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バトルフェスティバル・ハロウィン編

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バトルフェスティバル・ハロウィン編

リアクション



遊ぶのも命がけ!?

 大人気の珠輝の店で着替え終わったメイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)たちは、その衣装に満足な様子で店をまわっていた。黒のマントに三角トンガリ帽という魔女っ子には外せないアイテムを被りつつも、中のワンピースは白くて清楚。ふわっと広がるミニスカートは、元気なメイベルに合わせてドロワーズを着用してもらい万が一見えても安心だ。一見天使のように見えるが背中には真っ白な片翼を右につけて魔女っ子をアピールしている。同じ魔女っ子でもセシリア・ライト(せしりあ・らいと)は白のマントに白い三角帽と対照的な色。中も丈の短い黒のキャミソールとホットパンツの組み合わせで、チャームポイントはオヘソだと珠輝が言う通り若干小悪魔風となっている。背中にはメイベルと対になるように真っ黒な片翼を左につけ、2人で1つの作品のようだ。
 そんな大満足な様子の2人を眺めているフィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)は、1人自ら選んだセクシーな吸血鬼の衣装を着こなし自分も揃えてもらえば良かっただろうかと少しだけ思った。
「あら、あちらに面白そうなケーキ屋さんがありますわ」
 甘い物が大好きな3人は、引き寄せられるようにお店の前に立つが、どうやらメニューは「坊ちゃんかぼちゃの手作りケーキ」の1点のみ。
「喫茶店……では、ないのでしょうか?」
 きょとんとしている3人を見つけ、店内から出てきた七瀬 瑠菜(ななせ・るな)は獣耳と尻尾をつけたメイドスタイル。首には大きな首輪もつけており、可愛らしい仮装だ。
「ようこそ、TRICK OF TREAT! へ。どんな味が出るか、挑戦してみてよ」
「え? かぼちゃのケーキじゃないの?」
 セシリアが看板を指さすも、瑠菜は笑うだけで何も答えない。背中を押され席に座ってしまうと、自分たちが訪れたのは単なる飲食店ではなく遊び心溢れるロシアンカボチャケーキの店だと言うことに気がついた。
「まぁ、面白そうな声が聞こえると思ったら、こんな仕掛けがあったのねぇ」
 美味しそうに食べる人と、急いで水を飲んでいる人。微妙な顔をしている人もいるので、味は何種類かあるのだろう。しかし、そんなにも美味しくないハズレがあるのなら残せばいいのにとも思いつつ、一体自分たちはどんな味に当たるやらとドキドキしていると、リビングデットだろうか血だらけのメイド服を着たリチェル・フィアレット(りちぇる・ふぃあれっと)が運んできた。
「頑張って作ったんですから、きちんと食べてくださいね?」
 にっこりと微笑みながら良く見えるように血塗られた斧を掲げている。だから、周りの人たちは涙を堪えて食べきっていたのだ。
 見た目はどれも同じ、手のひらサイズの可愛い見た目をしたケーキ。恨みっこなしで、最初に並べられた物を一緒に食べる。
「……美味しいですぅ。中に小豆が入っていて、和菓子みたいであっさりしていますよぉ」
「あ、いいなぁ。僕のはコーヒー生地が中心にあって、かぼちゃプリンだと思えば何とか食べられるけど……周りが甘すぎて中の苦みがツライかも」
 でも、食べられる物で良かったねと談笑するメイベルとセシリアを前に、フィリッパがフォークを置いた。
「リタイヤは、ギロチンの刑になっちゃうよ。頑張って!」
 水のおかわりのためにポットを運ぶ瑠菜に励まされ、もう1度フィリッパがフォークを握りしめる。その様子にあれはリチェル作なんだろうなと思い確認のために何のケーキを出したのかを聞き出した。
「普通に、練乳をいれましたけれど」
 かぼちゃケーキに練乳。甘さがくどくなりそうだが、そこまで酷い組み合わせではないし、一体何が原因なのだろうかと瑠菜は頭を悩ませた。
「……ただ少し、かぼちゃに下味をつけようと蒸さずに和風だしと醤油で煮込みましたが。ダメでしたか?」
(あー……なるほど、ね)
 つまりあのケーキは、かぼちゃの煮付けに練乳をかけたような味がするということ。もっとも、他のケーキの材料は普通のはずなので、煮付けにしても甘いかもしれないが。
「元々甘さのあるかぼちゃなんだけど……ま、ギリギリ食べられるよ! 多分」
 まだまだ色んな組み合わせがありそうなロシアンケーキ。一体、当たりとハズレはどちらが多いのだろうか。
