リアクション
五 決着
スタジムに整列する生徒たち。どの生徒も疲労の色を浮かべ、そわそわとしている。彼らは競技の結果発表を待っていた。
「あー、あー。お待たせしました、二〇一九体育祭、チャリオット騎馬戦の結果を発表します」
ざわついていたスタジアムが一気に静まりかえる。皆固唾を飲んでアリーセの声に耳を傾けた。
「シャンバラ教導団獲得ポイント――一七ポイント
波羅蜜多実業高等学校獲得ポイント――十八ポイント
スポーツ番長のハチマキは二ポイントとして計算していますが、シャンバラ教導団一ポイント足りません。波羅蜜多実業高等学校の勝利です!」
パラ実生たちから歓声が上がる。教導団側も、これだけやったのだから仕方ないと拍手を送った。
「尚、個人では波羅蜜多実業高等学校のラルク・クローディスさんと泉 椿さんが四ポイント獲得でトップ。シャンバラ教導団では皇甫 伽羅さんが三ポイント獲得でトップです」
「どうしようセリエ、とんだ誤算だったね……」
「はい……」
「このままバックレちゃおっか?」
「そ、そんな」
「亮司のやつにしか言ってないからなんてことないわよ」
「それはそうかもしれませんが、様子くらい見ていきましょうよ。結果も気になりますし」
「そうね。それじゃあ様子だけ……」
スタジアムに祥子とセリエと戻ってくる。入り口からそっと中を覗き込んだ祥子を、亮司を先頭として大勢の生徒が出迎えた。
「よう祥子、遅かったじゃねえか」
「ちょ、ちょっと亮司、これは一体どういうことよ」
「何が?」
「なんでこんなに人がいるのかって聞いてるの!」
「なんでって、焼きイモパーティーやるんだろ? 人を集めておいた方がいいと思ってさ」
「あんたってやつはー!」
祥子が頭を抱える。
「え、俺何か悪いことしたか?」
わけが分からないといった顔をしている亮司に、セリエが言いにくそうに説明する。
「それが……そのー……足りなかったんです」
「あ、燃料足りなかったの? やっぱ弁当の空き箱だけじゃだめか。なんか落ちてねーかな」
「違うわよ!」
祥子が言う。
「足りました! 足りましたともおかげさまで! 燃料はね! 足りないのはイモの方! ええ、計算を間違えましたゴメンナサイ! だってこんだけ人数がいるんだもの、しょうがないじゃない!」
「さ、祥子落ち着いて……」
セリエが必死に祥子を宥める。
「はあ、はあ……というわけで、とにかくパーティーはなーし!」
「何々、一体どうしたの?」
そこに梅琳がやってくる。
「あ、少尉。実はですね……」
「――ふーん、なるほどね」
セリエから事情を聞いた梅琳は考え込む。
「そうだ、それならこれはどうかしら。ニンジンを使うの。馬にあげるために大量にもってきてるのよ」
「さすが少尉! 素晴らしいアイディアです! みんなもそれでいいわよね?」
祥子が生徒たちの方を向く。普段温厚な祥子のこんな姿を見ると、どこか恐ろしい。生徒たちはうんと言わざるを得なかった。
こうして焼きイモ&ニンジンパーティーが開かれることとなった。イモが取り合いになったのは言うまでもない。
競技も無事終了し、生徒たちはイモやニンジンを片手に互いの健闘を称え合う。他校の生徒たちが握手をしている姿も珍しくなかった。馬の労をねぎらってやる者もいる。
教導団とパラ実は現在戦争中にある。それでも、いやそんなときだからこそ、この日の思い出は生徒たちにとって忘れられないものになるだろう。
リアクションをお届けするのが大分遅れてしまい、誠に申し訳ありませんでした。
題材も面白いしものですし、今までに描写したことのないPCにも数多く参加していただいたので積極的にキャラクター同士を関わらせようと思ったのですが、中途半端になってしまった部分も多いです。
あらぬものがチャリオットに乗っていたりとか面白いアクションも色々あっただけに申し訳ないですし、自分としても悔しいところです。
あとはガイドが説明不足でしたね。スキルの使用不使用やハチマキを誰かする等々。今回はリアクションのように処理したということでご了承ください。ガイドの穴はいつも多いので気をつけます。
同乗する相手をお任せにされた方は、相手との兼ね合いなどの都合上キャラクターが意図したものと違う行動を取っている場合もあるかと思いますが、ご理解いただければと思います。
これに懲りずまたシナリオに参加していだだければ幸いです。それでは。
私の反省ブログ→「蒼空でフロントスープレックス」