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リアクション
第15章 もうひとつの戦い
「はいはいはーい、みんなこっちに注目ー!」
「いよいよショーが始まったから、よい子の皆は危なくないように下がって見てね」
激しさを増す犯人マッキーたちとの戦闘をなんとか誤魔化そうと、リィナ・ヴァレンはタンバリンを叩き、ターラ・ラプティスは笑顔で周りの子供たちの相手をする。
「戦闘ショーと並行して、こっちでもダンスショーをするね。はい、ミュージック、スタート!」
「は、はいっ!」
「よーし」
白波 理沙の言葉にリィナは慌ててタンバリンを叩き、エレノア・グランクルスは歌い始める。
それに合わせて布袋 佳奈子が光る杖を振る。
理沙と龍堂 悠里が手を取り踊り出す。
可愛い動物の着ぐるみを着た白波 舞とカイル・イシュタルは子供達の前でコミカルに踊ったり相手をする。
そして中央でソロで舞い踊るのは、ターラ・ラプティス。
その賑やかで華麗な雰囲気に、奥で行われている戦闘もなんとなくショーの様に見えてくる。
「うわあ、これは素晴らしいパレードですねえ。戦闘なんて、まるで本物みたい」
「本当。ね、来てよかったですわね」
「うむ。お誘い感謝する」
「くす。そんな、アルティアも来たかったのでございますから。感謝には及びませんわ」
戦闘とダンスの入り混じるパレードをのほほんと見物しているのは、非不未予異無亡病 近遠(ひふみよいむなや・このとお)、ユーリカ・アスゲージ(ゆーりか・あすげーじ)、イグナ・スプリント(いぐな・すぷりんと)、アルティア・シールアム(あるてぃあ・しーるあむ)の4人組。
近遠とイグナをデスティニーランドに誘った張本人、ユーリカとアルティアは嬉しそうに胸を張る。
「それにしても、本当に迫力のあるショーですね。一体どのような効果なんでしょう……スタッフの方に聞いてみましょうか」
丁度、そこに駆けつけてきた仮装したセレンフィリティ・シャーレットとセレアナ・ミアキスに声をかかえる近遠。
「すみません、ペーター・パンと妖精さーん」
「は、はいっ! 何でしょう?」
慌てて獲物を隠すと笑顔を作るセレンフィリティ。
「これはすごいショーですねえ。戦闘時の武器とか、一体どうやっているのでしょう。あの強化されたマッキーも見事ですね。一体どれだけ練習してきたんでしょう」
「はい、ええと、それはもうアトラクションの一環ですから!」
矢継ぎ早の近遠の質問に、しどろもどろに答えるセレンフィリティ。
そこに助け舟が入る。
「日ごろの訓練の賜物です」
「せ、セレアナ……」
ほっとしたように恋人を見遣るセレンフィリティ。
「戦闘は、企業ヒミツ。その方が夢が広がるでしょう」
「なるほど、野暮な事をお伺いしてすいませんでした」
「いいえ。興味を持って頂けてこちらとしても有難いです。これからもデスティニーランドの応援、宜しくお願いします。あ、危ないですのでショーは下がってご覧くださいね」
「はい、すいません……って、わっ!?」
戦闘中の犯人マニーから、リボンの欠片が壊れて近遠の方に向かって飛んできた。
「ユーリカ、危ない!」
イグナが思わず声をあげる。
欠片は、真っ直ぐユーリカの方に向かっていき……
がしっ。
ユーリカを抱きしめ、それを背に受けたのは天狗の仮面を被った男だった。
仮面の男……佐々木 弥十郎はそっとユーリカから身を離すと、肩に手を置く。
「大丈夫でしたか? ショーの一環とはいえ、驚かせてしまってすいません」
「いえ……え〜っと、貴方は、どなたですの?」
「楊貴妃です」
「へぅ?」
天狗の仮面を被った男はしれっと答える。
その答えにぽかんと口を開けるユーリカ。
「ショー、なのですよね?」
「はい。アトラクションなのです」
「では、その仮面も……」
「はい。ジャパニーズドルイドのスタンダードなマスクです」
「はぅ……」
「さあ、お嬢さん、こちらへ」
弥十郎はきょとんとしたままのユーリカの手を引くと、安全な場所まで誘導する。
「こちらも、ショーだったのでございますか…… ずいぶんと参加型なショーなのですねえ」
「本当。最近のデスティニーランドはかなり様変わりしたんですねえ」
一部始終を見ていたアルティアの感心した様子の言葉に、近遠も溜息をつきながら同意した。
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