First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last
リアクション
■空中要塞との戦い1
シャンバラ教導団【新星】リーダーの
クレーメック・ジーベック(くれーめっく・じーべっく)は、
島津 ヴァルナ(しまづ・う゛ぁるな)とともに、
LAHに搭乗し、
ギュンター・ビュッヘル(ぎゅんたー・びゅっへる)と
サミュエル・ユンク(さみゅえる・ゆんく)の
ニーベルンゲンと編隊を組んだ。
【新星】の部隊は、孤立しないために、必ずイコン2機1組として小隊編成を行っていた。
今回の【新星】の、対空中要塞における作戦は、
大量の爆薬を積んだイコンをわざと要塞のワイヤーに捕まらせ、
パイロット脱出後に爆発させるというものである。
クレーメックは【新星】全体のリーダーであるだけでなく、
対空中要塞戦の指揮官でもあった。
地上での機械化モンスターとの戦闘は、
香取 翔子(かとり・しょうこ)が指揮を行った。
待機していたクレーメックは、
イコンを爆破させるメンバーからの通信がないことを訝しく思い始めていた。
その時、LAHに連絡が入り、
ヴァルナが取り次いだ。
「クレーメック様」
ヴァルナの困惑した表情に、クレーメックは何かトラブルがあったことを察した。
通信兵による連絡によれば、
イコンの爆破は、破壊工作を使えないメンバーには困難であり、
出撃時に止められたということだ。
「しかたない。ならば、目的を同じくする者達の支援のため、
遠距離からの攻撃に集中することにしよう」
クレーメックは、冷静に作戦の変更を行った。
「了解だ。私の役目にそう変わりはない」
ギュンターは、
自爆攻撃で破壊しきれなかった部分の射撃を
コームラントのニーベルンゲンで担当するはずだった。
だから、実質、地道に破壊しなければならないものが増えただけともいえる。
クレーメックは、【新星】メンバーに作戦の変更を手早く伝え、体勢を立て直した。
■
一方、空中要塞に取りついて、調査や破壊を行おうとする、
【八岐大蛇】メンバーを支援するため、
竜螺 ハイコド(たつら・はいこど)と
ソラン・ジーバルス(そらん・じーばるす)の、
クタリスは、
機械化モンスターをスナイパーライフルで狙撃していた。
「これで、皆が要塞に近づけるはず……」
ハイコドが、汗ばむ手で操縦を行うのを、横にいるソランが見つめた。
「大丈夫だよ、私もついてる。それに、皆も大丈夫!
だから、安心しな。
私達は必ず生きて帰るんだ」
初陣に緊張するハイコドを見て、ソランは言った。
「うん。
皆と一緒に帰るために……」
ハイコドは、スナイパーライフルの弾数を確認した。
緊急時のために、全弾使い切らずに、1発だけでも残しておくつもりだった。
ところどころ機械のパーツが埋め込まれた、翼をもつ獣が、
羽ばたいて、上空の【八岐大蛇】メンバーに接近しようとした。
「当たって!」
ハイコドは、クタリスのスナイパーライフルの照準を冷静に合わせて、引き金を引いた。
イコンからの攻撃で、モンスターはひとたまりもなく落下した。
「そうそう。やればできるじゃないか」
ソランが、わざといつもと変わらない調子で言った。
ハイコドは、味方が無事に要塞の方に飛んで行ったのを確認しながら言った。
「正直、女王様とか校長の方々と話したことなんてない。
だから『誰々様のため!』とかそういう覚悟で戦えない、正直ものすごく怖い」
「ああ、わかるよ」
ソランが優しくうなずいた。
「でも皆で騒いで楽しんで、
そしてソランと過ごすため……僕のために! 僕は戦う!」
ハイコドは、再び、スナイパーライフルの照準を合わせると、引き金を引く。
今度は、さっきよりも迷わなかった。
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last