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リアクション
『続いての第三試合は先程の二人と代わってこの私、シュバルツ・ランプンマンテル(しゅばるつ・らんぷんまんてる)が実況解説を務めさせてもらう』
『同じく、岩窪 莱耶(いわくぼ・らいや)……はぁ』
『随分と不機嫌であるな』
『当たり前だ。正直オレはどうでもいいんだよ……温泉行きたかったのに……』
『パートナーが出るのだろう? 応援してやればいいでないか』
『心底どうでもいい』
『……うむ、ここでこんな話をしていても仕方ない。第三試合、ハードコアルールシングルマッチ、選手入場! 入場ゲートを潜って最初に現れたのはSWR所属、キャプテン・ニューシャンバラ選手! 小さな体からは考え付かない闘志溢れるファイトを見せてくれるであろう!』
『なぁ、あれお宅のパートナーのフィーア・四条(ふぃーあ・しじょう)――』
『そんなことはどうでもいい!』
『いや良くはないだろ』
『何を言う! 覆面レスラーの正体を暴くなど野暮という物! あれはキャプテン・ニューシャンバラ……それ以外の何者でもないッ!』
『……ああ、そうかい』
『それより続いてはマクシミリアン ロベスピエール(まくしみりあん・ろべすぴえーる)選手! トレードマークのサングラスに葉巻を燻らせての登場ッ!』
『今更オレが言うのも何だが、アイツどう見ても筋モンだな』
『ロベスピエール選手は足にレガースを装着しているな。キックが得意と見受けられるが?』
『ああ、アイツ? 良く知らないけどとりあえず確実なのはアイツは童t『入場が終わったところで間もなくゴングッ!』
ゴングが鳴り響き、フィーアとロベスピエールがお互い距離を測る。
じりじりと出方を伺いながら距離を縮め、最初に動いたのはロベスピエール。
「シュッ」と息を吐き、フィーアの足にロー。レガースを装着している脛を当て、素早く戻す。
それを受けると、フィーアはロベスピエールの胸に逆水平チョップ。パン、と気味のいい音が響く。
逆水平を受け、お返しとロベスピエールが今度はミドルを叩きこむ。フィーアはガードをせず、体でミドルを受け止める。そしてお返しにフィーアは逆水平。ロべスピエールはミドル。逆水平、ミドル、逆水平、ミドル。
「せぇッ!」
ロベスピエールが気合と共に四度目のミドルを叩きこむと、フィーアは受け切らずそのまま後ろへ倒れる。だが、受け身を取り即座に起き上がると、すぐさまロベスピエールの頭を脇に抱え後方に素早く反り投げる。
『キャプテンニューシャンバラの高速ブレーンバスターが決まった!』
だがロベスピエールは即座に立ち上がると、まだ起き上がっていないフィーアの胸元を思い切り蹴り抜いた。
「ぐッ!」
受け切らず、そのまま倒れてフィーアはすぐに立ち上がるが、ロベスピエールは手を休めず彼女の身体を掴むと鳩尾に膝を叩きこむ。
「ぐぁッ!」
たまらず、フィーアの口から苦悶の呻きが漏れる。二度、膝を叩きこむとフィーアは蹲った。それをロベスピエールは逃さず、腕をクラッチし後方に風車固めの形で反り投げる。
『ロベスピエール選手のリバースアームサルト! そのままフォール!』
レフェリーのカウントが始まる。二度、マットを叩いた直後フィーアは体を跳ねあげ、フォールを返す。そしてそのまま場外へと転がりエスケープ。
ロベスピエールはあえて追わず、その様子を眺めていた。
『激しいロベスピエール選手の攻撃にキャプテン・ニューシャンバラ、たまらずエスケープ!』
『随分とエグいやり方するなアイツ……ハードコアルールの意味間違えてるんじゃね?』
莱耶の言う通り、ロベスピエールの攻撃はエグい物であった。顔面、鳩尾狙いの膝や強力な蹴り。当たり所が悪ければそこで試合が終わってしまいそうな物ばかりである。
