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リアクション
第13章 VS犯人
「くそぅ、一体いつになったらここから出られるんだ」
「まぁまぁ。今出口に直行してしまっては、逆に目立ってしまいます」
フロートの上で、イライラとパレードが終わるのを待つマッキーの着ぐるみを被った犯人。
それを必死で取り成す高峰 結和。
「うわあ、すごい! お客がみんなこっちに手を振ってるぜ!」
「本当、めったに見られない光景ね」
その隣で三二一と雅羅がはしゃいだ声をあげている。
「ほんと、こんな参加型イベントがあるなんて、ガイドブックには載ってなかったです。わたくし感激ですー」
「あっ、あれは前にう゛ぁるが出したヒーローグッズのお店だよ。今でもいっぱい人が入ってるんだ。よかったね」
「あ、いや、うん、あぁ」
素直に喜ぶサオリ・ナガオと南天 葛。
葛の笑顔に見とれつつ、今この状況の不自然さを受け入れられないでいるヴァルベリト・オブシディアン。
マッキーの乗ったフロートに、一台の車が近づいてきた。
それは、移動レストラン。
その屋根の上に乗っているのは、ミニスカウェイトレス姿の小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)。
レストランの中、ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)は客の目を誤魔化すために刀削麺を作っている。
「あれが犯人ね……とおっ!」
美羽は高くジャンプすると、マッキーに向かってキックを放った。
がきんっ!
「うお!?」
「きゃあっ!」
弾き飛ばされる美羽。
「おかしい、全然効かないなんて」
「それについては俺から説明しよう!」
突如現れたドクター・ハデス(どくたー・はです)。
(以下ハデスの回想)
それは数日前のデスティニーランドのバックヤード。
「フハハハハ! 我が名は秘密結社オリュンポスの天才科学者ドクター・ハデス!」
デスティニーランドでバイトをしていたハデスは、マッキーとマニーの着ぐるみの修繕を命じられていた。
「ククク、この程度の着ぐるみなど、天才科学者である俺にかかればあっとゆう間だ」
着ぐるみを手に取ったハデスは、ふと手を止める。
「……だが、普通に修繕するだけではつまらんな」
ハデスの白衣から、様々な道具が取り出される。
「人工筋肉によるパワー向上! 内臓兵器の搭載! センサー類の増設! 耐電フィールドに強化装甲……!」
(回想おわり)
「……と、いうわけで。あのマッキーとマニーの着ぐるみには、俺の技術の粋が詰め込まれているのだ!」
「……なんて事しやがる!?」×全員
胸を張って威張るハデスは、その場にいた全員にボコられた。
「いい事を聞いたぜ。つまり、俺たちはそこらの奴らよりかなり強くなってるってわけだな」
「もう人質なんて関係ねえ、好き勝手暴れてやろうぜ!」
ハデスの説明を聞き、犯人たちは無差別に暴れはじめた。
「なんだかパレードが騒がしいねぇ」
デートの下見にとデスティニーランドに来ていた佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)は、ふと足を止めてパレードを見る。
一緒に来ていたフィン・マックミラン(ふぃん・まっくみらん)、ネオフィニティア・ファルカタ(ねおふぃにてぃあ・ふぁるかた)と、あれこれ乗り物を楽しんでいて、ちょうど次のアトラクションを待っている所だった。
フィンはトイレに行き、ネオフィニティアと弥十郎の二人きり。
フロート上で何故かマッキーたちが乱闘を始めており、周囲の観客たちはそれを不思議に思いつつ、何かのイベントだと思って見守っている。
しかし、弥十郎の目は誤魔化せなかった。
マッキーたちが放つのは、本物の殺気。
スタッフたちは本気で止めに入っている。
(これは……どうしたもんだろう)
逡巡する弥十郎に、ネオフィニティアが声をかけた。
「弥十郎は、ヒーロー?」
「……いや、今は魔法少女だけどねぇ」
「どっちでもいいよ。目の前で事件が起こったらね、ヒーローなら、どうするのかな」
「……」
「このアトラクション、まだまだ待ち時間があるんだって。今弥十郎のやることは?」
「……すみませんねぇ」
「ん。ボクはね、ただ喉が渇いたから飲み物が欲しいなーって思ってただけだよ」
ネオフィニティアの最後の言葉も聞かず、弥十郎は走り出した。
顔を見られないように、天狗の面を被って。
「あれ? 兄弟子は?」
トイレから戻ったフィン・マックミランは弥十郎の姿がない事に気づき、周囲を見回す。
「喉が渇いたから、何か買ってくるんだって」
「そうなん?」
「……いや、狩ってくるのかな」
「?」
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