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謹賀新年。黄金の雨の降り注ぐ。

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謹賀新年。黄金の雨の降り注ぐ。

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 獅子神 ささら(ししがみ・ささら)は振袖を着て葦原神社にお参りに来ていた。ここには恋愛運上昇のお守りがある
ので、恋人との良き仲の為に買っておこうと思ったのだ。
 元々獅子神玲や飛騨直斗と参拝に来たのだが、二人とも縁結びの鈴に行ってしまったということで、気ままに一
人で参拝を済ませ、お守りも買い終えて境内をぶらついていると、境内の入り口からどこかで見たような姿が現れ
る。
「おや? 竜胆さん」
 ささらは驚いた。そう、それは竜胆だった。初詣だろうか? それにしては様子が変だ。妙に慌ててるし、道行
く人にしきりに何か聞いてる。いうまでもなく、竜胆は夏侯淵からの連絡を受け、ウサギ小僧捕らえるべく駆けつ
けて来たのだ。ハヤテも一足先にここに来ているはずなのだが……。
 ささらが見ていると、竜胆もこちらに気付いたようだ。
「ささらさん?」
 駆け寄って来る。
「あけましておめでとうございます」
 ささらは竜胆に挨拶した。
「あけましておめでとうございます。昨年は色々とお世話になりました」
 竜胆も深々と頭を下げる。
「して、何をしておられるんですか? 道行く人に何か聞いていたようですが」
「実はウサギ小僧という盗賊を追いかけているのです」
「ウサギ小僧? なんですか? それは」
 竜胆はささらにウサギ小僧の事や、天女の事、そして、この神社にウサギ小僧が居るかもしれないという連絡を
受けた事などを話して聞かせた。聞き終えると、ささらはうなずいた。
「そういう事ですか。よろしければワタシも協力しましょう」
「本当ですか?」
「ええ、頑張ってる女性の頼みは叶えたいですし、それに友人の為にもね」
 友人という言葉に竜胆は嬉しそうな顔をする。
 とりあえず、ささらは玲と直斗を呼び寄せる事にした。

「直くん…怒ってる?」
 玲は直斗にたずねた。
 ささらから連絡をもらって、一同再会できたのはいいが、直斗はとても機嫌が悪いようだ。無理もない、あんな
事があったのだから。しかし、それは玲には知る由もないのだが。
 それはさておくとして、ささらは、竜胆から聞いた話を二人に伝えた。つまり、ウサギ小僧と天女の一件をであ
る。
「ウサギ小僧ならさっき会ったぜ」
 直斗が言った。
「本当ですか?」
 尋ねる竜胆に直斗は先ほどの縁結びの鈴で玲の偽物に出会った一件を話した。
「そういう事でしたか」
 それでやっと直斗が不機嫌だったのかとわけを悟り、玲は納得する。
「分かりました。協力しましょう。とりあえず、ウサギ小僧には直接の恨みはないですが…私の可愛い弟に手を出
したのなら話は別です。ちょっと痛い目にあってもらいます」
 しかし玲の言葉に直斗は少なからず落胆した。

 弟……

 そう。直斗は初恋の玲が大好きで良くアプローチを掛けてるが、玲からは「大好きな弟」止まりなのである。し
かし、彼はこの悲しみをウサギ小僧への怒りへと転化させる事で自分を奮い立たせた。
「全力でウサギ小僧をボコリに行くぜ!」
 一念発起して叫ぶ直斗。しかし、それをあざ笑うかのように
「ボコレるものならボコってみな!」
 どこからか声がする。
 見ると、目の前にウサギの仮面をかぶった男が立っていた。
「うわ……うわ……! おま……お前……!!!!!」
 直斗は頭に血を上らせて飛びかかっていく。しかし、あっさり躱され、御手水の中にハマってしまう。彼の不幸
体質は、こんな時でも健在のようだ。
 しかし、直斗はあきらめずにウサギ小僧を追い続けた。
「なんで、玲さんに化けたりした?」
「好きな女に振り向いてもらえないお前が、かわいそうだったからだよ」
「なんだと? バカにするなーーーー」
 二人の追いかけっこを見ながらささらがつぶやく。
「直斗さんが張り切ってくれてますね。いい具合に囮になってくれそうです」
 ささらは、ザクロの着物の隠れ身効果でウサギ小僧に近づいて行った。そして、後ろからダブルデリンジャーを
押し付けようとする。しかし、ウサギ小僧は気配を察して逃げてしまった。
 そこに、玲が怒斗羅の連続攻撃! 峰打ちで当てようとしただけだが……それもウサギ小僧はすばやく躱して逃
げてしまう。気付けば玲の手に握られていたはずの怒斗羅が無い。ウサギ小僧は、鳥居の上で片手に怒斗羅を持っ
て笑っている。
「って、盗られてしまいました。仕方ありません……。あまり使いたくはないんですが……」
 玲は鬼神力を展開。金色の髪と一本角を生やした鬼と化し、手近にある大きな岩を持ち上げ、スタンクラッシュ
で鳥居に叩きつけた。
「うわ!」
 ウサギ小僧はバランスを崩し鳥居から堕ちそうになる。
 以前は鬼神力を使うと狂戦士化していた玲も、今はヒロイックアサルト『金鬼』で少しはコントロール出来る様
になった。しかし……やっぱり、長くは持たないので短期決戦で決めようとする。
 玲はバスファインダーでウサギ小僧に不意打ちを仕掛けた。
 さすがの攻撃に、ウサギ小僧も青ざめる。
「なんて奴だ。くそ……」
 舌打ちすると、懐から何か出した。凧のようだ。何と、ウサギ小僧は凧に乗って空高く消えてしまった。
「逃げてしまいました」
 竜胆はぼう然として空を見上げる。
「まさか、凧を使うなんて」
「まあ、逃げてしまっては仕方ありません」
 玲は鬼神力を解いて言った。そして、
「それより、直くん。これお守りですよ」
 と、恋愛成就と知らずに買ったお守りを直斗に渡した。