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≪猫耳メイドの機晶姫≫の失われた記憶

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≪猫耳メイドの機晶姫≫の失われた記憶

リアクション

 騨の提案により、キリエをルカルカ・ルー(るかるか・るー)の飛空艇でヒラニプラに送ってもらうことになった。
「あの、お暇を取って見舞いに行きますから!」
 あゆむが手を振りながら叫ぶと、キリエはこくりと頷いた。
 キリエが飛空艇に乗り込む。
 すると、キリエが意識を失って倒れそうになり、駆け寄ったエヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)が地面ギリギリで支えた。
「ほいきた、こんな事もあろうかと、準備は万端だ。彼女の処置は任せろ。さっさとデータを吸い出してこい」
 エヴァルトはその場で【サンダークラップ】による心臓マッサージを行い、どうにかキリエの息を吹き返した。
 キリエの身体は限界まで来ていて、一刻も早く修理が必要な状況だった。
 エヴァルトは用意していた応急処置の道具をルカルカに預けると、キリエを背負って飛空艇に乗り込み始める。
「よろしくお願いします!」
 あゆむが泣きそうな声で呼びかけると、エヴァルトは軽く手を挙げて答えていた。


 それから少しして、騨はキリエから教えてもらった管理パスワードと職員用ICカードを使って、地下研究施設を調べていた。
 その間、騨と一緒に調べている風羽 斐(かざはね・あやる)を除けば、ほぼ全生徒が上の大広間で片づけをしていた。
「お父様、あまり散らかさないでください!!」
「す、すまない」
「もう、こんな所をお兄様が見たらまた掃除に夢中になってしまいます。ちゃんと片づけてくださいね」
 様子を見に来た雨泉は、斐に注意だけして大広間へと戻っていく。
 斐は誰に似たんだろうとため息を吐いた。
 すると騨が驚いた声を上げる
「何か見つかったか?」
 斐が近づいて覗きこむと、騨は複数のプリントが綴じられたファイルを見つめていた。
 横から内容を確認した斐も目を見開いて驚いた。
 そこに書かれていたのは現在におけるあゆむが受けた実験の結果についてだった。
 実験目的は物体(機晶石)に記憶を映して永遠に生きながら方法を見つけること。
 プリントには様々な非人道的実験の内容と、その結果が細かく書かれていた。
 読んで想像するだけで吐き気がしてくるそんな内容だった。
 しかし、二人が驚いたのはそこではなかった。
 二人が注視していたのは赤文字で書かれた一文。

『副作用:一定周期による記憶の喪失(およそ一年〜)
        事前に予兆あり』


 冷たい刃物を喉元に押し付けられた、そんな気分だった。
 斐は絞り出すように騨に問いかける。
「どうするんだ、騨。このことをあゆむには――」
 騨が斐の腕を強く握りしめる。
「今はまだ、伝えないでおきます。でも、僕がちゃんと伝えますから。伝えなくちゃいけないから……」
 上の方から無事にキリエがヒラニプラに到着したことを喜ぶあゆむの声が聞こえる。

 騨は紙がぐしゃぐしゃになるのを構わずに力いっぱい握りしめながら、研究主任の項目に書かれた『マカフ・ブレイマン』の文字を食い入るように見つめた。
 
(完)

担当マスターより

▼担当マスター

虎@雪

▼マスターコメント

 初めまして、またはお久しぶりです。
 『≪猫耳メイドの機晶姫≫の失われた記憶』のリアクション製作を担当しました。虎@雪(とらっとゆき)です。

 今回は……特にコメントも思いつきません。
 結構、こんがらがって大変だったという所もありますが、ちゃんと伝わればいいなという感じです。

 とりあえず、楽しく読んでいただければ幸いです。
 後、いつものことながら素直な感想が聞ければ嬉しいと思っています。

 今後も頑張りたいと思うので、また機会があれば皆様どうぞよろしくお願いします。
 この度はありがとうございました。