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リアクション
第4章 告げる
「えっ……ど、どうゆう事?」
ルカルカ・ルーの言葉に、サニーは一瞬状況を理解できず問い返す。
「これは、雅羅さん達と同行していた君たちにだけ特例として話すことなんだ。他の人には内緒だよ」
エース・ラグランツがルカルカの言葉を補足する。
「雅羅さんと三二一さんは、この遊園地に潜伏している強盗犯人に誘拐されたらしい。でも心配しないで。雅羅さん達はきっと助けるから」
そこまで言うと、エースは薔薇をサニーに渡す。
「そんな…… 私が誘ったばっかりに、雅羅ちゃんたちが……」
サニーは、差し出された薔薇にも気づかない様子で青ざめている。
「姉さん……」
レインたちに気遣われているサニーを見ながら、ルカルカは表情を曇らせる。
本当ならば、ここで海たちに協力を頼むつもりだった。
しかし、担当のシャンバラ教導団上官から、一般客をできる限り巻き込むなと厳命されてしまった。
当初から状況を知り、積極的に動いているエースならともかく、これ以上友人を巻き込むべきではない。
「……この件は、関係者以外は関わるべきじゃないから。サニーたちは、遊園地で待っていて。雅羅はルカたちが助けてくるから」
「そんな、待っていて、って……」
唇を噛むサニー。
そんな一行から、こっそりと離れる人影があった。
「冗談じゃないわ! 雅羅が誘拐されといて、大人しく待っててなんかいられるもんですか!」
「そしたら、どうするの、理沙?」
サニー達から離れ、物陰に隠れると一人息巻く白波 理沙(しらなみ・りさ)。
白波 舞(しらなみ・まい)が首を傾げる。
「決まってるわ! 関係者以外関わっちゃいけないなら、関係者になればいいのよ! ほら!」
そう言うと、理沙は大きな荷物を取り出した。
「これは?」
訝しげに荷物を眺めるカイル・イシュタル(かいる・いしゅたる)に、理沙は胸を張って中身を見せる。
「こんな事もあろうかと思って持ってきた、ダンサー衣装の数々よ」
「用意がいいなんてもんじゃねぇな」
驚きを通り越して、呆れたように呟く龍堂 悠里(りゅうどう・ゆうり)。
「いいから! ほら、カイルはこれ。他の皆はこの衣装ね」
衣装を配りながら、理沙は皆に作戦を説明する。
ショーのふりをして強盗を探し、発見したらダンスショーで隠しつつ裏で強盗をボコろうというのだ。
「……作戦は分かったが、何故俺は着ぐるみなんだ?」
「無口なカイルにはぴったりでしょ」
理沙の言葉にカイルは納得したような諦念したような表情を浮かべつつ、着ぐるみを手に取った。
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