 もちろん、出店全てが仕掛けだらけの食べ物を販売しているわけではない。アリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)の販売するのはジャックオランタンのキャンディ。オレンジ味のキャンディにマントをつけたシンプルな物は、手に取りやすく子供の興味も惹きやすいだろう。
「魔女のジャックランタンキャンディはどうですか〜? 美味しいですよ〜」
 呼び込み通り、天穹 虹七(てんきゅう・こうな)と並んで魔女の格好をしており、ガッシュ・エルフィード(がっしゅ・えるふぃーど)は思わず立ち止まってしまう。
「……お姉ちゃんのお菓子、おいしいんだよ〜」
 呼び込みを手伝う虹七の声におっかなびっくりという感じで葉月 アクア(はづき・あくあ)の腕を引いて後ろに隠れた。
「え、何? ああ、お菓子屋さんですね」
 その声に頬を擦りながら葉月 ショウ(はづき・しょう)も足を止め、小さなジャックオランタンの前にハロウィンらしい3人が揃う。珠輝の店で見立ててもらったため、ショウはクールな雰囲気を更にクールにした吸血鬼に。普段はツンツンの髪もオールバックにし、緋色のタキシードを纏えば同じクールでもガラリと印象が変わる。
 ただ、今はそのタキシードのように頬も真っ赤に染まって格好良さが半減してしまっている。先ほど悪戯で女の子相手に血を頂こうかと言って間合いを詰めているのをアクアに目撃され、オロオロしている相手に変わって天誅だと言わんばかりに頬をつねって引き離されたのだ。
 もちろん、仮装と絡めたちょっとした冗談のつもりだったのに、その誤解を解くのに時間がかかってすっかり腫れ上がってしまっているのだ。
 また、そんなアクアは魔女の仮装でもビスチェで胸ライン強調しスカートにも深いスリットとセクシーな為、変な人たちを追い払う用に箒を持っている。これで殴られなかっただけ、マシなのかもしれない。
 ガッシュは幼い見た目を活かして半ズボンのタキシードタイプの正装に、丈の短いマントはショウのスーツと同じ色でグループ感を上げ、肩には可愛い蝙蝠のぬいぐるみを置いて蝙蝠少年のようだ。
「お、蒼空学園からの出店みたいだな。ガッシュ、食べるか?」
(さっきから2人して色んな人にお菓子を貰いに行っているのに……格好良い服を着たって、子供みたいね)
 どれにしようかと真剣に悩む2人の前には、和紙で作ったカボチャとマントが被せられた人工精霊が本物のジャックオランタンのようにふわふわと浮いている。
「じゃあ、これ……ください」
「ありがとうございます! さあ、お客様のところに飛んでおいき♪」
 アリアの呼び声に応えるようにガッシュが指さしたキャンディは独りでに浮き上がり、驚く彼の手まで飛んでいく。手に乗れば再び浮かび上がることもなくて、ガッシュはくるくる回しながら仕掛けを探しているようだ。
「光学迷彩なんて、凝ったことしてるんだな」
「子供には夢を見させてあげたいじゃない? はい、あなたにも」
 ゆったりと飛んでいた人工精霊のジャックオランタンに1本ずつ手渡され、自分の学校に投票出来ないことを残念に思いながら2人は待たせていたアクアに凄い仕掛けがあったんだと身振り手振りに話し出す。
「やったね虹七、あの子すっごく驚いてくれたよ!」
「……うん。喜んでるね」
 パートナーに飴を見せ、2人で力説したあとは笑いあって景色がよく見えるようにか肩車をして雑踏に消えていく。少しでも皆に楽しんで貰いたいというアリアの願い通り、お店を訪れる人は皆笑顔で帰って行った。
「全部売り終わったら、私たちもお菓子をもらいに行こうね。合い言葉、覚えてる?」
「……とりっくおあと、と……ぅ? ……なんだっけ?」
「ふふ、答え合わせはお店は終わったらね」
 頑張るぞ、と意気込むアリアを手伝えればいいなと、今までよりもほんの少し大きな声で呼び込みを手伝うのだった。
 その隣では、同じく蒼空学園からシルバ・フォード(しるば・ふぉーど)が飴細工の販売をしている。アリアの店のようにファンタジーな仕掛けこそないが、熱い飴を練ってハサミでコウモリやカボチャといったハロウインにちなんだ形へと整えられていく様子はまさに職人技のようだ。和と洋のコラボに自信を持って雨宮 夏希(あまみや・なつき)も呼び込みを頑張るが、やはり周りが仮装したり内装をファンタジーにしている分、あまり目立たないようだ。
(同じ学園で、同じ飴の種類なんだけどな……)
 ちらり、とアリアの店を覗いたところで、今から真似出来るほどの時間も道具もない。しかし同じチームとは言え負けたくないので、飴細工で定番の鶴や兎なんかも一緒に並べてみた。
 すると、その技に食い入るようにシーリル・ハーマン(しーりる・はーまん)がこちらを見ていた。頭からシーツを被り、目と口の必要最低限な穴だけ開けたシンプルなおばけ。頭にはゆらゆらと3本の毛が揺れており、どこか懐かしさと愛嬌を感じる仮装だ。
