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リアクション
「さて、これで品評会の分は全部かな?」
品評会に参加するイコンが全て出揃い、いよいよ本格的な審査に入る。
審査そのものは和希1人で行い、要とアレックスの評価は審査として含まれない。他に明確な審査員役がいない以上、どうしてもそれなりの偏りが生まれてしまうが、今回に関しては仕方の無いことである。
「さて、俺の判断基準から考えると……」
今までに登場した5体のイコンを前にして、和希は長考する。
和希が審査のポイントとして選ぶのは、
1、パラ実イコンが使用されているかどうか
2、いかに大きいか(あるいは、いかに大きく見えるようになっているか)
3、いかに見た目にインパクトがあるか
4、いかに魂(漢気・こだわり)が込められているか
この4点である。
「まず1番目だが……、誰もパラ実イコン、持ってこなかったんだよな……」
今回の品評会で出てきたのは、S−01、センチネル2体、キラーラビット、コームラントだった。つまり、1番目の評価対象はいないということになる。
「ただ最初に出てきた【雷弩璃暴流破】、これが一番パラ実っぽく見えたんだよな」
明確にパラ実イコンが登場していない以上、代替案として「いかにパラ実風か」と評価を変えなければならない。もちろん本格的な品評会を行うとすれば、このようにして評価基準を変えるというのは許されないことであるが。
「じゃ2番目だ。これはもう1つしか考えられないだろ」
いかにして大きいか、あるいは大きく見せているか。単純な大きさというだけならば、元がLサイズのキラーラビットをベースにした【スクレイル】なのだが、その大きさが尻尾頼りであるというのが少々マイナスとなった。
「だからそう考えると、トップは追加装甲込みの【ナグルファル】。これだな」
仮にスクレイルの「本体部分」がもう少し大きくカスタマイズされていたら、この評価にうまく食い込めたであろう。
「見た目のインパクトといえば、やっぱ【雷弩璃暴流破】か、あるいは【宦官ダム】だよなぁ」
元々戦闘機のような風貌だったS−01を「バイクに乗った不良」という姿にしてしまったこと、及び、槍を持った騎士風だったセンチネルを「桜井静香」の姿にしてしまったこと。これに勝るものは無いだろう。【ナグルファル】も追加装甲やビームキャノンのおかげで上位に入れそうなのだが、ベースとなったコームラントの特徴が残っていたことが原点の対象となってしまったようだ。
「正直、どれもこれも、それぞれがそれぞれにこだわってたし、魂が込められてた。これに関しては選びにくいな……」
最も魂が込められていたのは何かと聞かれると、和希は「【宦官ダム】がトップだろう」と答える。
だが和希はこれだけは評価するわけにはいかなかった。
「細かいことを考えないのがパラ実だが、それは結局同じパラ実生に対してのみ使える法則なんだ。だからこそ、百合園生が持ち込んで、その姿が百合園の校長のそれとなると、いくらパラ実でも……」
それこそ、桜井静香本人に対する世間の目というものがある。果たして彼女の姿をしたロボットがハサミを両手に大暴れする姿を見たがる者がいるのだろうか。
「……いないだろ。さすがに」
「それじゃ、結果を発表する」
突然開かれた即席のイコン品評会。たまたま審査員長を買ってでてくれた姫宮和希によって、どのイコンがトップなのかが決まろうとしている。
「今回のイコン品評会の優勝は……」
全員の耳にドラムロールの音が聞こえていた。誰もドラムなど持っていないのだが。
「今回の優勝は、【雷弩璃暴流破】だ!」
その決定に喜んだ者、あるいは悲しんだ者、不服を表す者が現れるが、和希はそれら全てを無視した。さすがにいちいち取り合うわけにはいかないのだ。
こうして御弾知恵子の所有する雷弩璃暴流破は、パラ実生徒会長のお墨付きを得ることとなった。
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