リアクション
▼△▼△▼△▼ ラグエルを連れていたリースとマーガレットは、ここでみんなと別れることになった。渚は別れ際に、再会する約束を取り付けることができたのである。 空京大学のキャンパスには、闇夜に輝く月光が降りそそいでいた。 空大の外れにある学生寮のパーティルームにおいて、盛大な飲み会が開かれようとしていた。 「ホホッ……これはいただけない」 開口一番、司主催の飲み会に注文を付けたのは老執事だった。 テーブルに並べられたアルコールを含んだ飲食物を手にすると、アルコールの含まれないお酒っぽい飲み物に次々とすり替えていく」 「ちょっ!? おいおいジイさん。勘弁してくれよ。おれは20歳すぎてるんだけど」 「渚お嬢さまは、17才でございます。どうかひとつ、お察しくださいませ」 「いーじゃん別に、堅いこと言わなくってもさ。ホント、渚のジーさんって堅物だよねー。過保護すぎるじゃん」 「確か、魔威破魔さまや、浦安さまも、二十歳には今一歩、届いていらっしゃらないはずでしたな」 「ちっ……別にいいけどな俺は」 「そうそう。みんなで楽しく騒ぐのがいいんでしょう。そうでよね、司っ」 「まあ、そりゃそーだ。楽しくやろうぜ。みんな、グラスを持て。乾杯しよう」 「うわあ、みんなでパーティするなんて久しぶりかもっ」 純粋な気持ちを打ち明けた渚に、みんなは同情を寄せざるを得なかった。 司とサクラコが音頭を取って、グラスにジュースを注いで周っている。 「箱入りも大変だねえ。あたしパラ実でよかったあー」 「あははっ……」 「ホホッ……ご心配めさるな。お嬢さまが空大へ入った暁には、爺やもこちらへ付いては参れませぬゆえ。これからはお嬢さまが自らのご判断で行動なされませ」 「……爺や」 渚は少々不安なそぶりを見せていたが、三二一を筆頭とした面々は大いに喜んでいる様子だ。 「それじゃみんな、グラスを持って準備してくださいね。みんな飲み物は揃ったかしら」 ジュースがなみなみと注がれたグラスを一同が掲げ、司の音頭を待ちわびる。 「それじゃあ今晩は、渚さんの空大デビューを祝して……だなっ――」 「そうですね。ああ……私も空大に入り直したくなっちゃいます」 そして老執事は、渚の側にグラスを持ち寄って、そっとささやきかける。 「ホホッ。お嬢さまの社交界デビューを祝して。親御様もきっと、お喜びになっておられるはずでしょう」 渚は笑顔で老執事に応えた。 「――渚さん、お疲れさまーっ! カンパーイっ!!」 「「「「「「カンパーイッ!!!」」」」」」 彼らの宴会は、夜を徹して盛り上がったのである。 |
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