校長室
偽ロリ教師と盗賊とさらわれた子供達
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エピローグ 「……コーディリア?」 なんだかそわそわしているコーディリア・ブラウン(こーでぃりあ・ぶらうん)を見て、大洞 剛太郎(おおほら・ごうたろう)はそう声をかけた。 洞窟の入り口付近のゴブリン達は駆除したが、どうも鍋の中身を狙っているように剛太郎には見えた。 コーディリアの視線も鍋に注がれているように剛太郎には見えたのだが……。 実のところ、コーディリアはこの魔法薬目当てで来ていたりするのである。 「フハハハ! 我が名は世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスの大幹部、天才科学者ドクター・ハデス! 盗賊団よ、『悪のベンチャー組織連絡会』の回覧板を回しに来たぞ! ……って、む? 取り込み中か?」 と、そこにやってきたのはドクター・ハデス(どくたー・はです)と高天原 咲耶(たかまがはら・さくや)の二人組だった。 取り込み中どころか壊滅しているのだが、そんな事をハデスが知る由もない。 ハデスの目の前にあるのは鍋と薬、本と剛太郎とコーディリアだけである。 「勝手にお邪魔させてもらうぞ……と、この魔法薬は……ふむふむ、ボンキュッボンの魔法薬、とな」 タイトルを見たハデスの中に湧く、知的好奇心。 「ククク、よし、少しだけ試させてもらおう。というわけで、咲耶で実験だ!」 鍋の中には、たっぷりの魔法薬。 コップ一杯分もらって実験したところで何の問題もない。 そう判断したハデスは、その行動力が少しうらやましいコーディリアを尻目に咲耶へと魔法薬を振り掛けます。 「え、兄さん、その液体は何ですか? ……きゃっ!」 「うむ、ボンキュッボンの魔法薬だ!」 「魔法薬でありますか……」 「どれほどの効果が……」 コーディリアの発言を聞きとがめた剛太郎が振り返ると、コーディリアは視線をそらし。 「『ボンキュッボンの魔法薬』……? って、なんて物かけるんですかーっ!」 ボンッ、と。 響いたのは、空気を破裂させたような音。 放たれたのは、渾身の右ストレート。 使った薬の量が多かったのか、文字通りに音速を超えた咲耶の拳がハデスに突き刺さる。 いや、それだけではない。 咲耶の体は流れるような動きでキュッと態勢を整え、音速の左拳がハデスを壁へとたたきつける。 すなわち、これぞボンキュッボンの魔法薬の神髄。 意中の男性の意識を一撃で刈り取り、目的を遂げるまでは意識の覚醒を許さないトドメ攻撃。 「って、寝てる場合じゃないですよ、兄さん! なんだか人がたくさん来る気配がしますっ。起きて下さい、兄さーんっ!」 「飲まなくてよかった……」 コーディリアのそんな言葉が聞こえたのは、きっと剛太郎の気のせいではないのだろう。 こうして、運ぶ対象に本日一番の重傷のハデスが加わって。 ひとさらい集団の壊滅と子供達、ついでにアーシアの救出は大団円のうちに幕を閉じるのだった。
▼担当マスター
相景狭間
▼マスターコメント
皆さん、おつかれさまでした。 一人の犠牲もなく、作戦成功と相成りました。 アーシア先生は今回の件で、更に外の世界に興味を持ち始めたようです。 それでは、また次回の冒険でお会いしましょう。
▼マスター個別コメント