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リアクション
「絶対に内から燃やす、『絶燃』なんていいんじゃないかな?」
「というか助けろ貴様! ヒーローじゃなかったら死んでたぞ!」
「ヒーローでよかったですね」
「そういうことか!?」
なんとか三人を倒した栄斗、陽介、ルーシャが話す。
その後ろから、先ほどまで戦っていた三人が走って向かってくる。
「ま、まだやる気か?」
「いや、あれは正気に戻った目だよ」
「お三方〜!」
走ってきた三人に少し身構える陽介とルーシャ。だが、姫星から出た言葉はそれまでの姫星からは考えられないほど大人しかった。
「ご、ごめんなさい! あのバッジを付けたら自分が自分で無くなっちゃいまして。え〜と、自分でもよく分かりませんが、とにかくごめんなさい!」
後ろから来ていた墓守姫とバシリスも三人にそれぞれの言葉を投げかける。
「墓守が無下に死者を呼び起こすなんて…とんだ失態ね。あなたたちにも迷惑をかけて、ごめんなさい」
「ねねっ、バシリスは何でこんなところ居るかしってるカ? 気づいたらここにいて、バシリスちんぷんかんぷんだヨー」
「まあ、仕方ないよ。お互い大怪我しなかったし、オーケーオーケー」
「栄斗様がそういうのであれば、私は何も」
「まったく! おかげで死に掛けたぞ! まっ、この最強のダークヒーローの俺は死なないけどな!」
その後話し合った結果、姫星、墓守姫、バシリスたちはここに残りモブ怪人たちを蹴散らし、栄斗、陽介、ルーシャはそのままオリュンポス・パレスへと歩を進めることになった。
「来る、戦いの波が! これこそ戦場!」
イコン悠久の翼号にて待機していた草薙 羽純(くさなぎ・はすみ)だ。来るべき戦に備えて機を待っていて、ようやくその時が来た。
『ものども、戦いを率いてヒーローたちがやってくるぞ! 心して迎え撃つであろう!』
「……ハデス様にたてつく愚かものどもめ、引導を渡してやるわ!」
「私も手を貸します!」
「―――――おはようございます、戦闘モードを起動します」
気迫、支援、起動。それぞれのステップを踏み、ヒーローを迎える三人。その姿から見えるオーラは常人からは放たれるものではない。
夜刀神 甚五郎(やとがみ・じんごろう)、ホリイ・パワーズ(ほりい・ぱわーず)、ブリジット・コイル(ぶりじっと・こいる)等三人。
そこに現れるヒーローたち。
「うわぁ、大きな船だ。乗ってみたいな」
「いいですねぇ、あんな大きな船の上でのんびりできたら幸せですね」
「ほう、ならば奪ってしまおうか?」
「だ、だめですよ……! 人のものを取っちゃいけないんです……」
「でも、少しでも乗せてもらえたら幸せそうだよね」
「むむっ、前方になにやらすごいオーラをもった怪人がいるぞ!」
ゆっくりと歩きながらやってきたのは、吉崎 樹(よしざき・いつき)、白雪 椿(しらゆき・つばき)ネオスフィア・ガーネット(ねおすふぃあ・がーねっと)、白雪 牡丹(しらゆき・ぼたん)、アルクラント・ジェニアス(あるくらんと・じぇにあす)、五百蔵 東雲(いよろい・しののめ)の六人。
戦場には似つかわしくない、のんびりとした歩調と雰囲気で歩いてきた彼ら六人を見た甚五郎が羽純に尋ねる。
「これが、戦いの波か?」
『むぅ……』
「見たところ契約者たちであり、確かに強くもありそうだが、それでも観光客にしか見えん」
「ワタシにもです」
「戦闘プログラム、待機モードへ移行します」
やってきた六人の雰囲気に毒され、戦う気を逸らす四人。その四人に向けて、アルクラントがしゃべりかける。
「そこの諸君! 我々は戦いに来たのではない! ただ、道を明けてほしいだけなんだ!」
「それはできぬ! 以下なるものも通さぬ、ハデス様の場所へは行かせぬ!」
アルクラントの問いに間髪いれずに拒否の色を示す甚五郎。
「そこをなんとかならないか!」
「ならん。したいというのならこの夜刀神甚五郎を倒すといい!」
光条兵器を地面に付きたて、立ち上がる甚五郎。その横には、ホリイにブリジットが並ぶ。
「穏やにことを運べる状況でないか」
「どうするんだ? このままじゃ、休日が台無しだ」
「それにあの人たちもぴりぴりしています。ぽわぽわしてほしいです」
「そうだね、もっと肩を張らずにゆっくりとして」
『ヒーロー諸君!』
