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学生たちの休日15+

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    ★    ★    ★

『それでは、ジェイダス杯、いよいよスタートです!』
 シャレード・ムーンの実況に合わせて、お立ち台に立ったヤングジェイダスが美しく装飾された単発銃から空砲を空にむかって放ちました。同時に、フリングホルニの甲板につけられたシグナルが赤から青に変わります。
 フリングホルニの甲板に発生した光のトンネル状のフィールドカタパルトから各選手が飛び出していきました。そのまま、ジェットコースターとして使われているフィールド加速器のガイドレールの上に発生したチューブトンネル状の光の道に突入していきます。定間隔にならぶ光輪状の加速装置と、それを結ぶ空間がレースのコースとして機能しています。大きさは可変式で、現在は大型飛空艇が余裕を持って通れるほどの大きさに設定されているため、複数の参加者がならんで走ることができます。
『さあ、各選手一斉にスタートしました。真っ先に飛び出したのは遠野歌菜選手&月崎羽純選手とイコナ・ユア・クックブック選手&ミラボー選手です』
「よし、ぶっちぎるぞ」
「凄い、さすがは羽純くん!」
 先頭を進む月崎羽純を、遠野歌菜がうっとりと見つめました。
「負けないでミラ」
「もちろんですわ。ああ、わたくしの才能が恐ろしい。また今回も優勝なのですわ!」
 負けじと、イコナ・ユア・クックブックがサラダの首筋をバンバンと叩きます。
『コハク・ソーロッド選手、3番手につけています。いいスタートです。続いて4番手には、風森巽選手&ココ・カンパーニュ選手が入ったあ!』
「ようし、飛ばせえ!」
「任せてください、ココさん!」
 背中にしっかりとしがみつかれて、テンションマックスの風森巽がスロットルを思いっきり開きました。
『5番手につけたのはスープ・ストーン選手&ナウディ選手だ。おおっと、小鳥遊美羽選手、ギリギリで加速フィールドに入った! スープ・ストーン選手とならぶ!』
「来ました〜♪。スイッチオン♪」
 待機していたリクゴウ・カリオペが、加速フィールドを稼働させました。小鳥遊美羽が、わずかに加速します。
「追いつかれたナウ」
「まあ、いいんじゃないですかあ」
 相変わらず投げ槍なスープ・ストーンですが、なぜか上位グループに入っています。
『7番手は、ミルディア・ディスティン選手とクリストファー・モーガン選手がならびました』
「とりあえずは、中程につけて様子見ですね」
「うん、分かったよ」
 冷静にレース状況を分析する和泉真奈に言われて、ミルディア・ディスティンが答えました。
「クリストファーは? 出遅れたのか?」
 同時にスタートしたつもりが、クリストファー・モーガンが横にいないのに気づいて、クリスティー・モーガンが小型飛空艇のバックミラーで後ろを確認しました。
『9番手は、エリシア・ボック選手と綾原さゆみ選手&アデリーヌ・シャントルイユ選手がならんでいます』
「隣の飛空艇に気をつけて!」
「大丈夫。ぶつけたりしないから」
 アデリーヌ・シャントルイユに注意されて、綾原さゆみがすっとエリシア・ボックとの間に間隔を開けました。
「ノーン、遅いですわよ。って、舞花はどこにいますの!?」
 当然隣を走っていると思ったノーン・クリスタリアと御神楽舞花の姿がないので、思わずエリシア・ボックが大声で叫びました。
『11番手はノーン・クリスタリア選手です』
「お姉ちゃんに遅れてる。頑張れー!」
 先行するエリシア・ボックに追いつこうと、ノーン・クリスタリアが支援AIを使ってジェットドラゴンに命令を送りました。
『12番手は、源鉄心選手&トレリン選手です』
「あーあ、ティーったら言い出しっぺなのに……」
 なんだか、スタートでつまずいているティー・ティーに気づいて、源鉄心がちょっと溜め息をつきました。それにしても、他の二人は、なんだか速いです。
『13番手にはクリストファー・モーガン選手がつけました。これは、ちょっと出遅れたか?。14番手には、ルカルカ・ルー選手、15番手にはダリル・ガイザック選手、御神楽舞花選手、ティー・ティー選手&リラード選手が続いています』
「マシンの機嫌があまりよくない……。まあ、今はライバルたちの様子を観察するとしよう」
「ええ、チャンスを見て、一気に追い上げましょう」
 最後尾につけたダリル・ガイザックとルカルカ・ルーが、余裕を持ってそう通信を交わしました。
「おっそーい! うさ〜!」
 イコナ・ユア・クックブックと大差をつけられて、ティー・ティーが怒ってレガートをバンバンと叩きました。ちょっとかわいそうです。
『さて、現在の順位をお伝えします。スタートで、かなりの差がついたようです』

 1.17 遠野歌菜&月崎羽純
      イコナ・ユア・クックブック&ミラボー
 3.15 コハク・ソーロッド
 4.14 風森巽&ココ・カンパーニュ
 5.11 小鳥遊美羽
      スープ・ストーン&ナウディ
 7. 9 ミルディア・ディスティン
      クリスティー・モーガン
 9. 7 エリシア・ボック
      綾原さゆみ&アデリーヌ・シャントルイユ
11. 6 ノーン・クリスタリア
12. 5 源鉄心&トレリン
13. 3 クリストファー・モーガン
14. 2 ルカルカ・ルー
15. 1 ダリル・ガイザック
      御神楽舞花
      ティー・ティー&リラード

「ちょっと待て、これはないだろうが!」
 その順位を見て、ジェイコブ・バウアーがチケットを握りしめて叫びました。
「だから、安全なところを狙うべきだったのよ」
 もう、ダメなんだからあと、フィリシア・バウアーが夫の背中を叩きました。