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リアクション
stage3 ≪シャドウレイヤー≫へと続く道
魔法少女の可愛らしい服に身を包んだ中原 鞆絵(なかはら・ともえ)は、≪シャドウレイヤー≫へ向かう途中、道を塞ぐ敵と対峙していた。
「そこをどいてもらいますよ! バニッシュ!」
鞆絵の放った神聖な力は、太陽のような眩しさで敵を攻撃していく。
敵が気を失いバタバタと倒れていく。
鞆絵は額の汗を手の甲で拭った。
「ふぅ……なんだか昔を思い出して、ワクワクしてきますね」
「そうなの?」
爽やかに笑う鞆絵に、大丈夫かなと思うリカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)だった。
すると、やられたふりをしていた敵が鞆絵に向かって走ってきた。
剣を振りかざす敵。鞆絵が魔法を発動させようとするが間に合わない。。
「イカヅチよ!」
その時、鞆絵の真横を極太の電流が駆け抜け、敵に直撃した。
呆気にとられていた鞆絵は、乱れた長髪を抑えながら慌てて振り返った。
そこにはミニドラゴンになったカルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)が空中を飛んでいた。
二本の角の間にバチバチと微電流が発生している。
カルキノスは鞆絵の頭に乗って一息つくと忠告した。
「その体であまり無理はしない方がいい。
前線は俺達に任せてくれて大丈夫だ」
「あら、お気遣いありがとうございます。
でも、大丈夫ですよ。あたしはまだまだ」
「そ、そうか。まぁ……怪我がないようにな」
血管の浮き出た細い手でガッツポーズをとる鞆絵に、どう返していいかわからないカルキノスだった。
そんなやり取りをしている間にも敵が背後からやってきた。
「よし、今度は私が見せるわよ! カルキノスくん!」
「ラジャー!」
マスコット姿になっているリカインは、カルキノスに頼んで自分を空中へと飛ばしてもらう。
そして向かってくる敵に――発射!!
リカインがものすごい勢いで敵の懐に飛び込む。
「くらえ! 必殺の――『激刹の拳! ポンタスタンプ!!』」
ふっくら肉球のついたパンチが物凄い勢いで敵のみぞおちに直撃した。
敵が膝を着きながら苦しそうに呟く。
「くそっ、アライグマなんか――」
「違う!」
リカインは敵の顔面に見事な回転蹴りを叩き込む。
「今の私は 学名Nyctereutes procyonoides 。哺乳綱ネコ目イヌ科タヌキ属 のタヌキよ!」
だが、顔面を蹴られて倒れた敵は、後頭部を強打し意識を失っていた。
本人曰くタヌキになったリカインの強さに恐れおののく敵。
「残りはルカにお任せ!」
ルカルカ・ルー(るかるか・るー)が銘刀・桜雪を手に駆け込んでくる。
猛突な勢いで走ってくるルカルカを見て、敵は反射的に銃を乱射した。
しかし、【ゴッドスピード】を発動したルカルカは掠ることもなく銃弾の嵐の中を抜けていく。
「はは、当たらないよ――ファースト・レイ!」
ルカルカの発光した右手から、先頭にいた敵へと【レジェンドレイ】が放たれる。
仰け反る敵。
軽やかに地を蹴ったルカルカが宙に舞う。
光り輝く刀を両手で握り直し、力の限り振り下ろす。
「セカンド・ストライク!」
振り下ろした刀が的に直撃すると、周囲に桜の花びらが撒き散った。
そしてルカルカは流れるような動作でくるりと反転し――
「これでキマリよ♪
ファイナル……レンジェンドォォォ!」
刀を力強く薙ぎ払うと、無数の桜の花びらがまるで光の矢のように尾を描きながら敵を貫いていった。
――周囲に敵影がなくなる。
「ふふん♪ 戦線突破しました〜♪」
刀を収めながらルカルカはその場でステップを踏んでいた。
「さってと……カルキ、向こうから開けられないか見てきてくれない?」
「任せろ」
ルカルカは倒れた敵からIDを拝借してカルキノスに渡すと、隣接した部屋の排気口を通って閉じられた通路を開けに行ってもらうことにした。
「おうおう、はりきちょるなぁ。
まぁ、頑張ってくれや」
「裕輝、おまえも少しは働け!」
トカゲのマスコットパートナーとなった瀬山 裕輝(せやま・ひろき)は、仲間が戦っている間ずっと壁に張り付いていた。
カルキノスは裕輝の背中を掴んで空中に持ち上げる。
「なっ、何しやがるんや!」
「いいからおまえもこい!」
カルキノスは無理矢理裕輝を排気口へと連れて行った。
扉が開くまで床に座り込んで休憩するリカイン。
「ここまでは順調ね」
「ええ……そうですね」
少し疲れた鞆絵は壁に寄りかかって呼吸を整えながら答えた。
のんびりした時間。
ふとリカインは思い出したように口にする。
「そういえば、あっちは大丈夫かな?
なんだか、若干不安な魔法少女が何人かいた気がするんだけど……ん?」
「どうかしましたか?」
「んー、気のせいかな?
なんか白い毛玉みたいなのを見た気がするんだけど……」
リカインは一瞬だけ通路の先に白い毛玉(ケセラン・パサラン(けせらん・ぱさらん))を見た気がした。
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