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ライバル登場!? もうひとりのサンタ少女!!

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ライバル登場!? もうひとりのサンタ少女!!

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第2章 思 惑


「あたしは魔法少女だけど、皆の夢のために働くサンタさんは先輩みたいなものだから、ぜひお手伝いさせてほしいの!」
 百合園女学院の七瀬 歩(ななせ・あゆむ)は、スネグーラチカにそう頼んだのだが、スネグーラチカはうさんくさげな眼差しで、歩を見つめ返した。
「つまらない冗談ですこと」
 歩は必死に頼み込む。
「本気だよ! お願い、一緒に連れてって下さい!」
 頭を下げる歩に、スネグーラチカは冷たく言い放った。
「お断りですわ。足手まといを同行させて何のメリットがありますの? わたくしの邪魔はなさらないでいただきたいわ」
 歩はぎゅっと唇を引き結んだ。まずはここで説得できなければ、2人のサンタ少女を仲直りさせるなど、夢のまた夢だ。
「そこをなんとか、お願いします!」
「しつこいですわね、おどきなさいっ!!」
 機晶ロボが歩に向って前進しようとするのを見て、スネグーラチカを追ってきた黎とじゃわがその間に入った。
 じゃわが歩の手を引き黎の後ろに避難させる間、黎はスネグーラチカと交渉を始めた。
「残念だが、たとえ断ろうとも我らはついて行く。勝負には立会人が必要であろう」
 黎の言葉にスネグーラチカが彼を睨むが、黎は気にせずに話を続けた。
「スネグーラチカ殿は来たばかりでは地理もろくに分からぬであろう? こちら独特の風習もある。同行を許して貰えれば、それらのフォローに加え、配布リストの整理なども請け負う。どうだろう、我は役に立つと思うが?」
 黎の提案に、スネグーラチカはしぶしぶ頷いた。
「わかりましたわ」
 それを聞いた歩が黎に声をかける。
「それじゃ、あたし、アシスタントとして同行します!!」
 歩よりも前に断られ、同行願いの再チャンスを見計らっていた蒼空学園の浅葱 翡翠(あさぎ・ひすい)も、ここぞとばかりに頼み込んだ。
「じゃあ、私もサンタ見習いとしてお供しますっ!!」
「ボクも、手伝う!」
 イルミンスール魔法学校のカレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)が翡翠に続き名乗りを上げた。スネグーラチカの周りには、無下に断られながらも同行を諦めきれなかった者達がいたが、皆、次々に便乗してきた。
 スネグーラチカは、
「勝手になさい!」
 と言い捨て、機晶ロボを前進させた。

 スネグーラチカが、機晶ロボの背後で駿馬に乗った黎と打ち合わせをしている隙に、歩は軍用バイクで機晶ロボに並走しながら、話しかけた。
「こんばんは。あたし、七瀬 歩っていいます。よろしくね!」
 しかし、機晶ロボは何の反応も示さない。
「機晶ロボさんて、サンタ歴長いんですか? いいですよね、サンタって」
 それでも歩が機晶ロボに向かって話し続けていると、上空から女の子の笑い声がした。見上げると、雪のように白くて美しい少女達が、仄かな光をまといながらスネグーラチカを守るようにして飛んでいる。スネグーラチカの配下の雪の精霊、雪娘達だった。
 歩の近くを飛んでいた笑い声の持ち主は、機晶ロボに話しかける歩に首を振って見せた。
「もしかして、機晶ロボさんて、自分の意志で話したり行動できるわけじゃ…ないのかな?」
 美少女が笑いながら頷いた。
(うはー、恥ずかしい! でも、この娘達なら話を聞いてもらえそう)
 歩はターゲットを変え、少女たちに笑顔を向けた。
「こんばんは。あたし、七瀬 歩っていいます。よろしくね!」
 歩の狙い通り、少女達は歩に好意を見せる。
「あなた達もサンタなのかな?」
 歩は雪娘と親しくなるべく、積極的に声を掛けた。

 翡翠はその後ろを、トナカイとソリがセットになった『サンタのトナカイ』に乗って着いていきながら、フレデリカのいる方角に目を向けた。
(フレデリカ様、お手伝いできなくてごめんなさい。でも、サンタさん同士の仲が悪いなんて、きっと世の子供達は耐えられません、この私と同じように。だから、なんとか2人が仲良くできる様、私が必ずスネグーラチカ様を洗脳…もとい、説得してみせます!!)
 翡翠の決意も知らず、黎と話をつけたスネグーラチカはすっかりご機嫌で、定位置である機晶ロボの頭部に座った。黎は、「準備完了」と、ルカルカにメールした。すぐにルカルカから返信があった。じゃわが黎の手元を覗き込む。
「どうしたですか?」
「あちらも準備が整ったようだ。スネグーラチカ殿、勝負開始のカウントダウンを始める」
 じゃわが、黎の時計を覗き込みながらカウントを取る。
「……5・4・3・2・1 スタートなのですーっ!」
 じゃわの声を合図に、スネグーラチカの機晶ロボがスピードを上げた。
「今度こそ、負けませんわ!」

 それぞれの思惑が絡み合いながら、サンタクロース達は聖夜の街を目指した。