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リアクション
攫われたリフル
「た、大変っ、リフルが石化されて攫われちゃったよっ! 私たちが助けにいくしかないよね、ねーさま」
久世 沙幸(くぜ・さゆき)が、藍玉 美海(あいだま・みうみ)に呼びかける。混沌とした現場でいち早くシャムシエル追跡へと動いたのは、彼女たち【アルマゲスト】コミュニティのメンバーだった。
「作戦は移動中に相談するぞ」
【アルマゲスト】の管理者、武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)が言い、メンバーたちは発進する。
牙竜のパートナー重攻機 リュウライザー(じゅうこうき・りゅうらいざー)は、加速ブースターの勢いで、近くにいた武ヶ原 隆(むがはら りゅう)を轢こうとした。
「武ヶ原、後ろ!」
間一髪のところで隆を助けたのは、甲斐 英虎(かい・ひでとら)だった。
「危ねっ! おい貴様、何をするんだ!」
「あなたは以前牙竜を殴った上、謝罪したリフルに対してまだ謝っていないと聞きました。当然の報いです」
リュウライザーはそれだけ言い残して去っていく。
「武ヶ原様、お怪我は」
英虎の後ろから、甲斐 ユキノ(かい・ゆきの)が心配そうに顔を出した。
「大丈夫だ。ったく、さっきの橘 カナ(たちばな・かな)とかいうやつといい、今日は変なのによく絡まれる日だぜ」
隆はしばらく前まで、カナに振り回されていたのだ。
「さ、俺たちも行こうよー」
英虎が言う。
「行くってどこへ?」
隆は、横目で彼を見て答えた。
「あれ、リフルを助けるんじゃないの?」
「……まだ言うことがあるだけだ」
「なんだ、やっぱり助けにいくんじゃん。なんだかんだいって、武ヶ原って
女子に優しいよね。解かりにくいけどさー」
「ツンデレ、というやつでございますか?」
引っ込み思案なユキノは、頑張ってそんな発言をしてみる。
「な、何を――!」
隆はユキノに反論しようとしたが、彼女はささっと英虎の後ろに隠れてしまった。
「困るなー、武ヶ原。恥ずかしいからって俺の妹をいじめてもらっちゃ」
「いや、だからそうじゃなくて……」
隆が対応に困る。
「最近、隆のキャラが変な方向に向かってる気がする」
隆のパートナー、リニカ・リューズは、複雑な顔をして言った。
「月夜、どうした。牙竜たちが行ってしまうぞ」
パートナーの漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)が小型飛空艇に乗りたがらないので、樹月 刀真(きづき・とうま)はまだ出発できずにいた。
「……行きたくない。また洗脳されたら……」
「月夜、お前は俺の何だ?」
刀真が、改めて月夜に尋ねる。
「私は……刀真の剣で、パートナー」
「剣士に剣を持たず戦えって、お前は俺を殺す気か?」
刀真は苦笑した後、月夜をまっすぐ見据えて右手を差し伸べた。
「月夜を洗脳だなんて、二度と俺がさせない。ほら、行くぞ」
「刀真……うん!」
月夜は、しっかりと刀真の手を握った。
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