はさせないよ」
「僕達も皆を助けるよ! 二人とも、いいね?」
「勿論ですわ。メイベル様も動いてらっしゃいますし、こちらでレイスを抑えるとしましょう」
「椿さん、後ろは任せて下さい。私達がフォローします」
「了解。それじゃ、先手……貰ったよ」
椿が自身の幻影を呼び、相手を撹乱する。レイスが椿へと攻撃を試みるが、刃が届くと同時に椿の姿が消えて行った。
「残念、そっちは外れ。あんたには残念賞をプレゼントするよ」
至近距離からのカタクリズム。サイコキネシスの嵐がレイス達を翻弄する。更に左右からセシリアのハンマーとフィリッパのバットが襲い掛かった。
「二人仲良く――」
「――ごっつんこ、ですわ」
それぞれの鈍器に吹き飛ばされたレイス達が激突する。トドメとばかりに加速ブースターで肉薄したステラがレールガンで撃ち抜いた。
「こちらは順調。メイベルさん、後はお任せします……」
四体のレイスが消滅した隙を狙い、藤井 つばめ(ふじい・つばめ)とメイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)が気配を消しながらラウディへと接近していた。
「僕があいつを叩きます。メイベルさんはその間にあのペンダントを」
「はい、お互い頑張りましょうねぇ」
併走していた二人がそれぞれ逆方向へと散る。最初に仕掛けたのはつばめだった。メイベルがペンダントを奪取する機会を作る為、敢えてラウディの前へと姿を現す。
「こんにちは、ラウディさん。そして――さようなら」
雅刀を構えての突撃。囮とはいえ、簡単に対処させる気も無い。素早い一撃はラウディを斬りつけ、仮に防がれたとしてもそれが大きな隙となり、メイベルが事を成す手助けとなる――はずだった。
「! 何、これ……」
つばめの刃が直前で止まる。彼女の意識はラウディの胸元にあるペンダント、その蒼き輝きに奪われていた。得体の知れない何かがつばめの身体を支配する。
「……ほぅ。生者のくせにこいつの力が及ぶのか……。変わった奴だが――せっかくだ、せいぜい利用させて貰おうよ。フフフ……」
虚を突かれた形となっていたラウディは相手の変貌に笑みを浮かべる。そして再び呪文を唱えてペンダントが蒼い光を放つと、それに呼応するようにつばめの眼が紅へと色を変えた。
「つばめさん!? くっ……!」
全てを見ていたメイベルがつばめの変貌に驚きつつも当初の予定通りペンダントの奪取を試みる。だが――
「………………」
「えっ……つ、つばめさん……?」
メイベルの攻撃を防いだ者。それはつばめだった。彼女は無言で刀を構え、メイベルの前に立ちはだかる。
「ど、どうして……」
突然の事に動揺が生まれる。相手の隙を狙うはずが、自身に大きな隙が出来てしまっていた。そして、その隙を狙うべくもう一つの刃が襲い掛かる。
「! 危ない!」
僅かな殺気を看破した紫音がメイベルの背中を護る。次の瞬間、駆け抜けた影に紫音のロングコートが斬り付けられていた。
「主、大丈夫か?」
「ああ、問題無い。アストレイアのお陰で助かった」
文字通り身体を張って護ってくれた魔鎧のパートナーを労わるように一撫でする。その間も視線は影、辿楼院 刹那(てんろういん・せつな)へと向けられていた。
「わらわの気配に感付くとは、中々やるのぅ。じゃが、次もこう上手くいくかな……?」
不敵な笑みを浮かべる刹那。そしてラウディの周囲には倒したはずの四体のレイスが再び姿を現していた。
「フフ……さぁ、仕切り直しといこうか」
竜造、刹那、亡霊達に正気を失ったつばめ。ラウディを取り巻く者達によって、戦いは更に混迷を極めようとしていた――
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last