「これ、お菓子ですか?」
「ああ、飴細工って言って色んな形をしてるけど、みんな飴なんだよ」
 変わったお菓子があればレシピを聞いてみたいと思っていたシーリルは、まさか身近な飴がこんなにも色んな形に化けるだなんて思わず、飾られた飴を眺めている。
「凄いな、食べるの勿体ないよ。だけど……おなか空いた」
 一緒に来ていた国頭 武尊(くにがみ・たける)は、仮装の一部にうっかり本物の刃物を使用してしまい警備係に止められてしまっている。一緒にまわる約束をしていたから、何も食べずに待っているのにまだ戻ってきてくれない。そんな落ち込んだシーリルの前に差し出されたのは、小さいながらも自分が仮装しているお化けの飴。
「ハロウィンだから、あの言葉と引き替えにサービスするよ」
「本当っ!? えっと……」
「菓子か命か二つに一つだ」
 シーリルの後ろから聞こえてきた荒々しい声。彼女が喜ぶ様子から武尊が戻ってきたのだと気がつくも、その仮装は飴細工にするならば随分作りがいのある物だった。鬼の面、ケラミノ、ハバキを身に付け、大きな出刃包丁の模造品を持った「なまはげ」がいたのだ。
 自分たちもハロウィンでありながら飴細工と和風な出店をしているが、歩みよりの欠片もない彼の仮装は如何な物か。
(ククッ、オレの格好良さに驚いてるな。やはり、なまはげはナウなヤングに馬鹿受け間違いなしだったか)
 明らかに奇抜か、もしくは大がかりな仮装に違いないのに、本人は格好良い仮装だと言い張るのだから、趣向というのは千差万別なのだろう。鬼の面の下では自らの完成度の高さに笑みを浮かべ、さっさと出せと包丁を突きつける。
 これでは、ハロウィンではなくどう見ても強盗にしか見えない。
「シルバ、私が教えてもらったトリックオアトリートは違う言葉ですか?」
「いや、そっちが正しいはずだけど……」
 けれども、かなり自信満々に包丁を突き出す所を見ると、一部の地域ではこのような仮装をしてそう言うのかもしれないと一瞬思うが「お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!」という言葉もセットで広がっているのだからそれは無いと信じたかった。
「どうした、命が惜しくないのか」
「すぐ作る! すぐ作るから少し待ってろ!」
 手早くミニサイズのなまはげを作り、細かいケラミノの質感を出すように入れられたハサミ裁きに武尊も驚いた。
「こりゃいい。こんなイカした物を持ってりゃ、お菓子も大漁だろう」
「飴、ありがとうございました! 武尊さん、お菓子の食べ歩きに行きましょう♪」
 自分たちの姿を模した小さな飴を片手にウキウキと歩いて行く2人を見送り、シルバと夏希は呆然とする。
「……変わった、2人だったな」
「はい。けれど……楽しそうでした」
 ようやく1組のお客様を迎えることが出来、お祭りに貢献出来たのだという実感が沸いた。そして、新しいアイディアも。
「そうか、今みたいに仮装してる物の飴っていうのもアリか……限界に挑戦するぜ!」
 今まで眺めているだけだった魔女や狼男など、色んなキャラクターの飴細工を作っていく。それは、コウモリやカボチャという可愛いフォルムとは違い細かな芸に惹かれて人気を集めることになる。
 そうして賑わった店先で呼び込みを止め、懸命に細工する様子をたまに伺うことが夏希の楽しみの1つになるのだった。
 そんな中、オープンカフェを出店したナナ・ノルデン(なな・のるでん)は甘いお菓子と温かなスープでお客様を持てなそうとズィーベン・ズューデン(ずぃーべん・ずゅーでん)と共に頑張っている。
 薔薇の学舎はシチューとクッキー、カボチャパイだったのに対し、こちらでは各種ドリンクとカボチャ型のカボチャババロアのケーキ、そして何と言っても1番の目玉は5色の魔女スープだろう。
 ズィーベンの火術や氷術で食品を適温で保存するという特技を活かした物なのだが、キッチンで動きまわるには少し邪魔になる装飾もある。彼女はビクビクしながらも、エリザベート校長の仮装をしたのだ。
「な、ナナ! 校長はご来店してないよね? 大丈夫だよね!?」
「そんなにオドオドしなくても大丈夫ですよ。あ、いらっしゃいませ!」
 緑のツタの装飾でいかにもな外装を施し、小悪魔メイドでお出迎え。器もカボチャの形や全体的な雰囲気に合わせて統一感を出し、魔女はイルミンスールの得意分野だと自信を持って接客出来る内装に仕上げた。
 それを物珍しく思う他校生の来客が多かったのだが、同じ学舎のメニエス・レイン(めにえす・れいん)ロザリアス・レミーナ(ろざりあす・れみーな)と共に訪れた。
「……ロザ、校長が下働きのように働かされているわ」
「おっかしぃな〜? さっきこの近くを素通りしていったのに」
 ――ガシャンッ!
