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序章 〜司祭の企み〜
「……ついに来られましたか。何度も言いますが人狼の指輪は、貴方にお渡しすることは出来ません」
白いひげを蓄えた司祭は、ため息交じりにアーベント・グロッグ司祭を見ながら言った。
それを聞くなり、グロッグ司祭は驚いた表情で「今回は別件で来たのだよ」と答える。
「マリア・ラヴェルをご存じかな、ルイ司祭」
「確か、罪人でしたか」
「ご名答。今、その罪人があなたの命を狙っているのだよ」
「なんと……しかし、何故!?」
「貴方の指輪を狙っている」
そう言うと、アーベント司祭は手をゆっくり手を挙げ、教会の外に待機させていた兵士達を引き入れた。
「な、なんなのですかこの人達は」
「貴方を守るための護衛ですよ」
慌てるルイ・リロイ司祭に、グロッグ司祭はにやりと歯を見せながら答えた
そこへ突然、テノーリオ・メイベア(てのーりお・めいべあ)が息を切らせながら走って教会の中に入ってきた。
「悪い、見事にマリア達には逃げられてしまった」
「そうか、ご苦労だった……グロッグ司祭」
ずっと、グロッグ司祭に付き添っていたトマス・ファーニナル(とます・ふぁーになる)は、テノーリオの報告を聞くと、グロッグ司祭に声を掛けた。
「大変申し訳ない、マリアはどうやら逃がしてしまった」
「ふむ、マリアを放っておけば、次は何をするかわからない……」
「我々の力を持ってしてもこの体たらく。申し訳ない」
「なに、気にするな。君たちには十分やってもらっているよ」
トマスのお辞儀にグロッグ司祭はにこりと笑みを浮かべながら答えた。
それを見届けたトマスはただ無表情で、後ろへと下がっていく。
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