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太古の昔に埋没した魔列車…エリザベート&静香 前編

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太古の昔に埋没した魔列車…エリザベート&静香 前編

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第10章 掘りづらいな爆破発掘、ガッテン了解

「この気温だから、海の中は快適ね」
 貸してもらったダイビングスーツを着てきたセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)は、背中にタンクをセットして海の中へ入る。
「光波を送ったり受けたりして、骨伝導で会話も出来るから。話す時も不便がないわ。聞こえているわよね?」
 セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)は発掘現場に向かいながら、彼女に聞こえているかマイクテストする。
「えぇ、ちゃんと聞こえるわ」
「ヴァイシャリー邸で聞いた現場はこっちね」
「それにしてもキレイ・・・」
 ゆらゆらと揺れる磯巾着や、キラキラとした小さな魚の大群を眺め、セレンフィリティは何しにきたのか忘れそうになる。
「ねぇ見て、珊瑚がある!ちょっと触ってみちゃったり・・・」
「現場はこっちよ」
「あぁもう、少しくらいいじゃないの!」
「―・・・今は発掘が先よ」
 スキューバダイビングに夢中になる彼女の手を引っ張り、魔列車が埋まっている洞窟へ向かう。
「しかしまぁ・・・・・・。なんだってこんな所に列車が埋まってたりするんだ?」
 この海は陸だったのだろうか、などと考えつつアキラ・セイルーン(あきら・せいるーん)はどれくらい埋まっているのか周りを調査する。
「車輪が見えないくらい埋まっているな。ヨン、魔列車やここら辺の地形のこととか、精霊の知識で分からないか?」
「分かりませんね・・・」
 ヨン・ナイフィード(よん・ないふぃーど)はふるふると首を左右にふり、しょぼ〜んと俯く。
「じゃあ魔列車に関することを、記録出来ないかな」
「う〜ん・・・精霊の知識には記録することは出来ませんね」
「そっか〜・・・。俺たちの脳内にメモリーするしかないのか」
「まぁ、そうなっちゃいますね。あ、後でラズィーヤさんが指示をくれるみたいですよ」
「この大きさだと、地上に待機させているゴーレムだけじゃ、引っ張り上げさせるのは無理ヨ」
 ちっさなアリス・ドロワーズ(ありす・どろわーず)がちょこちょこと埋まっている様子と列車の大きさを見て言う。
「それに、中に海水があるモノ・・・」
 開きっぱなしの扉の中に入り、それごと引き上げるのは不可能だと判断する。
「機晶爆弾1つじゃ、火力不足ヨネ。他に誰か持ってきてくれる人がいるといいんダケド」
「それじゃないけど、いくつか持ってきたわよ」
「とりあえず埋めるところを掘らなきゃいけないワネ」
「威力を弱めにして、爆弾を設置するところを作るわ」
 セレンフィリティは機晶爆弾を埋める穴を作ろうと、列車を囲むように離れたところに、プラスチックのキューブに入った水中用の爆薬を信管につなげ仕掛けていく。
 破壊工作を仕掛け終わり、アリスたちと洞窟の外へ避難する。
「いくわよ・・・・・・っ」
 ポチッとスイッチを押すと、何かが破裂したような音が響く。
「もっと大きな穴じゃないと岩が列車に飛び散るかも・・・」
「手伝うワ」
 アリスはよたよたしながら、セレンフィリティからもらった爆薬を爆破して作った穴に置く。
「私たちはスコップで岩の破片を外へ捨てましょう」
「工事現場みたいな感じだな」
 ヨンとアキラの方は爆風で破片が飛び散らないように、スコップで洞窟の外へ捨てる。
「確かにスコップで土とか運んだりしているわよね。片付いたわよ、セレン」
「こっちも準備出来たわ。皆、離れて!」
 ドドドンッドォンッ。
「まだまだね・・・。あ、オレンジの魚がいるわ。水中カメラでもあれば撮りたいわね」
「セレン、発掘の途中よ」
 注意してばかりで母親か・・・と思いつつ、恋人が海底散歩したがるのも無理ないわね、と心の中で思った。


