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冒険者の酒場ライフ

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「エリュシオンの誇りにかけて!」とセルシウスが燃えている頃、つぐむが修理していたドリンクバーが治るのであった。
「外は暑いんだよ!!」
と、待ちわびたドリンクバーの復旧と共に、ソーダー系の飲み物を注ぎ、一気飲みするのは先ほどまで暴れる客達を店員のカノコから借りたモップとサイコキネシスでなぎ倒していた葉月 ショウ(はづき・しょう)であった。
「ぷっはー!! くーッ!! 動いた後の一杯は最高だぜぇぇ!!」
と、幾度かドリンクバーでおかわりした後、席へと戻る。
 ショウはイルミンスールから蒼空学園へ帰る途中、休憩の為に立ち寄っていたのだ。
 そして早々にドリンクバーの故障とミルク騒動に巻き込まれたのである。
 席に戻ると、注文していたサンドイッチが席に置かれてある。具材は卵、ツナ、ハムにチーズとシンプルなものである。
 テーブルでは、ショウのパートナーの葉月 フェル(はづき・ふぇる)がフェルの連れていた二匹の猫、白猫のセレスと灰猫のディアに店員にこっそりと頼んだミルクをやっていた。
「美味しいかにゃ?」
 フェルの問い掛けに二匹の猫が顔を上げ、「にゃあ」と鳴く。
「そう、良かったにゃ!」
と、フェルも自分で頼んだ魚のムニエルと自分用のミルクを交互に味わう。
 そこにショウがドリンクバーから戻ってくる。
「やれやれ……やっと落ち着けるぜ」
 ショウを見たフェルが首を傾げる。
「ショウ、気になっている事があるにゃ」
「何だ?」
「どうして二十歳を超えているのに、お酒を飲まないにゃ?」
「俺達は小型飛空挺で来てるだろう? だから「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」って事だよ。……まあ飲んだことが無いってのもあるけど」
 ショウはそう言って、ドリンクバーで入れてきたオレンジジュースをストローでかき混ぜる。
「なるほどにゃ。……それにしても、もうフェルに喧嘩を売ってくる猛者がいなくてやや寂しいにゃ」
と、魚のムニエルに噛み付く。
「そりゃ……あれだけ暴れたらもうヤル気なくすだろう」
 つい先ほど、荒くれ者に言葉をかけられたフェルは、ショウにセレスとディアを預けてから、超感覚と殺気看破で相手の攻撃を警戒、相手の攻撃はスウェーでかわしつつ木刀で腹に一撃という戦闘を行っていた。
……最も、その荒くれ者が実はただの猫好きであり、セレスとディアを撫で撫でしたかっただけという事が後に判明し、ショウが謝る羽目になったのだが……。
「ま、当初の目的通り、俺達はここでのんびり休憩していこうよ。ホラ、君たちもな!」
と、ツナの入ったサンドイッチをちぎって二匹の猫にやるショウ。
「そうだにゃ!」
 ショウとフェルが頷き合う中、店の端で観衆の歓声があがる。
 ショウがそちらを振り向くと、
「フルハウスだッ!!」
「ストレートフラッシュ!」
「勝ったぁぁッ!!!」
「「「うおおおおぉぉぉーーッ!?」」」

と、気合の入った声が聞こえて来るのであった。