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リアクション
「さて、次は僕ですね……」
ロザリンドに続いてまたしても百合園生が品評会に登場してきた。キラーラビットをベースに外見をリス型に改造したイコン【スクイレル】と、そのパイロットである和泉 絵梨奈(いずみ・えりな)&ジャック・メイルホッパー(じやっく・めいるほっぱー)のコンビである。
解説はパイロットスーツを着た絵梨奈が、スクレイルの操縦はジャックが担当する。
「やれやれまったく、戦闘中じゃないから出力30%でも問題無いとか言うがな……」
イコンというのは基本的には2人で乗るものである。それも「地球人とパラミタ人」という組み合わせでなければ本来の性能が発揮できないのだ。一応、単独でも操縦することは可能なのだが、その場合は出力が3割程度にまで落ち込んでしまう。無論、戦闘をするのでなければ出力3割でも問題は無いのだが。
「このイコンはスクレイル。見ての通り、リス型です……」
どちらかといえばあまり喋らない方である絵梨奈が自身のイコンの解説とアピールを行う。
「……実はまだ、フルスクラッチ写真が現像できていないらしいので、資料はキラーラビットのそれになってますが……、リス型なんです」
これについては問題無い。写真はあくまでも視覚イメージを補完するために存在しているのであり、写真が無いからといって全ての外見的性能が無になるわけではない。
「で、スクレイルの最大の特徴は、この尻尾です」
スクレイルの尻尾はリスのそれと同じ形をしているが、それにしては少々大きい。それもそのはず、この尻尾は武装をマウントするためのコンテナの役割を果たしているのだ。
「この尻尾のおかげで、大きさが保たれています……」
尻尾部分が無ければスクレイルは小型になってしまう上、武装が無くなることも意味しているので、結果的に非常に弱くなってしまうのだ。
「ちなみにこの尻尾、切り離せます」
その言葉を聞き、ジャックが尻尾切り離しの操作を行う。リスの尻尾が胴体から離され、大きな音を立てて地面に落下した。
「トカゲの尻尾切りみたいなものですが……、どうでしょうか」
「なるほど〜、パーツ切り離しか〜」
「へぇ、こいつは結構参考になるかもな……」
スクレイルのアピールにまず要とアレックスが反応する。パーツを切り離すという技術は、すなわち不要となった武装を捨てることが可能ということである。
「リス型のイコンか。結構かわいらしいんじゃないか? ただ……」
外見部分について感想を述べたのは和希である。
「実用性やデザインをウリにアピールしてきたのはいいんだが、俺の判断基準ってのを考えると、やっぱインパクトにかけるんだよなぁ……」
百合園女学院が所有するイコンは、キラーラビットがそうであるように動物の姿を模したものとなっている。それは確かに外見上の愛らしさという点では評価されてしかるべきなのだが、姫宮和希という漢が望むのはそれではなかった。
和希が望むイコンを持ってこれなかったという風に考えれば、絵梨奈の選択は結果的には間違いといえたが、どちらかといえばこれは審査する側に問題がある。そもそも審査をするのが「パラ実生1人」という状況が本来ならばおかしいのだ。
それに今回の品評会の趣旨はあくまでも「イコン魔改造の参考にする」ことである。そういう意味では、デザインと実用性を前面に押し出した絵梨奈のアピールは、当事者である要とアレックスが反応したという点で大成功といえた。
「まあ今回は趣旨と状況がこんなんだし、評価に偏りが出ちまうのは勘弁してくれるとありがたいかな?」
ひとまず和希は、そう締めくくった。
「それにしても、いったいどこをどう魔改造したらウサギがリスになるってんだよ……。わけがわかんねぇ」
一方で、コクピット内にてイコン操縦を行っていたジャックは、そうぼやいていたという……。
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