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王子様とプールと私

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 祥子・リーブラ(さちこ・りーぶら)ティセラ・リーブラ(てぃせら・りーぶら)は、バナナボートを借りて流れるプールに来ていた。
 祥子がティセラにしがみつくようにボートに乗って、二人はのんびりと流れに身を任せた。
「顔が見られないけど、くっついていられるのはいいことよね。……大きい浮き輪に二人で収まるのがよかったかしら?」
 ティセラの髪の毛を弄りながら、祥子が訊ねる。
「浮き輪も良いですわね。……でも、もう少しこうしてくっついていたいですわ」
 ふふふ、とティセラが微笑むのが、背中越しでも伝わってくる。表情は見えなくても、こうしてくっついていれば心は伝わるものなんだなあ、と祥子は実感していた。
「これだけ大きいと人が多くても結構自由に遊べるものね〜。ゴムボートでも大丈夫だったかしら?」
 先ほどバナナボートを借りた時に、ボートの底がネット状になっており、水が溜まらないようになっているボートがあったのだ。
「あれなら身体を冷やしながら長時間楽しめそうだけど……ま、でもボートになると海で使うほうが無難よね」
「海もいいですわよね。……もちろん、祥子と一緒に行ける場所なら、どこでも楽しめるでしょうけれど」
「また色々なところへ一緒に行きたいわ。……それと、私ばかりしがみついてるのもなんだから交代しようか?」

 今度は祥子にティセラがしがみつくようにして、二人は流れるプールを楽しんだ。
「一周りしたらさ、あのスライダー行ってみましょうよ。あと、結構深いプールもあるみたいね。潜ってみましょ?」
「いいですわね。後で温泉にも行ってみたいですわ」
「どこかで甲羅干しするのもいいわね」
 祥子たちは一日の計画をあれこれ話し合った。今こうしている時間が、大切な思い出に変わっていく。