だが一方的に攻め立てるだけでなく、相手の技も受け切るところを見るとプロレスであることは理解しているようであった。
フィーアの攻撃により、ダウンするロベスピエール。その姿を見るとフィーアはコーナーを駆け上り、上から首を掻っ切るポーズを取るとすぐさま両手を広げて飛ぶ。着地点は倒れたロべスピエール。
肩口に、自らの額を当てるようなダイビングヘッドバッド。そのままフォール、にはいかず、うつ伏せに返すと頭をヘッドロック、手を股に挟み絞り上げる。
『ニューシャンバラのクラップラーフェイスロック! これにはロベスピエール選手もたまらずロープに手を伸ばす!』
ブレイクによりフィーアが技を解く。ロベスピエールは立ち上がろうとするが、技のダメージにすぐには立ち上がれないようであった。
その隙を狙い、フィーアがリングを降りる。そしてエプロンの下を漁り、取り出したのはラダー。引っ張り出し、リングに滑り込ませるように入れると自身もリングに上がった。
だがロベスピエールが待ち構えていた。フィーアの身体が浮く程の強さで鳩尾に膝を入れる。
蹲るフィーアを尚も蹴り、コーナーに追い詰めるとロベスピエールは彼女の膝を真っ直ぐに踏み抜く様に蹴る。
わずかに屈んだ直後、ロベスピエールの身体が縦に回転。踵を頭に浴びせる様に足が降ってきた。
『ロベスピエール選手の大車輪キックがキャプテンニューシャンバラを襲う!』
『なぁ、あれマスク何か赤くなってるぞ?』
『おっと、今の大車輪キックがキャプテンニューシャンバラの額を割った! あのマスクの下は大参事に違いない!』
徐々に染まるマスク。コーナーにもたれかかっていたフィーアは立ち上がると、ロベスピエールの頬を何度も叩く。
『キャプテンニューシャンバラ! 流血によりキレたようだ! おっと、そのままロベスピエール選手の腕をつかむと……押し倒して狂気の腕折りだ! 白目を剥いて可動域の限界を超えようとしている!』
フィーアが脇固めの様にロベスピエールを押し倒すと、背中に跨り腕を極める。可動域限界に達し、尚も逆関節に曲げられ悲鳴を上げるロベスピエールの腕。
ロープに足を伸ばし、ひっかけるがフィーアは止めない。レフェリーがカウントを四つ唱え、漸く開放する。
だが、ロベスピエールは腕の痛みで立ち上がれない。そんな彼にフィーアが二度三度、とストンピングで蹴りつけるとラダーを設置した。
そびえ立つラダーをさっと上ると、フィーアは下を見据える。そこに居るのは仰向けになるロベスピエール。
何の迷いもなく、フィーアは飛び降りると足を広げた。そして、ロベスピエールの首に断頭台の様に、足を落とした。衝撃でロベスピエールの身体が跳ね上がった。
『地獄の断頭台がロベスピエール選手の首を刈る!』
『うーわ、モロ入ったねあれ』
『そのままキャプテンニューシャンバラ、フォールに入る!』
カウントが進む。首にダイレクトにギロチンドロップを落とされ、ロベスピエールはフォールを返す事が出来ず、そのままゴングを聞く事となった。
『ロベスピエール選手立ち上がれない! 血まみれのキャプテンニューシャンバラが勝利を手にした!』
『あれアイツにとって嫌がらせ以外の何物でもないわ。しばらく起き上がれないんじゃない?』
『凶器は使用されなかったが、文字通りハードコアな試合だった! 勝者はキャプテンニューシャンバラ!』
『はいはい、終わったから温泉行っていい?』
『……少しでもいいからパートナーの心配してやった方がいいと思うんだが……こ、この後も試合はまだまだ続くぞ!』
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