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【ニルヴァーナへの道】決戦! 月の港!

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【ニルヴァーナへの道】決戦! 月の港!

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chapter.31 アルベリッヒ1 


一方そのころ。
裏椿 理王(うらつばき・りおう)は、
アルベリッヒ・サー・ヴァレンシュタインについての足取り調査を行っていた。
特に鏖殺寺院加入直前と思われる時期の鍛冶師としての実績や
研究所の位置やマイナーメタルの流れから、
アルベリッヒが開発しようとしている
パワードスーツの強度や開発規模を予測しようとしていた。
桜塚 屍鬼乃(さくらづか・しきの)は、
機器類を持ち込んでデータ処理を行う。

「長曽禰少佐に対抗する以外の目的は本当にないのかな」
内通者を警戒するため、長曽禰少佐とのやりとりはメールで行う。

「そうしたことへの心当たりはないな」
「具体的にはないとしても、片鱗はあったのでは?」
しかし、長曽禰少佐は否定した。

(あとは、大荒野での戦闘時に
一人相手パワードスーツのメンバーが死亡しているが、
パートナーロストの影響が出たようには見られなかったことから
影武者3人の構成は男女の契約者同士のカップルと、
契約者ではない一人と思われる)
「その組み合わせに心あたりは?」
しかし、長曽禰少佐は知らないという。
捜査は行き詰まってしまった。



一方、
【シャンバラ教導団中尉】マーゼン・クロッシュナー(まーぜん・くろっしゅなー)
アム・ブランド(あむ・ぶらんど)は、
憲兵として、味方を装って内部にもぐりこみ、情報を流したり、
いざというときに敵に寝返ったりする者がいないか、
警戒を行っていた。
「憲兵って本当に因果な役回りよね……
皆の安全を真剣に案じて行動しても、理解される事は殆ど無いのだから」
アムのつぶやきに、マーゼンは心の中だけで答える。
(憲兵の仕事の半分は味方から憎まれる事と言うからな。
まぁ、内通者による被害が減るのなら、私個人への悪評などは何程の事も無い)

マーゼンたちを遠目に見ながら、
カルロス・レイジ(かるろす・れいじ)は歯噛みした。
(ああも警戒してる奴がいるんじゃ、
教導団の情報を流すことなんかできやしねえ)
情報を流すことで、自分にとって有利な状況を作り、
手柄を立てて昇進しようと考えていたカルロスだが、
下手に動けば内通者としてマーゼンに捕まってしまう。

カルロスはどうにも動くことはできなかった。



そのころ。

リア・レオニス(りあ・れおにす)と、
パートナーの
レムテネル・オービス(れむてねる・おーびす)
ザイン・ミネラウバ(ざいん・みねらうば)は、
月の港の管制室を探していた。

(どっかに港の機能をコントロールする場所があるはずだ。
空港なら管制室、要塞なら制御室、司令室とかコントロールルーム。
敵が先行して来てるなら、俺が敵ならまずそこを抑えるぞ。
そうしたら建物全てを罠にもできる。
隔壁操作1つで契約者を真空の宇宙に吸い出す事だって……!)
リアはそう考え、管制室を押さえようと思ったのだ。

「疑問なんですが、ニルヴァーナへの道が開いた後、
寺院が施設を占拠してきたら?」
「そ……そうなる前に追い払えばいいんだよ」
レムテネルの発言にリアが言い返す。
「というか、弱気な発言するなよ。
皆を信じようぜ」
「私はなるべく慎重に行動した方がいいと考えているだけです」
「ま、兎に角行ってみようぜ」
リアとレムテネルに、ザインが割り込んで、
港の構内地図を指さす。

「ほんとは、ヘクトル隊長に聞いて教えてもらいたかったんだけどなあ。
偉そうだし、知らないなんてプライドが邪魔して許さないだろうから、
絶対調べてくれると思ったのに」
ザインがつぶやく。

「まあとにかく、場所がわかったんだから、急げ急げ!」
リアたちは管制室に辿り着いた。

「操作方法は、サイコメトリでわからないか?」
リアが試みるも、
古すぎて込められた想い自体がかすれてしまっている。
具体的なことはなにもわからなかった。

また、銃型HC弐式で、味方と連絡を取り、
戦闘の様子や、ニルヴァーナへの扉が開くときの連絡を、
アイシャに早くテレパシーで伝えようと思っていたリアだったが。

テレパシーは、使用者と対話相手が、
ともにパラミタにいるか、あるいはともに地球にいる場合しか使用できない。

「圏外ってことか……」
皆のことを心配しているであろうアイシャに連絡を取りたかったリアだが、
遥か下に見える、パラミタを見つめる。
「アイシャ……」