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【第二話】激闘! ツァンダ上空

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【第二話】激闘! ツァンダ上空

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 ツァンダでの戦闘と同時刻 シャンバラ教導本校

「了解。こっちでも調べてみるよ」
 教導団本校のデータ室で羅儀からの電話を受けた裏椿 理王(うらつばき・りおう)は通話を終えると、腕時計型携帯電話のスイッチを切った。
「さーて、掴んだのは何のしっぽか、ネズミか巨象か……」
 ひたすら情報の調査に没頭していた理王はずっと教導団のデータ室の一つに籠りっきりだった。
「やっぱり人と話すよりこっちのほうが落ち着くなあ」
 そう呟きながら、理王はたった今得られた情報をもとに、エッシェンバッハ・インダストリーの新作展示会の情報を早速検索し始めている。
 理王がこの事件を洗い始めたのにはもう一つ理由があった。彼はもう一度改めて『結城来里人』に関する情報の確認をしておきたかったのだ。
 特に来里人の特徴とされている『鈴のついたリボン』と『三つ編みにした黒髪』の画像を理王は重点的に調べていく。
 ほどなくして眼前のコンピュータ端末の画面に表示された来里人の画像――かつての鏖殺寺院関連調査で散発的に入手された画像や、以前に起きたパワードスーツ工場襲撃事件の際に撮影された監視カメラの画像をトリミングしたものを眺めながら、理王は熟考する。
「煤けた鈴となると火災、爆発事故を連想させられる。九校が関わるような事件か……もしかして――」
 やがて何かに気づいた理王は機械的にデータの抽出のためにキーボードのキーを叩き続ける。その果てに、彼はとある画像を発見した。
「これは……。なるほど、そういうことか――」
 火災や爆発事故というキーワードに引っかかるものを感じた理王は『偽りの大敵事件』の処理が行われた際の記録や調査資料を過去のデータの中から呼び出した。そして、暴走したイコンによる襲撃が起こる前に撮影された会場の監視カメラの画像の一つへとたどり着いたのだ。
 その画像には来里人、そして彼と手を繋ぐ、三つ編みにした黒髪の先端に鈴のついたリボンを結んでいる少女が映っていた。
 理王はそれとなく周囲を見回し、誰も見ていないのを確認すると、来里人と少女が映った画像をリムーバブルメディアへと保存する。そして、画面に表示されていた画像をすべて消去すると、自然な動作で自分のハンドヘルドコンピュータを取り出して起動し、白竜へと事実を淡々と報告する。この報告に関して理王は、白竜以外へは一切他言しないつもりでいた。
 一方、桜塚 屍鬼乃(さくらづか・しきの)理王の傍らで同様に情報分析に勤しんでいた。
「教導団の情報科をなめるなよ」
 外部から情報戦を仕掛けてくるハッカーの存在にも警戒し、システムに対する妨害やハックに対応するのと並行して、屍鬼乃はクローラ・テレスコピウム(くろーら・てれすこぴうむ)セリオス・ヒューレー(せりおす・ひゅーれー)の二人と一緒に禽龍関連の調査も行っていた。