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【第三話】始動! 迅竜

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【第三話】始動! 迅竜

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 鮮紅が飛び立った直後、今度は{SFM0053739#ディース}がカタパルト上へと立つ。
『ディース、発進準備されたし』
 コクピット内モニターに映ったダリルの合図で玖純 飛都(くすみ・ひさと)はコンソールと操縦桿を操作し、ディースの発進体勢を整える。
 準備を整えながら飛都はサブパイロットシートの矢代 月視(やしろ・つくみ)に話しかけた。
「前の一件で感じたのは医療・修理班の危険さだ。負傷者や損壊した機体は前線に取り残されるのだから」
「そうですね。確かに飛都君の言う通りかもしれません」
「各校はそれでもまだ、パラミタと多くの契約者達を食い物にする事しか考えない奴らからの防波堤としての役割を果たしている。それに対して鏖殺寺院だのと気取っている連中は何の責任を果たしているというのか」
 憤懣やるかたない様子の飛都に月視も相槌を打つ。
「まったくですね」
 まだ憤懣は収まらないようだが、それでも飛都は意識して頭を切り替え、ここは冷静になる。
「だからこそ俺たちとこの機体が必要になる」
 力強い飛都の言葉に、今度の月視は相槌ではなく頷きを返す。
「既に前線で動けなくなったイコンが出ているでしょう。こちらの攻撃性システムをまだ存分に使えないのは残念ですが、離脱の援護には充分です」
「ああ、行くぞ――」
「行きましょう。この地と人々を見下し、踏みつぶす事しか考えないもの達の手から私達の生きる場所と人としての私達を守る為に」
 二人の意志と言葉が重なり合った直後、まるでその時を待っていたかのようなタイミングで通信が入る。
『進路クリア。ディース、発進どうぞ』
 月視と目配せし、互いにに頷き合うと、飛都はマイクに向かって名乗りを上げる。
「玖純飛都、矢代月視。ディース――発進する!」
 こうしてディースもカタパルトから蒼空へと飛び立っていく。