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ロック鳥の卵を奪還せよ!!

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ロック鳥の卵を奪還せよ!!

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 一方そのころ、飛空艇の外では――
「おいおいおい……マジかよっ!?」
 ボスの表情にかげりが見え出していた。
「ぼ、ボス……このままじゃ本当に壊滅しちまいますよ!?」
「う、うるせぇ! そんなことは言われなくてもわかってる!!」
 確かに、ボスの伏兵作戦は大成功だった。これが普通の戦争であれば、間違いなく勝利を収めていたのは盗賊団だっただろう。
 しかし――
「クソッ……こいつら、化け物か!?」
 奪還に来た生徒達の強さが、ボスの策と常識を遥かに上回っていたのは計算外だった。
「焼き尽くせ、ザッピングスター!」
「オラオラッ!!」
「ドンネル!!」
 生徒達は、伏兵も含めた盗賊団を鬼人のごとき強さで次々に撃破していく。
 そして更に――
「ぼ、ボス! 大変です!」
「今度はなんだ!?」
 背後からの呼び声にボスが振り返った瞬間だった。
「な、なんだと!?」
 彼は、自分の目を疑った。
「ごめんね、卵は取り戻させてもらうよっ!」
 ボスの視線の先には――保護用のマントで包んだロック鳥の卵をサイドカーに乗せ、軍用バイクで補給所を走り去る鳳明の姿が見えていた。
「う、ウソだろ!? お前ら、追え! 追えぇええ!!」
 ボスは、ほとんど半狂乱に叫び、盗賊たちを鳳明の追跡に向かわせた。
 だが結局……彼女を追いかけていった盗賊たちは二度と戻ってこなかった。
 そして――
「さ、チェックメイトだぜ? 親分さんよ?」
 とうとう、その場に立っている盗賊はボスだけとなってしまった。
「くっ……」
 ボスの額から、大量の脂汗が噴出す。さすがに焦りを隠せないようだ。
 しかし――
「クソッ……こうなったら!」
 ボスは、苦虫を潰したような表情で反転して――
「逃げるが勝ちだっ!」
 突然、腰のポーチから謎の鉄球を取り出して地面へと叩きつけた。
 すると――
「「うわっ!?」」
 突然、鉄球から噴出した濃厚な煙幕が辺り一面に広がり、生徒達の視界を奪った。
 そして――
「ガハハハッ! お前らも覚えておけ。三十六計逃げるに如かずだ!!」
 突然、強風が吹き荒れて煙幕を晴らすと……宵闇の空には、脱出用の小型飛空艇に乗って逃走するボスの姿があった。
「おい! 逃げる気か!」
「あぁ、逃げるさ! 生きていれば、復讐だってできるからな! ガハハハッ!!」
 何人かの生徒達がボスを追いかけようとしたが……脱出用の飛空艇はあっという間にその漆黒の機体を闇夜に溶かし込み、追跡は困難となってしまった。
 と、そこへ――
「おーい、みんな!」
「無事に卵を取り返しましたよ!」
 破壊された飛空艇内から、蒼也、シャロン、菫、フレデリカの4人が巨大なロック鳥の卵を運び出してきた。
 しかし、その光景を見た生徒達は思わず首を傾げる。
「あれ? た、卵はバイクで奪い出したんじゃなかったのか?」
「さっき、盗賊たちが追いかけて行きましたよね?」
 たしかに、生徒達は鳳明がバイクのサイドカーに卵を乗せているのを見ていた。
 だが、実は――
「あの卵はな……鳳明がダンボールで作った偽者で、彼女が囮役になってくれたんだ」
 本物の卵を運んでいる最中に敵に見つかるのを避けるため、鳳明が敵の目を引きつけてくれていたのだった。
「でも……これで、本当に卵を取り返せたんだな!」
「ボスを逃がしちゃったのは少し心残りだけど、卵が無事なら……まぁ良いかっ!」
 巨大なロック鳥の卵を囲み、戦いの疲れを忘れて笑顔を見せる生徒たち。
 奪還作戦は、彼らの努力によって見事成功したのだった。
 そしてあとは――
「さ、卵は無事に取り返したんだ。イルミンスールに運んで、孵るの待とう!」
 卵が孵るのを待つばかりとなった。