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リアクション
第二章 アーシアを救え
「どぉしたどぉしたビール腹! 足が生まれたての小鹿ちゃんみたいじゃない? やっば、カッコわるっ」
「こ、こんのクソガキ……おいてめえら! あんなガキ一人早く捕まえろ!」
「そ、そんな事言ったって!」
洞窟の地下階層。
そこでは、アーシアとひとさらい達が追いかけっこを続けていた。
「とはいえ……どうしたもんかなあ、この状況……」
ぐるぐる巻きで手が使えない以上、足を使うしか戦う方法は無い。
しかし、多人数相手に有効とは思えないし……万が一が起こった時にとれる手段がなくなるのは良い方法とは思えなかった。
「お頭、もう足の一本くらい撃っちまいましょうぜ!」
「バカ言うんじゃねえよ、商品の価値が下がるだろぉが!」
子分を叱り飛ばすひとさらいの親分。
だが、彼とて逃がすよりは……と考え始めているのが分かる。
「ヤバいなあ……こっちもそろそろ覚悟決めないといかんかなあ」
すなわち、戦うか逃げ切るか。
流石に、もう時間を稼ぐのは限界だろう。
戦闘音から、この場に何者かが入ってきたのは分かっている。
その者達に任せて逃げてしまうのもいいだろう。
きっと、子供達も救われている。
だがもし、まだ逃げ切っていない子供がいたら?
子供の正確な人数を知っているのは自分だけだ。
あの悪魔ロリ……もとい校長に電話した子供が、自分達の人数まで正確に伝えきれたとは限らない。
いや、そもそも。ひとさらい達にまとまりを与えてはいけない。
ここで逃げ切れば、ここにいる親玉は残りの子供を捕まえようと組織的に動くだろう。
そうなれば、子供が人質に……という事態が発生しないとは言えない。
「やるしか……ないかなあ?」
目標は、ひとさらいの親分一人。
こいつを、全治三か月くらいを目標に蹴り倒す。
その後ダッシュで逃げれば何とかなるだろうか?
「……む?」
その時、アーシアの耳に聞こえてきたのは自分を呼ぶ声。
そうと判断した途端、アーシアは組み立てていた捨て身の戦術を全て投げ捨てたのだった。
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