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【WF】千年王の慟哭・後編

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【WF】千年王の慟哭・後編

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『ガアアアアッ!!』

 荒ぶる千年王は、手にしたサウザンドソードで自分に挑んでくる契約者たちをなぎ払う。
 剣技を極めている王の強烈な一撃は、直接当たっていなくてもその風圧だけで敵を吹き飛ばす。

「……こりゃー説得は無理っぽいかな」

 その風圧で後ろに吹き飛ばされながらも、なんとか態勢を整え直したアキラ・セイルーン(あきら・せいるーん)がそういった。
 そんな彼のパートナーであるルシェイメア・フローズン(るしぇいめあ・ふろーずん)がその言葉に答えるようにつぶやく。

「怒りで我を忘れておるな。今の状態ではワシらの言葉は届かぬであろう。エンヘドゥになにやら策があるようじゃが……」
「じゃーそれまで時間稼ぎでもやってますかねぃ――セレス」
「はい」

 アキラに名前を呼ばれ、セレスティア・レイン(せれすてぃあ・れいん)が彼の隣へとやってきた。
 そして祈るようにその手を合わせて瞳を閉じると、セレスティアの体から光があふれ出す。
 そんな彼女にむかってアキラが手をかざすと、彼の手の中で光が形を成していき、白銀に輝く巨大ハリセン光条兵器『ドウケシノタマシイ』がその姿を現した。
 アキラはその巨大ハリセンをしっかりと握り締めると、スタスタと前に歩いていく。
 と、何かを思い出したように後ろを振り返り、アキラがルシェイメアにいった。

「あっ、そうだ。ルーシェは他に何か止める術がないか探ってみてくんない?」
「うむ、心得た。無茶はするでないぞ」

 アキラはその言葉にひらひらと手を振って答えると、翼の靴を使ってふわりと宙に浮き上がる。
 そして手にした光条兵器のハリセンは千年王を傷つけない設定にし、彼は千年王の目を覚まさせる一発を叩き込むために千年王に向かって突撃していく。

「千年王殿、目を覚ますのだー!」

 千年王へと神速で近づいた木之本瑠璃が、床を蹴って飛び上がり、振り上げていた拳を放った。
 だが、千年王はその攻撃をブレイドガードで防ぎ、そのまま力まかせに瑠璃をなぎ払う。
 そして王は口を開き、態勢を崩して落下する瑠璃に向かってヘルファイアを浴びせた。

「瑠璃!」

 炎に包まれて落下した瑠璃の側に、なぶらが駆け寄る。
 そんなふたりの頭上には、千年王が振り下ろしたサウザンドソードが迫っていた。
 と、どこからともなく弓矢が飛来し、千年王の腕に突き刺さる。
 すると不思議なことに、千年王の腕の動きがピタリと止まった。

「そこから逃げてください!」

 ラムズ・シュリュズベリィ(らむず・しゅりゅずべりぃ)の声が響いた。
 その声に瞬時に反応したなぶらは、瑠璃を抱えてその場から飛び退く。
 直後、時を取り戻した千年王の腕は動き出し、サウザンドソードは床を砕いた。

「ふむ。相手があの大きさでは、やはり効果は限定的ですかね」

 数秒間時を止めることができる”弓引くもの”を使役して、千年王の動きを一瞬だけ止めたラムズは冷静にそう分析する。
 と、千年王が視線をラムズに向けた。

『オオオオオオッ!!』

 クライハヴォックを上げて、サウザンドソードを振るう千年王。
 床を破砕しながら振るわれた剣の一撃は、巻き起こる剣風で周囲の者たちをも倒れさせるほどの強力な攻撃となる。

「――ッ!?」

 ラムズは防御をしたが、強烈な剣撃を受けて後ろへと吹き飛んだ。