悠久の翼号から響き渡る羽純の声。
『わらわたちはここを動く気はない。どかしたければ、力づくでこい。でなければ、ただでは済まないと思え』
言葉の端々から、戦えと言わんばかりに言葉を紡ぐ羽純。
「……ならば戦うしかあるまい」
「やる気か? やつ等が望むよう派手に暴れるのか? 俺は構わないが」
「だ、だめです……! もっとちゃんと話し合ってじゃないと……」
「ダメだ話し合おうそれがいいに決まってる」
「私たちはヒーローだ。時と場合によっては戦わなければならない。そうしなければ守れないものもある」
こぶしを握るアルクラント。
「アルクラントさん……」
「やらねばならないんだ。みんなに理解してほしい」
アルクラントの言葉に、俯きがちになりながらもうなずく五人。
そう、ここは戦場。戦わずして解決する方法なんてない。
「さあ、みんな! 変身だ!」
「俺の休日を、取り戻すために!」
「みんながゆっくり暮らせるようにー」
「だ、誰かのためになるように……!」
「椿と牡丹のために」
「えっとその、み、みんなのために」
「世界が平和であるために!」
そう言って変身をする六人。それを見た甚五郎もアクションを起こす。
「来るか……ホリイ、頼む」
「はい」
「ブリジット、準備できているな?」
「平気です」
「よろしい、ならばこちらも行かせてもらおう! 瞬着!」
甚五郎も変身をする。バッジの効果で全体的に丸みを帯びた形状になり電飾が光るホリイを身に纏い、ヒーロー怪人・パラミタ刑事シルバーへと変貌を遂げる。
「さあ、次はおぬしらだ!」
そこで甚五郎が見たものとは。
「変★身! ふっわふわー! ぽわーホワイト!」
「ふっわふわー、ぽわークリームです」
「ふっわふわ……っ。あ……え、えっと私は苺とか……あ、ぽわーピンクですっ」
「ふっわふわー! 101年熟成された男の香り! ぽわーワインレッド!」
「ふっわふわー! 司令官、ぽわーブラックRX!」
「ふ、ふっわふわー……! もふらせてくれると懐きます。ぽわーラベンダー!」
「「「「「ふわふわ染隊ぽわーれんじゃー!」」」」」
ぽわぽわ〜ぽわぽわ〜。
「……この周りを飛んでいるのは何だ?」
「ふわふわした何かです、それ以上はわかりません」
『戦う気力が削がれていきますね……』
『こおら、そなたら! まじめにやらんかまじめに!』
目の前で起きたことをうまく受け止められない四人。
「ふざけてなんていない! これが私たち【ふわふわ染隊ぽわーれんじゃー】の戦闘態勢だ。可愛らしいだろう!」
黒色の着ぐるみを装着したアルクラントがそう言う。
「この可愛さ、もふもふ感! これがぽわーれんじゃーの真髄だ!」
樹は自身の白色の着ぐるみをもふもふしながら叫ぶ。
「ほら、この着ぐるみすっごいもふもふなんですよ?」
「わ、私のももふもふなんですよ……!」
「暴れる気すら起きないな……」
自慢のもふもふをアピールする椿と牡丹、その姿に真っ先にぽわぽわし始めたネオスフィア。
「は、恥ずかしい……もふもふでちょっと幸せだけど」
恥ずかしいながらももふもふするのやめられない東雲。
甚五郎の前に現れた六人ヒーローたちは、全員色違い(微妙にディティールも違う)の猫の着ぐるみを装着していたのだ。
「あれと戦うというのか?」
『可愛いです……』
「原因不明のシステムエラー、一体これは?」
『……甚五郎、一発ぶちかますぞ』
「いや、だが」
『いいから早く!』
「お、おう!」
言われた甚五郎は巨大化する。みるみる内に悠久の翼号と同じ大きさ程にまで巨大化する。
「巨大化するなら、この着ぐるみを着てからのほうがみんなでもふもふできますよ?」
大きくなった甚五郎に自分が着ている着ぐるみを指してアピールする椿。
「……」
『甚五郎! 行くぞ!』
「あ、ああ。承知した」
『わらわたちから、そなたたちに祝砲をあげたいと思うのだ』
そう言った羽純は変形ボタンを押す。ミラクルバッチの力を限界まで借りることにより、イコンクラスの変形を行い、銃型にまで昇華。
『受け取るであろう!』
「……パラミタは、ハデス様に統治されて初めて正しき道を歩めるのだ!! 受けよ! 『ヴァイス・ブラスター』!」
銃と化した悠久の翼号を構えて、撃ちこむ。膨大な質量を持ってぽわーれんじゃーを襲う。
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