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デスティニーランドの騒がしい一日

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デスティニーランドの騒がしい一日

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第18章 そして遊園地を楽しむ

 サニーは、目を覚まさなかった。
「サニー、大丈夫かなぁ……」
 ルカルカ・ルーが心配そうに覗き込む。
 自分たちが誘拐事件の事を話したのがきっかけとなってサニーに心労を負わせてしまった。
 エース・ラグランツも悲痛な表情でサニーを見ている。
「また今度、遊園地で遊びたいね……」
「……次があればいいけどな」
 ルカルカの言葉にレインが沈んだ声で答える。
「もうじき閉園時間だ。柚さん、まだ乗りたいって言ってた観覧車に乗ってなかっただろ。姉さんは俺が見てるから、乗って来ないか?」
「え、でもサニーちゃんがまだ起きていないのに……」
 力なく反論する杜守 柚に、レインが申し訳なさそうに告げる。
「ここで君が観覧車に乗りそびれたら、後で俺が姉さんに怒られちゃうよ。姉さんも申し訳なく思うだろうし、気を遣わないで楽しんでくれよ。兄貴はどうする?」
「……俺もここにいる」
 クラウドが、何故か他の皆とは違った落ち込んだテンションで答えた。
「俺、しばらく観覧車には乗りたくない……」
「じゃあ3人で行ってきてくれないか?」

 そして柚と杜守 三月、高円寺 海の3人は観覧車に乗っている。
 観覧車の中は、重たい沈黙。
「……えーと、そうだ。せっかくだから、写真を撮っておこうか。後でサニーさんにも見せてあげよう」
 三月がわざと明るい声で、デジカメを取り出した。
「ほら、柚も海ももっと寄って寄って」
「……ああ」
「うん」
 暗くなりかけた空を背景にした、二人のツーショット。
(せっかくの海くんとの記念写真なのに、こんな気持ちじゃ……)
 三月にデジカメを見せてもらい、重い溜息をつく柚。
 その肩に、手が置かれた。
 海だった。
 海自身も沈んだ表情で。
 しかしその手は肩に置かれたまま。

 観覧車には、もう一組乗客がいた。
「カノエくん、ありがとね」
「……ん? 遊園地の事なら、気にするな。こっちも楽しませてもらったんだから」
 壬 ハルの言葉に村雲 庚は気だるげに微笑む。
「ん、それもあるんだけど……今までの事。助けてくれた事、パラミタまで連れて来てくれた事、今まで一緒にいてくれた事、いつもついて来てくれる事……」
「……そうかい」
「ずっと、感謝してたんだ。なかなか言えなかったけど……」
「……あぁ」
「今まで、本当にありがとう。それで、これからも、もっとずっと先も、付いていっても……」
「……ぐー」
「カノエくん?」
「ぐー」
 いつの間にか、目を閉じて眠りについている庚。
 それを見て、ハルは思わず苦笑した。
 庚のほっぺたをつん、とつつく。
「……んむ」
「もー。しょーがないなーカノエくんは」
 つんつん。
「……んん」

 メリーゴーランドにもコースターにも観覧車にも乗りつくして、一息ついていた眠 美影。
 そんな彼女の背後に怪しげな影が!
「みーかげ!」
「ま……マッキー?」
 マッキーのぬいぐるみを抱えたテテ・マリクルだった。
「あはは、驚いた?」
「もう、テテったら……」
 苦笑しながら、美影は気づいた。
(そういえば、あたし、笑ってる…… テテやお友達のおかげかしら)
「はい、プレゼント!」
 美影の感謝の気持ちに気づいているのかいないのか、笑顔でマッキーのぬいぐるみを差し出すテテ。
「あ、ありがと……あら?」
 マッキーのぬいぐるみを抱きしめると、何か違和感を感じる。
 メッセージカードが挟まっていたのだ。
『今度二人っきりでデートしようね!』
「……テテ……!」
「あっちゃー、もう見つけちゃったか」
 照れた様子であらぬ方向を向くテテ。
「その、オレだって、ちゃんと考えてるんだよ」
「ん……ありがとう」
 ぎゅうっと、ぬいぐるみと一緒に期待を胸に抱きしめる美影だった。


 もうじき閉園時間。
 自由行動をとっていた【春遊】メンバーが集まって来た。
「皆さん、乗りたい物には乗れたかしら?」
 ディアーナの声にたくさんの満足気な笑顔が答える。
「……途中から離脱してすまなかった」
「いやいや、そんな事ないから」
「そうです。誰にでも苦手の一つ二つはあるわけですし」
 アルクラントの謝罪に、シルフィアと天野 稲穂は慌ててフォローする。
「ほら、ルーナさんも。欲しがってたマッキーのぬいぐるみですよ。ルーナさん?」
「……すー……」
「よく寝てますね。よし」
 笑顔を浮かべ、ルーナを背負うディアーナ。
「重たいですが、可愛い重さですね」

「まだですのー? もうじき閉園時間ですわよ」
「待って待って! まだおにーちゃんと環菜おねーちゃんのお土産、きまってないの」
「そんなに買ったのに?」
 胸にたくさんの菓子缶や箱を抱いたノーン・クリスタリアを見て、エリシア・ボックは苦笑する。
「おねーちゃんは何にしたの?」
「これよ」
 エリシアが取り出したのは、デスティニーランドの写真の絵葉書と、それを入れる写真立て。
 可愛いマッキーとマニーが寄り添っているデザインだ。
「どこか、二人に似てませんかしら?」

   ※※※

 音楽が流れる。
 楽しかった思い出を包み込むような、柔らかな音楽が。
 お土産を手に、楽しい思い出を胸に。
 デスティニーランドを楽しんだ客が、帰って行く。
 笑顔で。
 一部を除いて、皆が笑顔。
 スタッフ全員が守った、ファンタジーと笑顔がデスティニーランドに溢れる。

担当マスターより

▼担当マスター

こみか

▼マスターコメント

 初めての方ははじめまして、もしくはこんにちは。
 「デスティニーランドの騒がしい一日」を執筆させていただきました、テーマパークに行く前は2ヶ月前から行程表を作成してます、こみか、と申します。
 デスティニーランドでの一日、楽しんでいただけましたでしょうか?
 素敵な一日を守ってくださった方々、どうもありがとうございました。
 雅羅をはじめとするお客さん達の夢と身柄を守るアクションが終結した結果、無事犯人は確保、デスティニーランドのファンタジーも守られました。
 ただ、サニーは複数のアクションの結果、倒れたままになってしまいました。

 ともあれ、デスティニーランドの一日、皆さんと共にとても楽しく過ごすことができました。
 今後もしどこかに遊びに行きたいという提案がありましたら、機会があればアクションの隅などに書いていただけましたら、もしかしたらそこを舞台に採用できるかもしれません。
 サニーはあんな状態なので、今後彼女が企画できるかどうか分かりませんが……

 またどこかでお会いする機会がありましたら、よろしくお願いいたします。