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リアクション

 
3
「内部の資料だ」
「手回しがいいな」
 恭也から倉庫の図面を受け取って、白竜がちょっと笑った。 
「倉庫だけあって内部は単純だな。これなら簡単に制圧できるぜ」
 横から覗き込んで素早く内部構造をチェックした世 羅儀(せい・らぎ)が呟いた。
「問題はリーダーとウィルスの所在か」
「出入り口は玄関、裏口、搬入口の三カ所、それに屋上から非常階段がある」
「搬入口はシャッターが降りているが、シャッター横にドアがある」
「見張りは?」
「玄関に三人、裏口に一人。どちらも素人だ。搬入口の内部はわからん」
「搬入口に車があるかもしれない。逃走を防ぐためにはここを押さえんとな」
「じゃ、表の見張りを黙らせた後、搬入口から突入だな」
「いや、待ってくれ」
 白竜が制止する。
「今、状況が混乱してるらしい。正確な情報が確認できるまで、ここも動けない」
「どういうこった」
 恭也が思わず声を荒げた。
「ウィルス確保は最優先だろう。ぐずぐずしてる場合じゃない」
「そのウィルスの所在に関しても、情報が錯綜してるんだ。それに、黒幕も……」
「ちょっと」
 カメラをチェックしていたエグゼリカが声を上げる。見ると、倉庫の陰からジープが一台やってきて、シャッターの前に停車したところだった。
 運転手が降りてドアを叩くと、シャッターが動き出す。
「……こいつは……」
 後部座席に座った男の横顔に目を凝らし、白竜が呟く。
 ジープが中に入ると全員が降りて行ったが、シャッターは開け放ったままだった。思わず羅儀が苦笑する。
「ったく、セキュリティーがなってないな」
「今の連中、撮影したな」
「もちろん」
 エグゼリカが微笑んで頷く。
「よし、至急本部に転送してくれ。これで……動けるかもしれん」