 大きな物音を立てて、身を隠すかのようにスープ鍋の隣にしゃがみ込んでいるが、やはり羽根の装飾のおかげでその姿は丸見えだった。
「今のはちょっとした挨拶代わりよ……ハロウィンだしね?」
「もう……これで、イタズラは勘弁してくださいね?」
 ナナから手渡された小さな袋にはクッキーが2〜3枚入っているようで、悪戯をけしかけたにも関わらず収穫があったことに笑みを浮かべる。
「じゃあ、今からはお客になるわ。魔女のスープを2つ」
「おねーちゃん、5色のスープは自分で選べるんだって」
 テーブルに置いてあるメニューには黒、白、赤、緑、黄と色が書いてあるだけで、何味かは書いていない。基本はたまねぎ、じゃがいも、にんじん等の野菜スープのようだが、そこから何かが足されて色づけされるのだろう。
「単なる着色料では無いだろうし……無難に赤で」
「じゃああたしは黄色〜」
 赤でスープと言えばトマトか唐辛子が定番だろう。賑わっている客層を見れば、きちんと食べられる物が振る舞われているようだし、辛い物が好きなメニエスにとってはどちらが来ても大丈夫だ。ロザリアスもまた、ハロウィンで黄色と言えばかぼちゃだろうというくらいのつもりで注文したのだが、一体何を入れられるのか気になる。
「……おねーちゃん、ちょっと待っててね?」
「あまりウロウロしないでくださいね」
 凝っている店内を見てまわるか、化粧室にでも行くのだろうと案内された席で1人で道行く人を眺める。まるでパートナーにせがまれてやってきたようにも見えるが、楽しみにしているのはメニエスの方で、会場マップにはしっかりと行きたい店に印がつけられている。
(あの学校を避けて巡るには……このルートが1番ですね)
 しっかりと立てられた作戦を再確認するように頷き、スープが運ばれるのを静かに待った。そして、席を立ったロザリアスと言えば、向かった先は厨房。5色のスパイスソースの中身を確認するべく覗き混むと、ナナはケーキを切り分けていてズィーベンはスープの具合を確認している。
(チャーンス!)
 そっとズィーベンの背後に忍び寄り、スパイスソースの瓶をくるりとまわす。ナナが調合したのか詳細の材料は書いてないが、緑はバジル、白はシチューと1つ1つ確認すれば、さすがのズィーベンも気がついた。
「だ、ダメだよ! それは企業秘密なんだからね!」
「カタイこと言わないで、見せてくれたっていーじゃない」
 ばさり、とふわふわと広がっていたスカートを捲る。可愛い顔して何てことをするんだとズィーベンは怒るが、ロザリアスはお構いなしに瓶を眺めている。
「ねぇ見た? 今スカートの中、見た!?」
「黒はイカスミ、っと。どっちでもいーじゃん、女同士減るもんじゃなし」
 しつこく問いただすズィーベンを遠ざけるように後ろ手に伸ばした手。そこにはぺたりとしたズィーベンの胸があった。
「――……ッ!!」
「……なんだ、つまんない。もうちょっと触りがいある胸しててよぉ」
 一通り確認し終わったロザリアスは、しつこくぺたぺたとズィーベンの胸を撫でながら、やれ鶏肉を食えだの胸の前で手を組んで筋肉を鍛えろだのとバストアップの方法を伝えるが、ズィーベンにとっては大きなお世話である。
「ロザ! 中々戻ってこないと思ったら、何をしてるの?」
「あ、おねーちゃん! スープね、トマトとカレー味だって〜」
 にこにこしているロザリアスの首根っこを掴んでズィーベンから引きはがし、頭を下げさせる。
「もう悪戯をしないよう、お菓子を頂いてるでしょう。謝りなさい!」
「いたずらするお祭りなのに〜」
 口を尖らせながら渋々謝ると、引きずられるようにして席に戻っていくのだった。台風が去った後の厨房はと言えば、助けてくれなかったナナに泣きつくズィーベンと、崩れやすいババロアケーキを切り分けることに集中しすぎていたことを謝るナナの姿があったとか。
 ハロウィンらしく悪戯心溢れるお店を避けたからと言って、トラブルに巻き込まれないわけではない。ここぞとばかりに悪戯に力を入れる参加者たちが集うお祭りで一息入れられる場所は……ないのかもしれなかった。