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リアクション
39)
空京のシャンバラ宮殿にて。
「ティセラお姉さまー!」
レオーナ・ニムラヴス(れおーな・にむらゔす)は、
宮殿の警備の任につく、ティセラ・リーブラ(てぃせら・りーぶら)の元へと押しかけていた。
「私にもお仕事を手伝わせてください!
こう見えても、私、お姉さまとは同族の匂いが……じゃなくて、
けっこう、腕っぷしには自信があるんです!」
レオーナが、ゴボウを掲げる。
「それは?」
目が点になるティセラに、レオーナが解説する。
「私には、魔槍ゴボウがあります!
これさえあれば、イコンの軍団だってイチコロですよ!」
ゴボウはとにかく長くて堅くて先の尖ったゴボウではあるが、ゴボウである。
ティセラは、しばらく、沈黙していたが。
「わかりましたわ。あなたはその……多分、正義感から、
宮殿警備の任を申し出てくださったのですわよね?
そのご好意、お受けいたしますわ。
よろしくお願いいたしますわ」
苦笑しつつも、ティセラは、レオーナの申し出を受けたのだった。
「ありがとうございます!
ティセラお姉さま!」
「あの、もう少し離れていただけません?」
ぎゅむーと抱きしめてくるレオーナに、ティセラが言うが。
「だって、お姉さまだって、私と同じなんでしょう?」
「は?」
「お姉さま……私は全世界の女性を愛する、どこにでもいる普通の百合な女の子なんです。
そんな私も、お姉さまのアムリアナ様へのひたむきな想いと、
お姉さまの美しさとたおやかさとしなやかさと(中略)愛らしさにやられました。
友達になってくださいとは言いません……むしろ、お姉さまの愚かで従順なペットを名乗らせて下さい!」
レオーナのあまりにも唐突な告白に、ティセラは狼狽した。
「わ、わたくしはアムリアナ様のことはそんな……!
たしかに大好きですしお慕いしておりますけれど、
あなたのいうような気持ちではありませんわ!」
「いいえ、きっと同じです! なので、私をペットにしてください!」
「ちょ、お放しなさい!」
「私もアムリアナ様ラブのお姉さまのペットになりたいんです!」
「お放しなさいと言っているでしょおおおおおおおおおおおおーーー!!」
混乱したティセラが星剣ビックディッパーを振り回し、
レオーナは空京の空に向かってぶっ飛ばされた。
「あーーーーーーーーーーーーーれーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
「な、なんだったのかしら、いったい……」
ティセラは、誰にも見られていなかったかどうか確認すると、
そっと居住まいを正し、
何事もなかったかのように、宮殿警備に戻ったのだった。