 
「もう始まっているのか。爆弾もってきたけど、セット出来るか?」
 ミューレリア・ラングウェイ(みゅーれりあ・らんぐうぇい)は箱に入れて防水加工した機晶爆弾を抱え、発掘現場の様子を見る。
「んー・・・仕掛ける穴を広げたらかしらね。準備しないでいきなり爆発させたら、岩の破片が飛んで列車に傷がついちゃいそうだし」
 そう言うとセレンフィリティはセットした爆薬を爆発させる。
「壊した岩を片付けてやるよ」
 サイコキネシスの念力で退かし、ぽいっと洞窟の外に放り投げる。
「俺も機晶爆弾を持ってきたけど、もう置けそうか?」
 発掘現場の周りを見て閃崎 静麻(せんざき・しずま)は、セットする場所を作っているセレンフィリティとアリスに聞く。
「両サイドに6箇所と前の方に2箇所ね」
「前方よりもまずは両側からやるワヨ。ヘタに陥没させると、列車が沈むから少し離れたところにセットするノヨ」
「右側に置いたぜ」
「じゃあ俺もミューレリアが置いた側にするか。もう少し砂利を掘り出しておいたほうがよさそうだな。爆破の威力が仕掛けたところから伝わりにくいし」
 ズコップで掘り外へ捨てた後、静麻は爆弾をセットする。
「ワタシは左側ってコトネ」
「そうなるとバランスをとって私もそっちかしら」
「私はどこに置けばいいの?」
 個数が奇数の数になってしまい、芽美はどっち側にセットすればいいのか迷う。
「両側のどっちにお願いね」
「左側にするわね、セレンフィリティちゃん」
「持ってきてくれた信管をつなげて、同時に爆破出来るようにしておいたぞ」
「ありがとう、静麻。外に避難しましょう!」
 全員、洞窟から出たのを確認すると彼女がスイッチを押す。
 ドガァアンッドドドォオンッ。
 鼓膜を破りそうな音が響き渡り水中が揺れる。
「凄い眺めだな・・・」
 ほぼ女だらけのハーレム状態にアキラは発掘作業をしつつ女子たちをチラ見する。
「うわ、貝殻とかどんだけだっ」
 貝殻鎧をつけている陽子と貝殻ビキニ姿の透乃をガン見したその時・・・。
「ヨン・・・っ!?」
 じーっと恨めしそうな目で見つめる彼女の視線にハッと気づく。
「ヨン、ダイビンズ姿も似合ってて可愛いよ」
「本当ですか・・・?」
「あぁ、すごく可愛いって」
 300%恨めしそうな目をされると重い、ボリュームの差は・・・とかは言わないでおいた。
 彼女と2人を比べたら天と地ほど差があるし、他の女子と比べても勝負ならない。
「掘りやすくなっているな。暗闇でも見えるから、私が後ろの方の作業をするぜ。うーん、空飛ぶ魔法は物にはかからないか」
 ミューレリアが列車を浮かせてみようとするが、物には術が効かないようだ。
「おーい、少し壁際に寄ってくれないか?」
 ぶつからないように退いてもらい、ヒュヒュヒュッと細かい瓦礫を外へ飛ばす。
「私たちは手前をやるわよ、セレン」
「後は外へ捨てる作業ね」
 スコップで破壊した岩を運び、ばさばさと捨てていく。
「猫・・・?いや、ニャ〜ンズか。ほら、これで遊んでろ」
 静麻はあむあむと甘噛みしてきた仔猫サイズのニャ〜ンズに、ボールを遠くの方へコロコロと転がしてやる。
 海のギャンクはボールにじゃれ、みゃぁ〜みゃんと可愛らしい声音で鳴き追いかける。
「何だ、持ってきたのか?」
「みぃ〜」
「仕方ないな、転がしてやる。ほら行ってこい」
「みゃみゃぁあ」
 ニャ〜ンズはヨットのようなモサモサした尻尾をふり、またボールを彼の方へ持ってくる。
「作業が出来ないじゃないか・・・」
 そう言いつつもかまってほしいチビギャングにボールを転がしてやる。