リアクション
第五章
夕暮れの空を、飛空艇は悠前と、ブランクを感じさせない滑らかな動きで泳いでいく。
ギリギリではあったが、暗号の解読は成功。同時に飛空艇の起動、作戦自体も成功を収めた。
ガードロボや機晶姫も、リカバリ不能なほどのダメージを負った個体は出ず、メンテナンス後に教導団で運用することになるという。
望むべくもない最高の成果だ。
操縦を発掘現場の外で待機していた教導団のスタッフに任せ、秀幸は甲板上に今回の作戦に参加してくれた仲間たちを全員集めた。
改めて仲間たちひとりひとりの顔を胸に刻み、深々と腰を折った礼をする。
「本当に、ありがとうございました!」
涙交じりの秀幸の礼に、仲間たちの間からは穏やかな笑いが湧いた。
笑いの理由がわからず困惑する秀幸に、白竜が努めて生真面目さを装った声をかける。
「そうではないでしょう、少尉。我々は軍人です。――顔を上げて下さい」
言われるまま顔を上げ、秀幸は息を呑んだ。
敬礼、である。
仲間たちは皆、教導団以外の人員も含め、秀幸に向けて敬礼を向けてくれていた。
敬礼に不慣れな他校生も多い。不揃いな敬礼は、しかしそれゆえに機械にはない、有機的な繋がりを想起させる。
秀幸は溢れそうになる嗚咽を呑み込み、涙を拭った。
「――失礼しましたッ!」
背筋を伸ばし、敬礼を返す。
もう、同じ面子で別の作戦に従事することはないだろう。
それでも、ここに誓いを立てる。
この仲間たちが住む世界を守るため、自分は戦い続けるのだと。
いつか、後輩に胸を張って、彼らに教わったことを伝えられるように。
秀幸の誓いを見守るかのように、飛空艇は夕暮れの空を穏やかに飛び続けた。(了)
みなさまお疲れ様でした。
改めて初めまして、新米GMの七誌紗難です。
不安もありましたがたくさんの方にご参加いただき、感謝の極みにございます。本当にありがとうございました。
新人なりに精一杯、同時にみなさまのおかげで楽しく書かせていただくことができました。
参加者のみなさまに支えられ、気分はさながらリアクション中の秀幸です。な、泣いてなんかいませんっ!
みなさまにも楽しんでいただけていれば幸いです。
それでは、またどこかでお会いできることを祈りつつ筆を置かせていただきます。
改めて、ご参加ありがとうございました!